週末には行けなかったので、それならばと神戸レディースデーの今日6日(火)、仕事帰りに神戸OS阪急会館で“1000円で”観て来ました。
最初に封切られてから随分経ちますが、ロングランの理由が分かりました。
できるならもっともっと長期的に劇場のプログラムに掛けていて貰って、ずっとサービス料金にして出来るだけ多くの人に観て貰えればいいのじゃないかと思ったくらいです。
我々が生命を得て、今ここで生きている、そしてこれからも別の生命が誕生し続けていくであろうこの地球の存在について、少しの時間でもいいから真摯に考えてみる為に…。

解説
アメリカで公開されるやいなやドキュメンタリー映画史上に残る記録的大ヒットとなった話題作。
アメリカの元副大統領アル・ゴアが、温暖化へと突き進む地球を憂い、温暖化によって引き起こされる数々の問題を説く。
監督は「24 TWENTY FOUR」や「ER緊急救命室」など、人気TVドラマのエピソード監督として手腕を振るってきたデイビス・グッゲンハイム。
地球の温暖化によって引き起こされる数々の問題に心を痛め、人々の意識改革に乗り出すべく、環境問題に関するスライド講演を世界中で行うアメリカ元副大統領アル・ゴア。そんな彼の勇気と希望に満ちた闘いを追いながら、人類が滅亡するまでの真実のシナリオを明らかに
していく。 (シネマトゥデイより)
「たら・・・、れば・・・」の論理は良くないから一文で止めますが、あの時もしブッシュさんじゃなくてゴアさんが米大統領になっていたら、もしかしたら[9.11]は起らなかったかもしれないし、地球の温暖化への歩みも少しは阻めたかもしれません。
感覚でモノゴトを公に語ってはいけないというのも今作の一つの指針でしたが、これは感覚だけが言わしめたことでないと思わせるほどゴアさんの訴えは真摯です。(加えて私の記述は“公”じゃないからいいですよね。)

滑らかな美しい響きの英語で、時折「毒舌」をも感じさせるジョークを含んで聴衆を飽きさせることなくゴア氏の弁論は展開しますが、語られている内容は「怖い」です。
一般に流布されている「異常気象」や「海氷や陸氷の溶解」などに加え、鳥インフルエンザやSARSなどの伝染病、更には生物の種の絶滅の危機問題に至るまで、このCO2による温室効果ガスの多量発生が密接に関与していると知らされます。
同種の人間のみならず地球上の他のあらゆる生物の種を絶滅させるに至っている我々人間は、謂わば“無意識の殺し屋”みたいなもの。
「つまらぬセンチメンタリズム」と言われるかもしれないけれど、ゴア氏の公演に使用されるアニメーションの中で「白熊が陸氷に辿り付けず溺死する」ケースが描かれているのですが、あれ、心をえぐられます。人間の責任で白熊を溺死させてるわけですから。
こういう「他の生物の保存」もさることながら、人間の種の保存、更には地球そのものの保存の問題に、柔らかな口調ながら鋭く言及されているドキュメンタリー映画です。
温暖化防止を叫ぶ政治家を選んで欲しいというメッセージもありますが、それはゴア氏が語るからうがった見方をする人もいるかも知れないけれど、一貫しているのは「(温暖化阻止を叫ぶのは)政治の問題である以前に“モラル”の問題だ」との主張なのです。
モラルの問題・・・そう、「人間として」の「モラル」の問題なのですね。
多くは米国民に向かって語られているように感じますが(米国は世界でも突出してCO2排出量の多い国なので)、ゴア氏は「国に関係なく、人間としてできることを考えて欲しい」と訴えています。
国を超えて民族を超えて、利害を超えて、これは普遍的な問題なのです。

ゴアさんの名前が前面に出ている作品ですが、ゴアさんの真摯な姿を彼の私生活や大統領選挙の一連の流れに絡め、緩急を付けてきちんとしたドキュメンタリーに仕上げたデイビス・グッゲンハイム監督の姿勢も又、大きな力になっていると思いました。
最後のエンドロールの中に、我々一人一人にも「出来ることがあるよ」と語りかけられています。
それら全ては、本当に誰でもやろうと思えば出来ることです。全部じゃなくても、一つだけでも実行できれば、あの美しい青い地球を“生物の生きる星”として守れるのかもしれません。それはきれいごとじゃなくて、なんていうのかな・・・自分自身の気持ち良さの為にも。
自分だけじゃないから、ここに生きてるのは。
衝撃的な内容を扱ったものながら、暗い気持ちじゃなく前向きになって劇場を出させてくれる作品でした。
さて、私はラマダンが明けたので、前ブログで書いた通り例のスコッチについて記したいと思います。
友人N子にお土産で戴いた<クラガンモア12年>です。
自宅でウィスキーを飲むのは久しぶりな気がします。琥珀色が美しいですね。
シングルモルトといって私がまず思いつくのはアイラ島のボウモアやラフロイグなどのスモーキーフレイバーの強いものですが、このクラガンモアはとっても円やかで優しい味わいです。優しいながら余韻はしっかりあって、フィニッシュ香にほのかなスモーキー感があり、まさにシングルモルトだと感じさせてくれます。

どのお酒もそうですが、こういう濃いお酒は特に、喉から入ってとろりと胃壁を流れていく感覚がこたえられませんね。これはビールをぐいっと飲む時では味わえない感覚です。どちらかといえば、空腹時にストレートかロックで楽しむのが一番の飲み方だと思います。
肉体にとっては良くないことなのでしょう・・・確実に胃壁を痛めているはず。私にとっての、これは“不都合な真実”、かな。