2009年12月20日

ジュリー&ジュリア

 ここ数日は寒かったですね。本当に寒〜かったですね。

こんな寒い日はいつも、『「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ』という俵万智さんの短歌を思い出すのですが、そういう、呼応しあう男女のあたたかい形がありました、この映画には。
シネリーブル神戸で『ジュリー&ジュリア』(ノーラ・エフロン監督)を鑑賞。

                  ジュリー.jpg

story
 1961年に出版され、アメリカの食卓にフランス料理の大旋風を巻き起こした料理本の著者と、その本を手に幸せをつかもうとする現代女性の2つの実話をベースにした物語。
1949年、ジュリア(メリル・ストリープ)は外交官の夫の転勤でパリにやって来る。そこで食に目覚めた彼女は名門料理学校ル・コルドン・ブルーのプロ養成コースに通い、やがて料理本を執筆するまでになる。その50年後、ジュリー(エイミー・アダムス)はジュリアの524のレシピを1年で制覇し、ブログに載せるという無謀な計画を実行する。
                  (※story、写真ともシネマトゥデイより転載)


  頑張る女性(妻)。支え励ます男性(夫)。
50年の時を隔てた二つの夫婦だったけれど、互いを愛し、互いを認め、寄りそう形は一緒だった。現代の夫婦(ジュリーとエリック)は若い分、それなりの紆余曲折は経るのだけれど。

女性(殊に本作での二人)が奮闘する姿って、闘志がメラメラ燃えてて鼻息も荒くなってて、でもそれを隠そうとする嫌らしさがない分どこか可愛いく感じてしまう。
大女優然としているメリル・ストリープだけど、本作でのメリル(ジュリア役)は凄く天真爛漫に感じたもの。

二人の“出発点”は違ってた。
現実の生活をよしとしながらも更なる充実を求めて料理の世界に飛び込んだジュリア(メリル・ストリープ)と、ビジネスの第一線で活躍する友人と冴えない自分を比較し、現実の生活から脱却したいと願って自身に目標を課したジュリー(エイミー・アダムス)と。
でも二人ともお料理が好きで、食べることも大好きで、何よりも生きることに前向きだったのは同じだった。

                 ジュリー2.jpg

さっきも書いたけれど、ちょっぴり若くて人生経験が少ない?分、ジュリーはつまずき、嘆き、ヒステリックになることもたまにはあったのだけれど、でも決して彼女は逃げてはいなかった。
目標に期限を切り、ブログという場で「やる!」と(見えない誰かに)誓ったからだ。そして「決して嘘はつかない」と。ブログに「嘘」は書きたくない、と。
ステージの差はあれど同じブロガーとして、この台詞には頷き居住まいを正す思いだった。

かたやジュリアも、天性の前向き志向が彼女を一層高みに押し上げてくれていた。
置かれた状況を好きになろうとし、失敗しても決して言い訳はしない。後者の言葉はお料理についての言葉だった。
「お料理をするなら、失敗しても決して言い訳しちゃ駄目なのよ」・・・この言葉、凄く新鮮な感動を感じませんか。

二人とも、思いを成し遂げる上で「犠牲」になるものはたくさんあったろう。
でも絶対に犠牲にしちゃいけないものの存在は分っていたんだと思う。それが、家庭であり、夫への愛だったのだね。

                  ジュリー1.jpg

その夫たち、ポールとエリック。
二人とも“ここぞ”という時に妻たち(ジュリアとジュリー)にかける言葉がいい。肩の力をすぅっと抜いてくれるのだ。
終盤でジュリーがほろ苦い現実に向きあった時のエリックの言葉も、泣けたなぁ。

ジュリアとポールは先ず完全なる夫婦の形があってそれがジュリアの成功を支えたと思う。ジュリーとエリックは、ジュリーの目標達成へのステップと共にだんだん“いい形”になっていったという感じ。
共通するのはやっぱり夫婦の愛があったということかな。シンプルだけど、やっぱりそれ(愛)なんだと思う。

