先の週末にどっちを先に観ようかと悩んでいたのはこの一作、『ニューヨーク,アイラブユー』(11監督によるオムニバス)です。
冬返りのような、それでいて春はちゃんと予感できてるような、そんな雨の降る中、梅田ガーデンシネマで鑑賞して参りました。
「愛がいっぱい」というより、何だか「こういう愛もある、のね」な感じが私には心地よかったかな・・・。
story
大都会ニューヨークを舞台に、さまざまな愛の物語が展開する珠玉のアンサンブル・ムービー。
日本の岩井俊二、初監督に挑戦した女優のナタリー・ポートマンをはじめ、各国の多彩な監督11人が参加。
一枚上手の相手の登場に調子を狂わされるスリの青年、ダイヤモンド街で商人に打ち明け話をする挙式を控えた若いユダヤ女性、引きこもりの作曲家、プロムに胸をときめかせる高校生、行きずりの関係にのめり込め男女、思い出のホテルを尋ねる元オペラ歌手、街角で口説き文句を披露する作家、最後のミューズを追い求める老画家…。そして、街の至る所でカメラを回し続けるビデオアーティストが彼らの姿を捉えていた。 (※写真、stpryとも、映画情報サイトより転載させて頂きました。)

ニューヨークってこんなに美しい街だったんだなぁっていうのが先ず・・・。
旅行で訪れたのは遥か12、3年も前のこと。
でもその時はニューヨークの華やかさに存分に酔いつつも、緑薫る景観の美しさや、水や風や空気の優しさなんかを感じ取るには其処は私にとって余りにビッグ・シティーで異空間だったのでしたが、今回、本作が先ずはニューヨークの“ニューヨークならではの美しさ”を存分に見せてくれていたように感じました。
猫事情が落ち着いたら、いずれまたニューヨークを訪れてみたいなぁと思ったのでした。
本作の作品名と監督名をざっと挙げますと以下になります。
1話 トライベッカ(チアン・ウェン監督)
2話 ダイヤモンド街(ミーラー・ナーイル監督)
3話 ハーレム&アッパーウェストサイド(岩井俊二監督)
4話 ソーホー(イヴァン・アタル監督)
5話 セントラルパーク(ブテット・ラトナー監督)
6話 グリチッチ・ビレッジ(アレン・ヒューズ監督)
7話 アッパー・イーストサイド(シェカール・カブール監督)
8話 セントラルパーク(ナタリー・ポートマン監督)
9話 チャイナタウン(ファティ・アキン監督)
10話 ソーホー(ジョシュア・マーストン監督)
11話 ブライトン・ビーチ(ランディ・バルスマイヤー監督)

いろんなテイストのニューヨークや様々なシチュエーションでの恋愛模様が楽しめて、何だか少しだけ、いい意味で“生き急げた”気分にもなれた本作でした。(こんな言い方、おかしいですかね。)
恋愛って結局は自分が当事者でないと分からないものってあるのでしょうが、短いこれらの物語の中に、何となく瞬時だけど“自分”を投影させられるところがあって、なかなかに楽しめた佳作たちなのでした。
それぞれのパートに、他の幾つかのパート、更にはストーリーテラー的パートが徐々に微妙に絡みあってくるのも興味深いです。一番初めのパートで意味深な展開を予期させていた二人が、“やっぱりそうなのね”的な「今」を向かえていたのにはふわりと微笑む思いがしました。
11話の中で最も気に入ったお話は、『アッパー・イーストサイド』と『チャイナ・タウン』でした。
前者は、主演女優ジュリー・クリスティーが大好きいうこともありますが、映像的に最も「想像」「創造」をかきたてられ、時空を超えた世界に酔うことが出来た「10分弱にして“永遠”の物語」でした。
そして後者。
世に認められることなく破滅的な生活に身を投じる老画家とチャイナタウンに暮らす少女との淡い心の通い合いです。
本作が実は最も強く印象に残りました。 同じく「10分弱にして“未来”に繋がる物語」と感じられ、このパートを軸にして長い一遍の作品を撮って欲しいと感じたほどでした。秀作です。

11話の短いパートに豪華なキャスト陣。誰か目当ての役者さんがいれば彼らの恋模様を観に行くっていう楽しみ方もあるかもしれません。
全くテイストの違う世界で自分はどの世界にどう酔えるか…というふうに、ただ感じるままに作品を楽しむのもいいでしょうね。
(付け足しみたいだけど)イーサン・ホークが街頭に据え置かれたカメラに向かって話しかけるシーンは素敵でしたよ。
さて、それぞれのパートでそれぞれに「お酒」が大切なアイテムになっていたように思います。
第一話に登場する<ジントニック>に始まり、媚惑剤と称される赤ワインやら、祝杯のシャンパンのボトル飲み、行きずりの情交を反芻してのウィスキー、薬を飲む水代わりのバーボン・ストレート、、、いい意味でも悪い意味でも、お酒はそれぞれの人生に色を添えているのでした。


本作を観た後はジンかウィスキーが飲みたくなりまして、ヒルトン・イースト地下のサンボアBarでジガーで作ってくれるハイボールを。
休日の昼下がりの軽やかで程よい喧騒の中、小説を読みつつゆっくりグラスを傾けました。
BGMの無い店内というのも、それはそれでいいものですね。
オムニバス映画なんですね。
オムニバス映画で思い出すのが『トワライト・ゾーン』です。
今でも、第一話と第四話が印象に残ってます^^
現時点で今年の洋画は、恋愛ものが例年になく多いような気がするのは気のせいでしょうか〜^^
(ぺろんぱさんと同じ作品を観る事ができて)
なんか嬉しいです。
>いい意味で“生き急げた”気分にもなれた
おーっ、面白い表現ですね。なんとなくニュアンスわかる気がします!
