ブログ再開もままならないまま、遅い梅雨明けを迎えました。各地での自然災害にも胸傷む今日この頃ですね。
また「取り敢えず」の形で、あれから観賞が叶った二つの作品についての簡単なメモ書きを挙げておこうと思いました。
劇場鑑賞もその日にならないとなかなか目処が立たない状況ですが、出会えた映画はこんなふうに小さなメモ書き程度の感想でゆるゆると再開していくのもいいかなぁと考えております。そして映画以外でももし何か書きとめたい事があればちょこっと書き残しておくのもいいなぁと。
もしそうなれば、今後は「シネマで乾杯!」と「シネマじゃなくても乾杯!」共々?宜しくお付き合いください。
取り敢えず、二つのメモを。
■『人生に乾杯!』(ガーボル・ロホニ監督) 梅田ガーデンシネマにて鑑賞
愛車チャイカのタイヤを撃てば解決しそうな瞬間も逃しちゃう、ドジな刑事たちも一つの彩り。
とにかく、エミルとヘディ、二人のアナーキー振りに喝采。
だけどそのアナーキー振りは生活苦によるものだけじゃなかったはず。それは、抗えない「老い」と、二人の人生に影のように貼りついてしまった「30年前の息子の死」によるものだったと思う。抵抗できない宿命的なものと、何かが欠落してしまった喪失感。この二つが根底にあったのだと思った。
後世に継ぐべきものがないことのアナーキー振りは、ある意味カッコ良くて、ある意味とてつもなく哀しい。
「愛情を取り戻した二人」というよりは、そこには「ある種の哀しみを分かち合う二人」がいたのだと思った。
ラスト、号泣の後に、「あれ、今流した涙って…?」と思う瞬間がたまらなくイカシタ映画だった。若き日の出会いのエピソードも秀逸。
さて、乾杯したくなるような人生を生きる自分でありたいけれど・・・なかなかうまくはいかないね。
■『湖のほとりで』(アンドレア・モライヨーリ監督) テアトル梅田にて鑑賞
北イタリア地方の風景はいっとき心を洗ってくれた。静かに水を湛える湖も幻想の世界へ誘う。
そこで美しい死体となって発見された少女アンナ。一瞬、アンドレイ・タルコフスキーの映画の世界を想起させ、話される言語がイタリア語であることに(ほんの一瞬だが)違和感すら感じた。
単なるサスペンス・謎解きのステージを超えて、人間が内包する「苦悩」と、他者そして自らへの「罪の意識」、そしてそこからの「解放」に迫るものとして観た。・・・が、最終的には、事件の取り敢えずの決着を半ば強引に着けてしまったのじゃないかなという気がした。犯人の名を挙げる必要性があったのだろうかとも思うし、アンナの死が却って色褪せていく気がしたのだけれど。
刑事の、不治の病を患った妻のラストシーンの微笑みだけが、何故か尾を引いて心の中に残り続けている。
2009年08月11日
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人生に乾杯!
Excerpt: http://www.alcine-terran.com/kanpai/ 「人生に乾杯!」を観た。 ハンガリーは「旧東欧諸国では経済の優等生」といわれるくらい、最近まで調子良かったんだけど..
Weblog: Art- Mill
Tracked: 2009-08-19 22:02
湖のほとりで
Excerpt: ポスターを見ていると、北欧のような印象を受けますが、正真正銘イタリア映画です。柔らかな緑が辺り一帯を覆い、清涼感溢れる風景です。静かな湖の小さな波と連なり、裸で眠っているような女性の絵が大きく前面に張..
Weblog: Art-Mill U
Tracked: 2009-11-07 23:03
『人生に乾杯!』 老夫婦の冒険譚
Excerpt: しばらく前に「余命モノ」という言葉を知った。 園子温監督が『ちゃんと伝える』を制作するに当たってそう呼んでいたことを、上映館の掲...
Weblog: 映画のブログ
Tracked: 2009-12-02 07:05
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人生に乾杯!
Excerpt: http://www.alcine-terran.com/kanpai/ 「人生に乾杯!」を観た。 ハンガリーは「旧東欧諸国では経済の優等生」といわれるくらい、最近まで調子良かったんだけど..
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湖のほとりで
Excerpt: ポスターを見ていると、北欧のような印象を受けますが、正真正銘イタリア映画です。柔らかな緑が辺り一帯を覆い、清涼感溢れる風景です。静かな湖の小さな波と連なり、裸で眠っているような女性の絵が大きく前面に張..
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お元気そう(?)で安心致しました。
『人生に乾杯』には特に期待してます。ソレイユさんよろしく系です。
『湖のほとりで』も、何やら渡辺淳一センセイの『阿寒に果つ』な(ミステリアスな)味わいがあって良さそうですね。
遂にご覧になったのですね^^
ワタシも親兄弟、親戚がなかったらエミル夫婦のようにしてもいいかなと・・。
>「愛情を取り戻した二人」というよりは、そこには「ある種の哀しみを分かち合う二人」
そうですよね!そちらの方がシックリきます。
息子の死に関して、なんらかのアクションがあってもよかったのにと思っていたんですが
これで、問題解決しましたよ^^
早速にお越し頂いて大変嬉しく思いました、ありがとうございます。
私は元気です。重ねてありがとうございます。(*^_^*)
ソレイユ!
