story
干ばつと借金で生活に困り、家族の関係も冷めつつある小さな牧場主のダン(クリスチャン・ベイル)は、町で捕まった強盗団のボス、ベン・ウェイド(ラッセル・クロウ)を、刑務所がある“ユマ行き3時10分発”の列車に乗せる護送の仕事を引き受けるが・・・。
エルモア・レナードの原作を映画化した異色西部劇の傑作『決断の3時10分』('57)のリメイク版。(写真とも、映画情報サイトより転載)

ラスト15分に、久々に鳥肌の立つ思い。
護送する者とされる者、対岸の立場にいるはずの二人が“一つ”になった瞬間、私の中で「この感覚はいったい何!?」と。
西部劇は不得意な分野でしたが、その拙い鑑賞録からしても、おそらくは西部劇を観て泣いたのはこれが初めてだったのではないでしょうか。
緊迫感に満ちた中、生きることの辛苦を義務付けられたかのようなそれぞれの人生が交錯します。
終盤で放たれた言葉、「誇れるものが、何もない」。
人生の折り返し点を過ぎた者として、この言葉は悲しいくらいに胸を刺します。
誇れる人生の証として、死を賭けた決断。その思いに突き動かされ、残る人生を差し出したもう一つの決断。
父と子の理屈を超えた愛憎と思慕の念も絡み合い、たとえばシチュエーションを変えて、現代ものとして甦らせても十分に見応えのある作品になり得る重厚な人間ドラマであったと感じました。
ラッセル・クロウはハマり役。
泰然とした悪役ぶりのなか、人間としての厚みを十二分ににじませ、観終わってみれば他のキャスティングが考えられないほどの存在感。惚れました。
そしてベンの忠臣、チャーリーが意外にも尾を引き心に残ります。
残虐極まりないけれど、彼もまた、自分の生き方を全うさせた男でした。
演じたベン・フォスターの、冷徹であり、意外にも澄んだ瞳。
彼がベンと無言で向き合った後の、ほんの一瞬の“攻防”は見事で、散り際に美しささえ漂いました。
ラスト、主を追ってひた走る馬の姿が、西部劇としてのこの上ない美しい幕切れとなっていたのではないでしょうか。
スクリーンで観るのが一番の贅沢ながら、いつの夜か、独りウィスキーグラスを傾けながらもう一度観返してみたいと思う作品です。
何せ、夜眠れない時用のデータとしてこういうのマメに調べますねん。それは、”あ”から順番に監督名と作品名を考えていってコトンと眠りにおちていく、てな一人遊び用です。(Aからいかんところはトホホですが)
例ーあ アラン・パーカー ザ・コミットメンツ (できるだけ好きな作品を挙げていく) い イングマール・ベルイマン 秋のソナタ う ウディ・アレン インテリア・・てな具合です。
これ不眠の人に結構発表してますが、皆おっしゃるに
「よけ寝れんやろっ!」(いやぁ、それほどでも・・ポリポリ)
この監督の作品は、私は確か『アイデンティティ』を観に行ったのを覚えています。
それにしてもこの“お遊び”はビイルネンさんならではの「羊さんが一匹」なんですね〜(*^_^*)。面白いです。
しかし、皆さんのご意見と同じく、途中でど忘れして浮かばんかったりしたら気になって思わずベッドを抜け出して調べに行ってしまうそな・・・それとか、「よーし、こうなったら“わ”までいったる!」みたいな気合いが漲ってきてやっぱり余計寝れないのではないかと・・・^^;。
しかし、さすが!のお遊びです。
因みに私は、現在「こ」の段階で思いつかなくなっております ^_^;・・・。
あ、そんな状態なら諦めてコトンと寝られる!!??
あと、ビイルネンさんがお好きなウディ・アレン監督の『インテリア』って初めて知りました。なんかコアなファンを持つ作品らしいですね。
勉強になります。<(_ _)>
芸術の秋、ぼちぼち楽しんでおりますでしょか?
本作は劇場鑑賞の悦びが大いに感じられる見事な一作でしたねー。
やはり、ただのドンパチものじゃなくて、人間ドラマとしての厚みがあったのがポイントでしたよねー。
西部劇は苦手だけど異色西部劇は個人的ヒット率が高いみたい。
しかし、良い作品でしたね!
