2010年05月16日

17歳の肖像

 
 “うす寒い初夏”なる日々を経て週末。
梅田ナビオTOHOシネマズで『17歳の肖像』(ロネ・シェルフィグ監督)を観てきました。

早目にと木曜にチケットを購入して座席交換をしたのですが、望む席(左端の席が好み)は得られず両隣を囲まれての鑑賞となりました。
そういうのって逃げ場がないみたいで(映画鑑賞中に一体どこへ逃げるのだ?!)何となく落ち着かないんですよね。

story
  イギリスの人気記者リン・バーバーの回想録を基に、ベストセラー作家のニック・ホーンビィが脚本を手掛けた注目の青春ムービー。
  1961年、16歳のジェニー(キャリー・マリガン)は、ロンドン郊外の街で平凡で退屈な日々を送っていた。父(アルフレッド・モリナ)は成績優秀な娘をオックスフォード大学に進学させようと躍起にり、彼女はそのことに反発を覚えていた。そんなある日、彼女はデイヴィッド(ピーター・サースガード)という倍も歳の離れた魅力的な大人の男性と出会い恋に落ちる。そして、今までの勉強ばかりの日々からは想像もできなかったような、刺激的な大人の世界を体験してゆく──。(※story、写真とも映画情報サイトより転載させて頂きました。)

                 17歳の.jpg
 
  苺のショートケーキをブラックコーヒーを飲みながら味わった感じのムービー。
あまずっぱくて頬のゆるむ幸せな甘さを、ほろ苦いコーヒーが流してゆくような。でもそれがケーキの美味しさを一番鮮明に記憶に残してくれるというものでしょう。

17歳の女の子の物語だけど、その女の子を取り巻く家族や学校の先生、恋人やその友人たち、それぞれの物語としても見つめ、感じることのできた作品だった。

人は(たいていの人は)幾つになっても“何か”の途上にあるのだと思う。
ただ、位置する途上の“両辺”の長さは違う。
これから先の道がうんと長い分、ジェニーの流した涙は、私には彼女の未来への彼女自身からのエールと感じられた。

                  PV@R.jpg
                 
涙はきっと糧にできる、そう私は思いたいし、ジェニーはそうできる本当の意味での賢さがあったと思う。
そこには自らを「卑屈な生き方」だと自嘲したジェニーの両親の、決して卑屈ではない深い愛情があったからとも信じたい。
強いることなく、自ら「気付く」ことを待った女教師の姿勢も一助となったと感じる。

キュンと切なく、でも爽やかに若さと成長を謳い上げた小粋なムービー。「教育(原題)」にはいろんな形があっていい。

悲しみの淵から立ち上がろうとしたジェニーの言葉「年取った気分・・・愚かなまま。」は、17歳の彼女が言えば決して愚かなんかじゃないって思った。そういう気持ちになれたのなら彼女はうんと成長したことになるのだものね。

                  17歳の .jpg     
           
  主演のキャリー・マリガンがとにかく魅力的。
ワクワクドキドキ感溢れるオープニングと、クスッと笑って「そうでなくっちゃ!」と思わせてくれるエンディングにも拍手喝采です。


ジャック ソーダ割り.jpg


  おうちでジャック・ダニエルのソーダ割り。
季節柄ソーダ割りに凝っています。
ファッションもお化粧も60年代の趣が素敵だった本作、「クリスマスでもないのにお酒なんか飲んで!」っていう台詞が何とも“清く正しい英国中流階級の家庭”って感じで面白かったです。
勿論、クリスマスも含め私は年がら年中飲んでます。




posted by ぺろんぱ at 12:11| Comment(12) | TrackBack(2) | 日記
この記事へのコメント
こんばんは。

本作と『パリ〜』とでどっちを先に鑑賞するかでチケット買う寸前まで悩んだものでした。
こちらは随分前から待ってたのにド派手なベッソン映画に釣られ選択ミスしました(笑)

