ビシクレッタとは自転車の意で、この映画も「自転車で来場の場合200円引き」という料金サービスがありました。神戸から大阪の九条まで自転車で行けるわけないじゃん!って思っていましたが、よく考えてみるとこの映画は3,200kmを自転車で旅するという映画なのですよね(しかも実話)。3,200kmといえば大阪から言えば何処まで??大阪どころか、直線距離で言えば日本の端から端でも未だ足りませんよね。

じゃあ頑張るかと言っても自転車を持っておらず(根本的に無理じゃん!)、自転車で行くのは近隣にお住まいの方にお任せして私は前売りチケット買って電車で・・・。久々に地下鉄中央線に乗りました。
そして久々のシネ・ヌーヴォ。
時間配分を間違えて50分ほど早く着いちゃいまして・・・。
周囲で時間をつぶせるところも知らず、文庫本も持ってきていなかったので、仕方なくロビーで上映を待ちながらボーっと。

ヌーヴォのロビー
でもここのロビーは手造り感溢れる不思議空間ですよ。映画によっては立錐の余地もなくなる狭さですが、今日は時折劇場の人が行き交う程度で、椅子に腰掛け頬杖着いて何を考えるともなく過ごしました。
こんな時間もいいなぁ・・・。
ふっと、幼い頃、年上の従兄弟のお兄ちゃんがサイフォンコーヒーを淹れながら、こぽこぽ垂れてくるコーヒーを見て「コーヒーはなぁ、この待ってる時間がええんや。」って言ってたのを思い出しました。
そうだなぁ・・・。
さてさて、この日の映画は・・・。
story

ブラジルの北東部に暮らす貧しい一家7人が、職を求めて大都市リオデジャネイロまでの遥か3,200kmを自転車で目指す途方もない旅路を綴ったロードムービー。ブラジルで実際にあったエピソードを映画化。ブラジル北東部のパライーバ州。ここに暮らす失業中のトラック運転手・ロマンは、家族を養うために月1,000レアル(約400ドル)稼ぐ仕事に就くと決意、一家で遥か南のリオデジャネイロを目指すことに。しかし、彼らの移動手段はなんと自転車4台。それに、ロマンと愛する妻ローゼ、そして6ヶ月の赤ん坊を含む5人の子どもたちが乗り込み、いざ、リオへ向け旅立つのだった。(シネマトゥデイより)

自転車の旅っていっても緑輝く草原の中をピクニックセット抱えて行くわけじゃありません。
乾いた土埃の舞う暑い太陽の下でひたすら自転車を漕ぐ、はっきり言って過酷なロードです。ましてや一家は貧しくて食べるものもロクになく、勿論殆どの夜は野宿です。
何故そうなのか・・・。それはもうこの一家の長であるお父さん・ロマンの鶴の一声なのです。

職探しは家族のため、そして家族を残して行けないから一緒に連れて行くのだというけれど、過酷な旅を強いて危険な目にもあわせて、行く先々で妻や子に歌や踊りで小銭を稼がせて、「俺は運命の男だから目指す職にいつかは就ける」と言い放つロマンに、哀しいけれどロマンは感じなかったです。
旅の途中で得た仕事が眉唾モノだったことに腹を立て「二度と俺が嫌がる仕事をさせるな!」と妻ローゼに怒鳴るシーンも暴力的性格を感じさせて悲しいし、子ども達に「物乞いはさせても盗みだけはさせない」という何処か変な倫理観も身勝手で観ててやるせない・・・。
それでも嫌悪感が先に立たず、何故だか応援をしたくなったのは、そこに「家族」があったからだと思います。
周囲はどう見ても、やっぱり「一つ」になる絆がそこに見えるのです。
特に子ども達!
この子ども達こそ、自分達の貧しさや父親のある種の横暴さを「与えられた運命」と受け入れて前向きに生きているのです。
むしろ父親の方が子ども達に助けられているように思えます。
そしてラテン民族のあの100%のラテン系振り!
廃バスの中で空腹と枯渇で野宿する夜、突然の大雨の下でサンバを踊って歌いだす子ども達・・・あれが「生きる原動力」なのですね。
参りました。

この一家の旅は、リオでの就職でもなんでもなく(実際、1000レアルの職なんてなかった)、リオを目指して家族で旅する、そのロードそのものに深い意義があったのです。
何があっても、この家族は壊れることはないのかもしれません。
長男アントニオを演じるラヴィ・ラモス・ラセルダがよかったですね。
この映画は視点を変えると「アントニオの成長記」とも言えると思います。
彼は実際、旅を終える頃には驚くほどの精神的成長を遂げているように感じます。
間違いなく、父親より絶対、彼は“いい男”になります。
最後に彼が、テレビ画面に映る歌手ロベルト・カルロス(映画全編で彼の歌が活力を与えてくれた)を見る表情が何とも爽やかでよかったですね。
いろいろ所用を済ませ、帰宅後は少し疲れて食事より前に先ずはリビングで買いおきの麦焼酎をロックで。

一杯が二杯になってちょっと“ご陽気”に

しかしこれくらいでは、まだまだ・・・。
まだまだ・・・雨の中でサンバは踊りませんけどね。
以前から観たかったのに....大阪での上映に気づかなかった!!?!?私の映画の
ブログでも左上の「これから見たい映画」で出るように随分と前にセットしておいたのに....忘れていました。
ぺろんぱさん、ありがとうございました。
ちなみに数年前は.....毎週末には自転車乗っていましたので、私のブログはこのように自転車記録でした。あの頃だったら、間違いなく自転車割り引きしてもらえた。
とにかく教えて頂きありがとうございました。なんとか時間を見つけて観に行こうと思います。
自転車割引はなかった私ですが、当日は「封切初日記念」とかでブラジルの炭酸飲料をもらいました。ハンパじゃない甘さでした。(^_^;)
なお、トラバしましたのでよろしく。