全く知らないところの未知の劇場なれど、なんだかとても近しい存在の劇場に思えてきてます。
ソレイユでのご鑑賞、私も心待ちにしております。
>『阿寒に果つ』
読みましたよー。渡辺淳一氏の小説は不倫モノ以外は殆ど読破しました。
哀しい物語でしたよね、これ。
自殺した女友達、というのは確か渡辺氏の他の小説にも登場していた気がします。
映画『湖のほとりで』は、雰囲気は好きです。
お越し下さり嬉しいです。(*^_^*)
>エミル夫婦のようにしてもいいかなと
私ももしも天涯孤独になったら?検討してみます。
大っきなぬいぐるみを調達しなきゃ!
あ、その前に拳銃!・・・って、これは無理か・・・。^_^;
「ある種の哀しみ」って言う詞は大好きな村上春樹が使っていた詞なのです。
“ある種の”っていうのは漠として非限定的なようで、実はかなり限定されたイメージを放つ詞なのですよね・・・。
でもitukaさんが仰っている「もう少し(なんらかの)アクションがあってもよかった」というところにも大いに頷けます。
そこが結構大きなポイントだったと思うだけにね。
終盤の「気分の ダウン→アップ」は「してやられた!」感がありました。(^^)
> ラスト、号泣の後に、「あれ、今流した涙って…?」と思う瞬間がたまらなくイカシタ映画だった。
よく映画を観ないと見過ごしてしまいそうですが、あれって良かったですよね。
> 若き日の出会いのエピソードも秀逸。
親衛隊がくるあのドキドキ感たまりませんでしたね。そこで出会った二人の思い出、イヤリング。
かつての情熱をと感じました。
私はあのラストは予想外でしたので(何となく予測できたと仰る人もいらっしゃいますが)、驚きました。
あのままで終わっていてもこの映画への自己評価は良かったと思うものの、やはりあの瞬間の「あっ」という感覚は忘れ難いです。(*^_^*)
>出会いの
若きエミルを演じた男優さんが(彼の眼差しが)私としてはとてもよかったです。
「人生に乾杯!」を見ましたよ。
過ぎ去った過去への深い慈しみの映画であり、それでも人の生は輪廻のようにあり続ける。結構、達観しているような世界です。でも何か救われたような気がしました。
こんな映画いいですね。
すばらしい車チャイカがこの映画のシンボルですね。
そして永遠の輝きダイヤ。
この車の前では、アウディもオモチャのようでした。
悲しみを胸に秘めながら、それでも人は生きてゆく・・・「ああ、とうとう力尽きたのかな」と思った瞬間、やはり「生きよう」としている逞しさも見えて、生きるものとしての(良い意味での)図太さも感じました。
私も救われる思いでした。
チャイカってこの映画で初めて知った名前です。
“マシーン”的なイメージの強い最近の車より、地を這う走りを見せてくれそうな車ですね。
そしてダイヤ・・・一瞬O・ヘンリーの「賢者たちの贈りもの」を想い起こしました。(*^_^*)
ここのところ観た映画がまたまた3本ともぺろんぱさんと
一緒で光栄ですわっ。(=^_^=)
『湖のほとりで』は、静かな湖面の中に何か底知れぬものが
渦巻いている様な、人間の業の深さを感じる映画でした。
そういえば、私自身昔劇場で観たタルコフスキーの
『ノスタルジア』ほど美に圧倒された映画はないかもしれません。
それを思い出して今ちょっとモーレツにあの作品に
郷愁を感じています。観たい!
『人生に乾杯』は楽しい作品でした。ヾ(〃▽〃)ノ
偶然にもこちらの作品にも親子の哀しいエピソードが
あるんですよね。
けれども、対照的に新しい命の誕生というエピソードが
織り込まれているところが個人的には好きです。
コメント返信が遅れてしまって本当にすみませんでした。
3本、一緒でしたか!
それは私のほうこそ光栄です!(*^_^*)
ここのところ、皆さんのブログにもゆっくりとお伺いできていなくて・・・頑張ってアンテナを張らねば!と思います。
『湖の…』は、他の作品を想起させる要素がありましたよね。
『ノスタルジア』を劇場で!?羨ましいです。(^^)
やはりタルコフスキー作品はDVDよりも映画館で“圧倒され”て、作品世界に“酔いたい”ですよね!
『人生に…』については「新しい命の誕生」というところに着眼されているところに、ゆるりさんならではのあったかい鑑賞眼を感じます。(*^_^*)
いつもありがとうございます!
先月CS放送を録画して観たのですが、
ぺろんぱさんは2年以上も前に鑑賞されていらっしゃるので、今夜は大変恐縮しながらお邪魔します(^^ゞ
>話される言語がイタリア語であることに(ほんの一瞬だが)違和感すら感じた
全く同感でした!
しかも、思えばイタリア映画を私はあまり観ていないかも知れません。
タルコフスキー監督作品も未見ですので、その美しい映像とやらは観なくてはなりませんね♪
今作は、その静謐な映像にただただ魅入られてしまったので、
ぺろんぱさんの指摘されている点など、とんと気付かない迂闊な鑑賞に終わりました(*´艸)
それでも久々の映像美に出会えて幸せでした(^_-)-☆
(猫に起こされてそのまま起きてます、眠いです。)
こちらこそいつもありがとうございます!
本作鑑賞の頃もまた実家事情でちょっとの間ブログの更新が途絶えていた時だったんだなーって、本作のページにやって来て思っている今です。
本作、映像の静かな美しさとイタリア語への私的イメージとが上手く合致しなかったことが一瞬あったんですよね。
観終わった後もそういえば多くの「イタリア映画」のイメージとは違った趣の作品になっていたなぁって感じでしょうか。
タルコフスキー監督作品、機会がございましたら是非一度ご覧くださいませね。
初めての出会いは、私の場合、『惑星ソラリス』でした。