その後、同日夜にNHKで『龍馬伝』を観ていて何だか不思議な気分に一瞬陥りました。
この映画にご出演の香川照之さん、大森南朋さん、貫地谷しほりさんが「龍馬伝」では揃って幕末の和髪・着物の恰好でご登場なのですもの。思わず堺雅人さんの『篤姫』での徳川家定姿までが甦ってきてしまいました。
story
人気作家・伊坂幸太郎の同名ベストセラー小説を『アヒルと鴨のコインロッカー』『フィッシュストーリー』に続き中村義洋監督が映画化。
凱旋(がいせん)パレード中に首相が暗殺された仙台。宅配ドライバーの青柳(堺雅人)は、久々に再会した旧友の「お前、オズワルドにされるぞ」との謎の言葉を聞いた直後、警官から突然銃を向けられる。訳もわからず逃げ出した彼は、身に覚えのない証拠と見えない力によって無実の首相暗殺犯に仕立てられていく。絶体絶命の中、青柳は大学時代の仲間たちに助けられながら逃亡を続けるが…。 (※story、写真ともシネマトゥデイより転載させて頂きました。)

ビートルズの曲をとにかく片っ端から聴き込んでいったのは遥か昔、中学生の頃でした。
「Golden Slumbers」が入っているのは、ビートルズの最後のレコーディングアルバム『Abbey Road』ですが、この「Golden Slumbers」を含むあの後半のメドレーに、もしかしたらそんなに切ない背景があったかも知れないなんて・・・思いもしなかった、あの頃は。
この曲が青柳の学生時代の恋人・晴子(竹内結子)の言葉通り「ポールがばらばらになった仲間をもう一度つなぎ合わせたかった」のだとしたら、本作に於いて、本当にあの頃の仲間は見事に一つにつながったのですね。
つながったことを自覚できないまま悲しい別れになってしまった旧友森田(吉岡秀隆)でさえ、彼に「とにかく生きる」ことを託したのですもの。良くも悪くも、彼、森田から始まった物語といえるのですよね。
こう書いてみて、ハタと気付きました。
今年に入って鑑賞した映画のほぼ全てで、この「とにかく生きる」「生き抜く」っていう言葉を聞いた気がします。
不確実な時代に、この確かなメッセージは結構心に残ります。

青柳は、とにかく逃げて、逃げて逃げて、生き延びようとするのですが、その過程で今昔を問わずのいろんな仲間の手が差し出されます。
逃亡の過程でできた新たな仲間?と昔日の仲間、それぞれの思いが交錯し、やがて一つにつながって青柳の行く手に道を作ってくれるのですが、スリリングな逃亡劇とは真逆の、「見守られている」というこの安らぎにも似た優しい感覚を味わえたのは不思議でした。
これだけの深刻且つ絶望的な状況を描きながら、何故だか優しく満たされた気持になって(どうかすれば“爽やか”とさえ言えるほどの気持ちで)劇場を出られるのは、原作者の伊坂幸太郎氏の持ち味なのでしょうか、それとも中村監督の演出によるものなのでしょうか。
同作家の原作で昨年映画化された『重力ピエロ』でも確か似たような事を感じたので、やはり原作の放つイメージがそうなのかも知れませんね。(原作読まなきゃ!)
しかし(そうであるならば)そのイメージを損なうことなく映像を形に仕上げてくれた監督にも拍手です。まさに“ゴールデンスランバー=黄金のまどろみ”の中に居られたかのような感覚を味わえたですから。

連続通り魔・キルオ、裏社会に生きてきた入院患者・保土ヶ谷といった、社会的には責め苦を負うような人間が「差し出す手」も興味深かったです。
誰一人として信用なんて出来ない破滅的な状況の中で、「残された唯一の武器は人を信頼することだけだ」とその真っ直ぐさを失わない青柳にも(理想的に過ぎるかも知れないけれど)やはり魅力を感じました。
堺さんはその“平凡な人間であることの真っ当さ”に於いて、この上ないくらいに適役でいらしたと思います。
涼やかでサラリとした情感を漂わせた竹内結子さんにも好感が持てたし、一生懸命さが役柄としても役者さんとしてもウブくもあった劇団ひとりさん(青柳の後輩役)も良かったです。
ちょっとしたサプライズだったのは、昨年末に鑑賞した『蘇りの血』での印象も記憶に新しい渋川清彦さんが同僚役で出ていらしたこと。何処となくチャラくて漫画チックな妙味が漂っていたのは前作と同じでしたが、本作のキャラは“概ね好い人”です。
張られた伏線が、時間軸が交錯する中で一つずつ組み合わさっていくのも小気味よい。
上手くゆき過ぎの感も否めないけれど、それでも、終盤の「花火のシーン」には文句なく涙がこみ上げる感じで鼻の奥がつーんときました。
「生きてこそ、人間はなんぼのもん」とは劇中の森田の言葉。
違う人生を、だから大切に生きて下さいね、青柳さん。

