で、この映画・・・頑張って観に来てよかったぁ。
サン・ジャック(スペイン語でサン・ティアゴ)の聖地を私も一緒に踏むことが出来たような、そんな清々しい気持ちにさせてくれる映画でした。今年の「マイベスト10」に入るかも。(まだ4月に入ったばっかしか・・・^_^;)。

作品解説
キリスト教の聖地サンティアゴへの巡礼の道のりを、ひょんなことからともに旅するはめになった男女9人の心の交流を描くヒューマンドラマ。『女はみんな生きている』のコリーヌ・セロー監督がユーモラスに描く。
story
母親の遺産を相続するため、険悪な仲の3兄弟、薬に依存する大企業の社長ピエール(アルチュス・ドゥ・パンゲルン)、失業中の夫と子どもを養う頑固な教師クララ(ミュリエル・ロバン)、生活保護を受けるアル中のクロード(ジャン=ピエール・ダルッサン)は、聖地サンティアゴまでの巡礼路を一緒に歩くはめになる。アラブ系少年やワケありの女性など9人からなる一行は、さまざまな思いを胸に長い旅に出る……。 (シネマトゥデイより)
登場人物が其々にいろんな問題を抱えています。
そして巡礼の旅を終える頃には、みんな其々にその問題を乗り越える心を持つようになります。人種も、宗教も、お金も、老いも若きも、人間が持つ“本質”には何の関係もない・・・余計なモノを振り落とせばこんなにもヒトは生きる事に前向きになれる、というような、そんな「人間賛歌」でした。

いがみ合う3兄弟が遺産の相続の条件である「サン・ジャックまでの1500kmの巡礼路を同宿しながら一緒に歩く」に嫌々ながらも従い(なんと遺産は不動産を含めて170万ユーロというから確かに相当なものですね)旅をするのですが、この三人が何だか憎めないキャラで、厭なところもありながらホロリとさせる一面を併せ持ち、ヘトヘトになって歩く姿にエールを送らざるを得ない思いでした。
この3人の心の変化はまあ何となく最初から着地点は見えるような気がしましたが、この3人以外のツアー参加者達もみんな大切に描かれています。
特にワケあり女性マチルドとツアーガイドのギイが仄かに恋心を芽生えさせて行く段、そして失読症だったアラブ系少年のラムジイに向けられるサイッドの友情と彼に言葉を教えながら母性愛を持つようになるクララの段は、観る者とっては癒しとなったと思います。
最初は勿論そうじゃなかった・・・。厳しい旅を続けるうち、重い荷物を次々に捨て(彼らにとって結局それらは大切な物ではなかったのですね、無くても旅を続けられる、むしろ無くしてしまうことで心も身体も身軽になれた、そんな象徴的なシーンでした)、見えなかったものが見えてきた、そんな感じです。

巡礼路の風景が本当に美しい。
風の音までも捉えられていて、実際にその場に行って大地を踏みしめ風を感じたい思いに駆られます。(・・・1500km歩くのは大変なんだけど。(^_^;))
その大自然の中で時折織り込まれる幾つかの<幻想シーン>が、聖地を目指して旅する映画に相応しく形而上的な雰囲気を添えてくれていて面白いですね。この監督の『女はみんな生きている』は公開時に観に行きましたが、「正統派」のイメージが結構残っていて、こういうシーンが随所に描かれていたのは意外でした。
ラストに「クララさん、めっちゃええ人やん!」と泣けるシーンがありますが、物語の中心となった3兄弟のショットじゃなく、恋を実らせた若き男女サイッドとカミーユのショットでエンドロールとなったのはとてもナイスな感じがして「佳品」でした。


さてさて、この映画には二人のアルコール依存者が登場します。
一人は3兄弟の次男・クロード。彼がサン・ジャックへの旅に同意する前に放った質問が「そこにバーはあるのか?」。これは私も似たような経験がありまして、笑ったんだけど他人事とは思えなかったです、はい。
もう一人のアルコール依存はピエールの妻。彼女の方は更に深刻で、自殺行為とも見れるほどの飲み方で病院に運ばれる事も。
彼女がうつろな目で「長い。長すぎるわ・・・。」と呟いた時、一瞬何が長いと言ってるのか分からなかったけれど、それは彼女にとっての「人生が、」だったのでしょうね。
彼女のジンの飲み方が、だから何だかとても痛々しく記憶に残っています・・・アルコールに逃げるって、人生から逃げることなんですね。何が彼女をそうさせたか、それを考えると深く心が痛みます。