貧しい家族の主でありながら、人間的に卑屈な部分を持たない良いお父さんでした。
そんなお父さんが吐いた最後のひと言に、涙が自然と溢れてしまいました(ノД`)
保安官らが味方に付いたホテルで安心してたら
一瞬で形勢逆転させるチャーリーに唸りました。
ワタシも、あの馬のような主に従順なペットが欲しいです(笑)
家にいるのは、気まぐれな猫だしな〜^^;
>ラスト15分に、久々に鳥肌の立つ思い。
ほんとにそうですね。自分のラスト15分も
こうありたいと思ってしまいました。
はい、芸術の秋ですね〜。ぼちぼち劇場情報を集めていきたいと思っております。(*^_^*)
今後とも宜しくお願い致します。
本作、こんな二大スターが出ているのに何故にミニシアター一館だけの上映??(大阪ではそうでした)と不思議に思っていましたが、かえるさんのブログにお邪魔して謎が解けました!
「執念のリメイク」とは、その後に目にした某誌でのコメントでした。(^^)
それだけに、“熱い”ドラマが展開していましたね。
私もこれで不得手感から解放されるでしょうか。
かえるさんのご表現をお借りし、「異色西部劇」にまた出会いたく思います。(*^_^*)
あの保安官、「もう大丈夫だよ」っていう雰囲気200%でしたよね。^_^;
そういう翻りを見せてしまう人と、(例え世間的に正義と間逆の立場にあるにせよ)ボスに惚れ込んで真っ直ぐに従ったチャーリーと、やっぱりどうしたって比べてしまいますよね。
まあ、捨てて惜しいものがないかどうかの違いなもかもしれませんけれど。
気まぐれ猫と暮らすのは同じですね、itukaさん!(*^_^*)
でも気まぐれなようでいて、猫はいろんな事を見ていろんなことを考えているように・・・私は感じますよ〜。(*^_^*)
御自身の人生のラスト15分、でしょうか?
人生の終え方を考える・・・そんな映画でもあったかも。
面白そうですね。
ワタシの中では『ワールド・オヴ・ライズ』でぶとっちゃったままのコロコロしたラッセルの印象が強いので、本作の彼の容貌(?)がまず気になってしまいます。
ベイル君は今度は西部劇なんですねー(・ω・)
次はなんやろ? チャンバラ映画に主演かな?(ないない)
『ワールド・オヴ・ライズ』は観に行きませんでしたが、『プロヴァンスの贈りもの』でもちょっぴりふっくら顔のラッセルさんでした。
思うに、ラッセルさんの顔立ちのせいでもあるかと・・・。
是非ご自身の目でご確認願いたく、、、それでもってそこんところも併せてTiM3さん流の容赦なき?レヴューを心待ちにしたいところです。(*^_^*)
>ベイル君、
いえいえトム・クルーズさんも『ラスト・サムライ』に出演されましたし、武士道絡みの映画もアリかも。そういえば『バットマン ビギンズ』でちょっぴりそういうテイストもありましたね。
髷もの、似合いそう。(えっ、髷被るの!??)
自分で説明することができない感覚です。久しぶりに、体を突き上げるものを感じてしまいました。
こういう感覚を味わうと、自分の感覚が一歩研ぎすまされたような思いを持ちます。
良い作品に出会うとステージを上げてくれます。この作品もその一つ。ラッキーでした。
もしかして昨日こちらからコメントを入れさせて頂いていたブログの御方ではないかしらと拝察しておりますが・・・違っていましたら申し訳ありません。
はい、私もこの映画で自分の中に“まだ新しいものを見つけられる(そして受け止められる)”感覚があったのだな、と思いました。
そして、益々そういう感覚をもたらせてくれる映画に出会いたいなぁと、そう思った次第です。
>ラッキーでした
幾つもの選択肢がある中で、これは僥倖ともいえるでしょうね\(^o^)/
あの家族の視線が、ダンに向けられる度、
なんだかこぶしを握り締めて・・・
けっこう早い段階からぐいぐい引きずり込まれてました。
この崖っぷち男と男の心の交差に
あのラスト、、、
久々、ぐさっときましたね〜。
仰るようにチャーリーの存在も凄く良かったです!
あの家族、特に長男君の眼差し、真っ直ぐに胸を刺しましたよね。
父であるが故に許せない、許したくない、というところが苦しいまでに感じられて。
でもその苦しい思いが父・ダンを奮い立たせることになったのでしょうね。
まさに仰る通り、「崖っぷち」!
ラストは美しさすら感じました〜。
観てよかったです。
異色の西部劇ながら、骨太で緊張感があって良かったです。
レビューの筆も走る走る!(=^_^=)
ご覧になられたのですね!
そうですね、本作で西部劇のイメージが変わりました、私。
走る走る!のレヴューを楽しみに貴ブログにお伺い致します。