Once there was a way to get back homeward
Once there was a way to get back home
Sleep, pretty darling, do not cry
And I will sing a lullaby … (The Beatles /Golden Slumbersより)
さあ、私は お酒の子守唄で、黄金の眠りに入ってしまおう。
そうか・・タイトルはずぅとるびネタだったんですね! ←ずぅとるびじゃないってば!
これは結構楽しみにしてるんだけど・・ちょっと観に行けるか都合がつかないかも・・(・ω・)
やっぱり、舞台は仙台なんですね(=^_^=)
主人公がクヒオ大佐なので、何とでも逃げ延びられそうに思うんだけど・・
香川さんってたくさんの役をこなすので
凄いなあ。。と感じます。
堺さんは、売れっ子ですね。
昔、『火星のわが家』に出演していた時が
懐かしいです。
本作、140分のやや長尺モノなのですが、ちっともダレずに鑑賞できました。ずぅとるび、もとい!ビートルズに少しでも思い入れ(もしくは想い出)がおありでしたら楽しめると思います(直接的には関係ないのですけれどね)。
舞台は仙台!
クヒオ大佐のように付け鼻付けて片言の日本語喋ってたら逃げ遂せるかも!?
「ハロ〜ゥ!誰だかわかる?」・・・わかるってば!!
香川さん、凄いですよね。
NHKでも『坂の上の雲』に続く『龍馬伝』だし、映画でもいろいろたくさん!
でも香川さんが出てこられると何だかピシッ!と締まる感じです。(*^_^*)
堺さんも映画が続々。
いつの時もスクリーンでお見掛けしているような。
>『火星のわが家』
知りませんでした。
ネットで調べてみます。(*^_^*)
『坂の上の雲』を見ました。
このドラマ、好きです。
いいよね。
『坂の上の雲』はどうせなら大河枠で1年かけてじっくり描いてくれても良かったですのにね。
そうできない、いえ、そうしたくない理由でもあったのでしょうか。
しかし、あのドラマ、爽やかな感覚が残るのはやはりシバリョウ流なのでしょうかね!(*^_^*)
あっ、来ると思いました?!
伊坂幸太郎好きの、はいっkarcyです
伊坂作品で一番好きな「ゴールデンスランバー」
公開をずーーっと楽しみに待っていました。
予告も何度も観ました!
がっ、まだ観に行けていません(/_;)
来週明けにはきっと・・・きっと・・・。
ごめんね、この内容の無いコメントったら。
しかし、"居ても立っても"感を是非お伝えしたくて(^^;
ホント失礼しました 二三(/:^_^)/
やっぱり伊坂+中村作品はこうでナイト(笑)
圧倒的社会にいつも挑んでいるって感じがいいです。
そして挑むのはいつも何の武器も無い、
ただ、懐かしく思い出せるあの頃がある人たち―ですもんね(^^)v
私は吉岡さんと長嶋さんにやられました〜☆
御無沙汰です、いらっしゃいませ。
伊坂幸太郎ファンですぐに思い浮かぶ「二人」のウチのお一人がkarcyさんです。(*^_^*)
そのkarcyさんが「居ても立っても」の思いで来て下さったなんて感激です!
一番お好きな作品がゴールデンスランバーなのですか!
うわぁ、ならば随分と見当外れなことも書いちゃってるのじゃないかとファンを前に赤面の私です。
是非是非、観に行かれたあとで、「私はココをこう観る!」みたいなご意見を頂けたらこの上なく嬉しいです。原作と違うところなんかも。
(私はラストのアレが、もしかして原作では違うのでは??とチラと思ったものですから。いえ、しかし映画のソレもそれはそれで妥当なことだと自然に思えましたが。←何書いてるか解りませんよね、すみません^_^;)
あ、、、堺さん、めっちゃ走ってらっしゃいました〜。(^^)
こうでなきゃ、ですか!
嬉しいです!(*^_^*)
圧倒的社会に挑む!
そうですねよね、そこに向かうのが(表面的には)力無き、武器を持たない市井の人々であるってところがいいのですよね。それゆえの「強さ」はあるのですもの。
永島さんは凄いインパクトありましたよね〜。
新境地開拓!かと思いました!(*^_^*)
京都は雪ですよ。
「ゴールデンスランバー」観てきたんですが、まだアップできていません。面白ければそれでいいんですが、残るものがないんです。原作はどうなんでしょうか?
斉藤さんの音楽はパンチが効いていました。
私の恒例行事も、この極寒の京都詣でなのです。
雪が舞う京都もいろんな想い出がございます。
さて、「残るもの」はなかったですか。
それが一番の正直なご感想なのでしょうね。
私は明日、会社近くのジュンク堂で原作を入手予定です。
音楽、仰る通りパンチが効いていましたね。
「Golden Slumbers」のみならず、エンドロールで流されたあの曲も非常にインパクトがありました。
もしもレヴューをアップされるのら楽しみにしていますね。(^^)
これからも、iPodを胸ポッケに入れて、生命を護りたいと思います(=^_^=)
あ、そうやって地面ばかり見てたら、上からラジコンヘリが降りて来たりして(⌒〜⌒ι)
色々と「びっくりした」作品でした。
この監督さん、次作も楽しみです〜☆
iPodの新しい活用法!
はい(*^_^*)・・・あ、でも何箇所か忍ばせとかないと。
>色々と「びっくりした」
ヘッドフォン付けたあの人にもビックリ!でしたしね。^_^;
貴レヴューを後ほどゆっくり楽しみに拝読しに伺いま〜す。