今回、他にも気になったフレーズがありました。
>「10分弱にして“永遠”の物語」
同じく““未来”に繋がる”〜の方も。
うぅーん、冴えてますね!!!!
私も五番街のホテルのお話は、すごく映画的で好きなんですよ。
ジュリーさんも、もちろん素敵ですが
ホテルマンを演じたシャイア・ラバフさんがものすごく印象的で。
多分、彼は色んな役を演じられる多彩な人なんでしょうね。
ハリウッドの俳優の層の厚さを感じました〜。
とにかく楽しかったです。それから、NY、行ってみたくなります。
トワイライト・ゾーン!
おお!ダン・エイクロイドのあのシーンが甦りました!
といいつつ、怖いのが苦手な私は実は観に行ってはいなかったのですけれど。
>現時点で今年の洋画は、恋愛ものが
ああ、そうかも!そうかも〜ですね!!
今年の私的劇場鑑賞は戦争を題材としたものが続いたのですが、その後で観に行こうかなどうしようかなと迷った幾作かは(スルーしたものも含めて)恋愛を描いたものが多かったかも、です。
itukaさんの映画的嗅覚、凄いです。(*^_^*)
私もゆるりさんと同じ映画の話題で盛り上がれて幸せです(*^_^*)。
“生き急げた”気分というの、何となく分かっていただけて嬉しいです。映画の世界で幾重にも違う「生」を生きられたかのような、ね。
>ホテルマンを演じたシャイア・ラバフさん
そうでしたね、彼のソフトな物腰と深い深い眼差しが印象的でした。チラシには『トランスフォーマー』シリーズに御出演の俳優さんとか??
私は知りませんでした。
このパートではジョン・ハートが出てらしたこともサプライズの喜びでした。
こういう作品、力強い感動というのとは違うところで、肩の力を抜いて楽しめますよね。一遍一遍の始まりにはワクワクするものがありますし。
『パリ、ジュテーム』もやっぱり早く観なきゃ、の私です。
1エピソードで「アラン・スミシー監督」表記としてて、作風から推測するに・・ウッディ・ア・・だったら面白かったですけど(=^_^=)
>日本の岩井俊二、初監督に挑戦した女優の
>ナタリー・ポートマンをはじめ、各国の多彩な監督11人が参加。
観てみたいですね〜。マティルダさんは出演もされてましたか?
>猫事情が落ち着いたら、いずれまたニューヨークを
>訪れてみたいなぁと思ったのでした。
ちょっとこの1文にドキッとしてしまいました。。
>プロムに胸をときめかせる高校生
プロムって言うのはダンスパーティーのことでしたか?