多分、あれだけのレシピを毎日作り上げ、ブログにアップし、その上で仕事も家事もこなすのだから、本当ならもっともっと大変な舞台裏があったはずなので、軽妙なタッチでちょっぴり綺麗に仕上げられ過ぎてる感じは否めなかったなぁと思いもしたのだけれど、でもそういうテイストも、鑑賞後に幸せ感だけが残っていいのかもしれないな。
             
                         かわいい
                  
 とっても美味しそうなお料理がたくさん出てきて、おまけにみんなが実に気持ち良く美味しそうに食べるので、とってもお腹が空いてきます。
でもそれ以上に、二つの時代の其々の女性たちが自宅でギムレットを作ってぐいぐい飲むので、ジン好きの私はとにかくギムレットかマティーニがすっごく飲みたくなって堪りませんでした。

       ワイン宴1.jpg     今日の赤1.jpg          
 
  でも今夜は赤ワイン。
昨日のワインパーティーで、集った友人4人でワインが6本きれいに空いて、すっかりワイン漬けになってる脳と身体に今夕これでもかと“ダメ押し”の赤です。このレヴューを記しながら。





posted by ぺろんぱ at 18:21| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
ボナペティ!

パリの有名料理学校ル・コルドン・ブルーで学ぶジュリアが微笑ましかったです。
何度失敗しても「ボナペティ!」と言ってのける度胸にワタシも学ぶものがありました。

これを機にジュリア料理を2品くらい作れるようにレシピをチェックしたいです(笑)
Posted by ituka at 2009年12月20日 21:33
ばんはです。

ホンマに演技幅の広い女優さんですね。

近年、まさに全盛期を迎えたはる気がします、メリルさん。

次に来る『恋するベーカリー』も面白そうですね。

追記:今更ながら『恋におちて(1984)』が観たくなって来たゾ(・ω・)
Posted by TiM3 at 2009年12月21日 00:38
itukaさん、こんばんは。

そうだ! 本作はitukaさんもご覧になっていたのでしたね!

>ワタシも学ぶものが

ジュリアの前向きな姿勢には男性の心をも捉えるものがあったのですね。
同じ女性ですが、ネガティブな私にも彼女は眩しかったです。

>これを機にジュリア料理を2品くらい

私は、ジュリアのレシピではないのですが、ジュリーがエリックと共に作ってがつがつ食べてたトマトのブルスケッタ風みたいなのがすっごく美味しそうでした。
あれなら簡単に作れそうなので、たくさん作ってたっぷりのギムレットをぐびぐび飲みながら食してみたいです!(*^_^*)

Posted by ぺろんぱ at 2009年12月21日 19:21
TiM3さん、こんばんは。

またしても新情報(『恋するベーカリー』)をありがとうございます!(*^_^*)
年齢的にも“大御所”的ステージにおられながらも“恋する”なんていう冠の付く映画に主演されるとは…まさに「全盛期」、さすがはメリルさんですね。

『恋におちて』はデ・ニーロもいいですよ。
生まれる恋心もあれば破綻してゆく繋がりも描かれ、観る年齢によって受け止め方が変わる作品だと思います。・・・あ、でもそれってどんな映画にも当てはまることですね。(^^)
Posted by ぺろんぱ at 2009年12月21日 19:42
ようやく観て参りました。

エリックやポールに関しては、やや描き方(踏み込み方)の不足してる感もありましたが・・
思ってたよりも楽しく拝見出来た気がします。

『プラダ』と同じ女優さんとは、ちょっと信じられない気がしますね。ホンマにスゴい方です、メリルさん。

そのうち『激流2』なんてなサスペンス作に「意欲的に」主演されたりして(⌒〜⌒ι)
Posted by TiM3 at 2010年06月03日 07:09
TiM3さん、おはようございます。

>エリックやポールに関しては、

ああ、そうなのかもしれませんね。
TiM3さんが男性でいらっしゃるからこその貴重なご感想なのでしょうね。

メリルさん、振り返れば『ディア・ハンター』の時はお若かった〜!でもその頃から「あまり美人じゃないけど」って言われていらしたとか。“個性的な顔立ち”を大いなる武器になさった御方ですね。

『激流2』!
メリルさん、体力的には・・・!?(^_^;)


Posted by ぺろんぱ at 2010年06月04日 06:10
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/34303437
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック