まだまだドイツのX'masカーニバルで賑わっているスカイビルへ。
今回は梅田ガーデンシネマで『戦場でワルツを』(アリ・フォルマン監督)を鑑賞しました。
気になっていたのでやっぱりスルーは出来ず。3F・シネリーブル梅田で上映の『アンヴィル!〜夢を諦めきれない男たち〜…』にも惹かれつつ、私の足は4F梅ガデへ。
story
元兵士のアリ・フォルマン監督が、自身の経験を基に製作した自伝的なドキュメンタリー・アニメーション。
2006年冬、友人のボアズがアリに対して、毎夜みる悪夢に悩まされていると打ち明けた。ボアズは、それがレバノン侵攻の後遺症だという。しかし、アリの記憶からは、レバノンでの出来事が抜け落ちていた。記憶から失われた過去を取り戻すために、アリは世界中に散らばる戦友たちに会いにいく。 (※story、写真ともシネマトゥデイより転載)

アニメーション映画の概念がまた一つ覆った。
これは「語り」だった。
主人公アリの、自身と他者を通しての「語り」。
そこにアニメーションの画が“影絵”のように寄り添っていた。
画の一つ一つは“切り絵”のような静止画を思わせ、それらの連なりが光と影の演出を伴って深く静かにアリの「語り」を進めていくのだった。
物語の背景には22年前に起ったシャブラ・シャティーラの大虐殺があった。ラストで挿入された実録映像には胸をえぐられる。
しかし根底に実はもう一つの大虐殺があったと思う。
アリの両親が葬られたアウシュビッツのホロコーストだ。
記憶を封印し、改ざんすらもしてしまうほどの余りにショッキングな体験を、私は勿論のこと一体他のどれだけの人間が体験したであろうか。自分は体験せずに現在に至っていることに胸を撫で下ろすには、この作品に展開していた現実は余りに過酷だ。
記憶を封印したのも自らの意思なら、その記憶を紐解いたのもやはり結局は自らの意思によるものであったと思う。そしてアリは最終的には最後の空白の一日の記憶も取り戻したはず。
その一日の記憶は余りに惨いけれど、劇中の台詞「記憶は人を行くべきところに導いてくれる」のが真理であるからこそ、監督はこの映画を撮って世界へ配信してくれたのだと思う。

こういう映画の後は、やはり飲みたくなるハードなリカー。自宅での一杯。
音楽の使われ方が刺激的でしたね。特にショパンのワルツは、本作では“哀しい狂おしさいっぱい”で胸に迫り来ました。
> これは「語り」だった。
へぇ、こんな風な言葉を思われたのですね。同感です。
> アニメーションの画が“影絵”のように寄り添って・・・映の一つ一つは“切り絵”のような静止画を・・・それらの連なりが光と影の演出を伴って深く静かにアリの「語り」を進めていくのだった。
ぺろんぱさんの表現、なんか気持ちが伝わってきます。まさにそのとおりです。技術と言う意味では絵はそれほどでも無くても、アニメとして本当に秀作だと思います。
> こういう映画の後は、やはり飲みたくなるハードなリカー。
エッなんで?刺激がキツスギタカラ?
早速にお越し下さりありがとうございます。
他の作品とも迷いながら、観に行こうと思わせてくださった貴コメントに感謝します。
本作は流れるようなアニメーションでない分、何だか斬新でした。
先ずはアリの静かな語りを感じたのです。
ハードリカーは、やっぱりこういう衝撃的な映画の後は“ガツン系”のお酒ってことで。
気付け薬と言いましょうか、いち早く癒す飲み薬と評しましょうか、、、この映画を振り返りつつ、取り敢えず飲みたかったのでしょうね(汗)。
これって結構評価高いですね。
不思議なアニメですが全編に於いて単一カラーなんでしょうか?
気になってます(いや、内容の方が)^^;
アニメの方式をとったことで、戦場の描写を和らげようとしたのでしょうかね?
上松(って言うの?)の折には、チェックしてみたいです。
それにしても、あちこちの作品でナチスネタが密かに盛り上がってる気もしますね・・今年。
いよいよ、歴史に1段落がついたってことなのかな?
はい、不思議な世界ですよ。
単一カラーではないものの、そういう感覚になるような沈んだトーンです。
実話ベースだからこその、会話の「言葉」の重みを感じました。
もしも機会がございましたら。(^^)
確かに、ある場面に於いては「これを実写で表現すると・・・」と考えると背筋がゾクッとする感じもありました。そういう(実写)表現の仕方もあったかとは思いますが、敢えてアニメの形式を取ったところに監督の何らかの意図があったのでしょうね。
本作ではナチスの存在はアリの心の奥の方で影のように張り付いていたように感じました。アリの中ではシャブラ・シャティーラの事件と繋がっているかのような。
一段落は・・・果たしてついたのでしょうか。
私個人としては、歴史にはまだまだ知らないことが多いのだなとうな垂れる思いもあります。
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