それと、シャイア・ラバフと言うのはシャイア・ラブーフと
同一人物でしょうか(・ω・)
itukaさんは『トワイライト〜』を挙げておられますが(ますので)
ワタシは敢えて(=^_^=)『クリープ・ショー』を挙げておきます(←敢えて挙げるなよ)
NYではクライスラータワーを間近で眺めたいです。
あのビルの展望室なら入場料1万円でも行きたいな〜(←何で円単位なんだよ)
この作品では、一番のお気に入りパートが同じで嬉しいです♪
キャストも雰囲気も尾を引く感じがあってよかったですね〜。
卑猥なセリフ攻めだったイーサンの、窓からのアクションにもトキメキ(^^ゞ
居るかもねぇ・・・あんな人って思わせてくれましたね。
余りニューヨークには惹かれなかったのですが、
ぶらりと行ってみたくなりました。チャイナタウン〜アッパー・イーストサイド♪
本作、肩に力を入れず、それぞれの世界を(自分だけの視点で)楽しむにはいいですよ。
>アラン・スミシー監督
「架空の監督」として米映画界では周知の名とか・・・私は知りませんでした。
ついでに『クリープ・ショー』という映画も。
両方ともウィキで調べましたよ・・・TiM3さんのコメントは時々難しい宿題のようで参考書が要ります〜。(^_^;) でもホントは勉強になって嬉しいです、ありがとうございます。
>マティルダさんは出演も
はい。但し、監督作品の中ではなくて別のパートで。
2話の『ダイヤモンド街』でバリバリのご出演です!美しかったです。
>プロム
はい。ダンスパーティーのことです。
>シャイア・ラバフと言うのは
はい。チラシにはシャイア・ラブーフさんと表記されていました。
そしてクライスラータワー。
エンパイヤステート・ビルディングではなくてクライスラータワーを推されるのは、外観のスマートさなのか眺望のより豪華さなのか・・・TiM3さんなりの「こだわり」があるのでしょうね、きっと(*^_^*)(まだNY素人の私です。しゅん。)
“お気にのパート”、もう一つの『チャイナタウン』の方は如何でしたでしょうか。(*^_^*)
女優さんも魅力的でした。
イーサンは後の方の「一人」の時のシーンがキュートで、且つ切なくてよかったです。「ああ、寂しいんだなぁ、彼も」って思えました。
NY、“眠らない街”っていう表現がありましたが、私も旅をした当時はそういう印象を強く持った街だったのでした。
私も今度訪れることができたら、、、そうだなぁ、あの老夫婦が散歩してたブライトン・ビーチ??をぶらりと歩いてみるのもいいかなぁ〜なんて思います。(*^_^*)
ヨーロッパ贔屓の私は、アメリカにはあまりときめかない方なんですけど、これは久々にとても気に入りました。
それぞれの物語が小粋でキュートでしたよねー。
そうそう、お酒が印象的でしたね。
第一話のあのバーに立ち寄りたくなったりしました。
思えば、お上りさん日本人にとってはNYは怖い街という思いもあるので、あんまり夜遊の経験はなかったので。
初めての海外旅行の時のNYで、ドキドキしながら夜ハードロックカフェに行って、Tシャツだけ買って帰ってきたことを思い出しました。w
今度はヨーロッパ版の「ジュ・テーム」に挑戦しなきゃ!です。ブーシェミさんに会うのも楽しみで。(*^_^*)
NYでは、安全星の輝くホテルに泊まっていたものの、外の街ではパトカーのサイレンが夜中や明け方でさえ鳴り響いていたのが印象に残っていて、改めて危険と背中合わせに生きねばならぬ街なのだと感じました。お昼間や夕景は華やかでアート色にも溢れた街だったのに。
あ、でもね、ホテル前で車を拾おうとした際に超美形のポーター氏が遥か彼方にまで届きそうなほどの指笛で車を止めてくれたのには一瞬にして目と心を奪われたのでした〜。あれは私にとっては“NYでの小さな恋模様”の一つだったかも、です。あぁ懐かしや…(*^_^*)
突っ張るわけでも、ゴージャスでもなく、普通の意味のニューヨーク、沢山の人種の街ってのが良く描かれていると感じました。
> 短いこれらの物語の中に、何となく瞬時だけど“自分”を投影させられるところがあって
本当に身近な存在としてのニューヨークの人々の恋に、自分自身も投影したくなりますね。
(本当の自分に投影できるかは別ですが....私は手が届かない。)
> ストーリーテラー的パートが徐々に微妙に絡みあってくる
これが好いんですよね、なんかうまく間を取り持ってくれて。
ニューヨークという大都会を舞台にしながら何か身近に感じる映画でした。
PS トラバさせていただきました。
ゆったりと楽しまれた由、それって“オフ”の時の醍醐味ですよね。
難しく考える映画もいいけれどこういう映画もたまにはいいですよね。
>本当の自分に投影できるかは....手が届かない
確かにこの物語の中の主人公達とは完全には重ならないにしても、何かちょっとした心の動きとか、微妙に揺れ動く想いとか、そんなところに投影出来たように思うのでしたが・・・如何でしょうか?
>ニューヨークという大都会を舞台にしながら何か身近に
そうなのですよね。
なので私も、また訪れてみたいなと思ったのでした。(*^_^*)