<日本酒の原酒、オン・ザ・ロックで>
今日の映画で見た幾つかの人生に、そして其々の人生の「これから」に、プチ依存症?の私も乾杯させてください。
今日はワタシも梅田界隈(Yバシカメラや阪急地下街や)をウロウロしてたんですよ。
映画鑑賞も考えたけど“例の日”なもんでパスしました(=^_^=) 混雑が大嫌いなもので・・
今回ご紹介の映画、やっぱりジャンルはロードムービーなんでしょうかね。
『トランスアメリカ』や『オール・アバウト・マイ・マザー』もそうだけど、ロードムービーテイストのヒューマンドラマってムチャクチャ心に響くのんが多いですね。特に分別ついてから観たら(=^_^=)
せめてスクリーンの中で、魂に旅をさせる・・
そう言う楽しみ方もあって然るべきなのかも知れませんね(・ω・)
今年は広義での「ロードムービー」に出会うことが多いです。(今のところ)
日曜はヨドバシ付近でニアミスがあったかも知れませんね!!(^^)
>「魂の旅」はあったかも。
「魂の旅」って言うと、やっぱし『リング』とか『呪怨』とかですよね☆
・・ってそりゃ、単に霊魂が彷徨ってるだけだっつーの(⌒〜⌒ι)
>日曜はヨドバシ付近でニアミスがあったかも知れませんね!!
例のほらほら、長い地下道入口の、あすこで一瞬、目が合ったですよね!
(と振ってみる(=^_^=))
ちょっと反芻してみましたところ、今作は「魂の旅」と言うには余りに“汗みどろ”だったかも知れません。そう言う意味では「生身の旅」だったといえるのかも・・・。もしもこの先に御覧になられる機会があればご意見お聞かせくださいね。
実はkbow様にぺろんぱ様のブログを教えてもらい遊びにきました。
とっーても楽しいブログですね!
映画大好きなんですが、ココ最近は忙しくてちゃんと観る事ができなかったのです。ぺろんぱ様の映画評論とプチ依存症(私も…)の様子を読んだら、わくわくしてきましたよ〜
「サン・ジャックへの道」、とにかく映画館に行って観てきまーす!
ご訪問嬉しいです、ありがとうございます。
kbowさんのお知り合いなのですね・・・先ほどちょっと貴ブログへお邪魔して参りました、素敵なブログですね、これからもどうぞ宜しくお願い致します。
(^_^)「プチ依存症同盟」結びましょう。
良かった、私も今年のベストに入れたい映画です。
ただ....私の○○○たい思いに火を付けてくれましたので、映画の感想はブログではあまりかけなかった。
ぺロンパさんのこの記事をみて私は今週は観たい、観たいと気になって仕方がなかったです。
恋する若き男女でエンドロールになったってのは素敵過ぎですわ。
プティ依存症、分かりますわ。
機会があったら、一緒に映画に行って、その後、グダグダとその映画を肴にお酒のみましょう!(笑)
これからも、blog楽しみにしております。 冨鶴 高
○○○の三文字を埋めよ、との天の声でさっき貴ブログにお邪魔してきました。
何となく・・・分かりました。
west32さんも「良かった」映画だと感じて下さって嬉しかったです。
プチ依存じゃなくて正味の依存、どっぷり依存かもしれません、私。
トミヅルさんは相変わらず地野菜とビオワインの活動、頑張っておられるようですね。ブログ、凄いです。
グダグダ飲み、いいですね!(笑)
私も4/1に観ました。東京ですが。
これ、去年の映画祭で観て、2006年のベストに入れました♪
というわけで、ぺろんぱさん今年の「マイベスト10」に入るかも発言が嬉しいです。
隅から隅までステキな映画でした。
あ、私も3月生まれです。うお座です。だから?幻想シーンも好きです。お酒も。
TBしました。
コメントとTBありがとうございます。
この映画を通してお知りあいになれて、とても嬉しいです。
牡羊座の3月生まれです、どうぞ宜しくお願いいたします。
これから貴ブログへお邪魔しに行きます!
記事を読ませていただきましたが、ピエールの妻の「長い。長すぎるわ・・・。」というせりふの解釈が新鮮でした。サイッドとカミーユのツーショットがラストシーンというのも忘れていました(汗)。
ぼくもお酒が好きで、ほとんど毎晩飲んでいます。寝つきが悪いので睡眠薬代わりなのですが、僕もプチ「ピエール状態」かもしれません。
こちらにも来て頂いてありがとうございます。光栄です。
ピエールの奥さんを「何がそうさせたのか」が、とても気になっていました。
私、こういう勘違いは多いのですが、「ぼくも・・・」の記述を見るまでゴブリンさんは女性のお方とばかり思っていました。貴ブログの背景がとても優しい感じでしたので。びっくりしました。こちらこそ(汗)です。
お酒がお好きなのですね。
秋の夜長は少しアルコールが入ってるほうが肯定的な(?)いい眠りが得られそうですよね。