60年代のロンドンファッションを見るだけでも価値ある作品だと思っていますよ。
来週行ってまいります(笑)
Posted by ituka at 2010年05月17日 19:12
へぇ〜

ピーター・サースガードってジェイク・ギレンホールの義兄になるんですね。

って言うか、同い年だよ、、(⌒〜⌒ι)

アルフレッドさんと言えば『スパイダーマン2』のタコ博士でしたね。

何気に助演陣が豪華そうですね(=^_^=)
Posted by TiM3 at 2010年05月17日 20:15
ぺろんぱさん、こんにちは。
これ、いろんな要素があって面白かったです。
教育が大事とわかっているけれど、下手なやり方で映画に持ち込んでも説教くささが鼻につきそうで。
でも、これは経験を踏まえた物語だけあって、大人の自分が見て、とてもしっくりくる結びでありました。
Posted by かえる at 2010年05月17日 20:27
itukaさん、こんばんは。

ベッソンさん、名前を聞くとやっぱり捨て置けませんものね〜。
あ、でも「選択ミス」ですか。^^;
そういうのも結構“ベッソンさん的”ではありますね〜。

>60年代のロンドンファッションを見るだけでも

そうなんですよね!
それから、デイヴィッドの相棒ダニーの恋人ヘレン(ロザムンド・パイク)のファッションとキャラクターにも是非ご注目下さい。(^^)
Posted by ぺろんぱ at 2010年05月18日 21:15
TiM3さん、こんばんは。

>ジェイク・ギレンホールの義兄になる

知りませんでした!
マギーさんと結婚してらしたんですね、ピーターさん。

アルフレッドさんは結構出演作品を観てるはずなのに今一つ鮮烈な印象が残っていないのです。
何ででしょう??単に私の記憶力の稚拙さなのでしょうか。(涙)

>何気に助演陣が豪華そう

女教師さん役のオリヴィア・ウィリアムズさんが素敵でした!(*^_^*)
Posted by ぺろんぱ at 2010年05月18日 21:22
かえるさん、こんばんは。

そうなんですよね、其々が其々のやり方で(というか、心の持ち方で)ジェニーに接し、“結果的に”それらが彼女を成長させる一助となった・・・という感じでしたね。(*^_^*)

だから、あのデイヴィッドの悪友?ダニーやその恋人ヘレンも、思い返してみるとジェニーにはいいステップを踏ませてくれたのじゃないかなぁ〜って思ったり。

「頑張ってね、ジェニー」って素直に微笑める結びでした!(*^_^*)
Posted by ぺろんぱ at 2010年05月18日 21:27
おっ、ぺろんぱさんも端っこの席がお好みですか!
私も選べる時は、たいてい左端ですよ〜
真ん中派と端派に分かれるような気もします。
私は結構パーソナルスペースが必要なタイプかもしれません。人見知りはしないんですけどね。
そういうのって、性格にも関係するのかもと考え出すと、面白いですね。

ジェニーが自ら経験していく過程での心の変化、そして成長する様子に共感してしまいましたよー。
生意気盛りを過ごしたことのある女子(そうでない女子がいたら逆に恐いけど)なら
少なからず観ててちょっと痛いお話じゃないでしょうか。
それにしてもお父さん、たやすくだまされすぎ!という感じもしましたけど。
ただ、経験による教育的物語っていうんじゃなくて、
そこにおしゃれでキラキラした感覚があるのが作品としても面白さにもつながってる気がします。

キャリー・マリガン、美人じゃないけどファニーフェイスで可愛いですネ。なんか新鮮です。
マギー・ギレンホールの話題が出てますが、似たタイプのような気もします。

>勿論、クリスマスも含め私は年がら年中飲んでます。
ぺろんぱさん〜、休肝日は?!
Posted by ゆるり at 2010年05月19日 19:00
ゆるりさん、こんばんは!
左の端っこ大好きのぺろんぱです。はい、私はカウンターでの飲み会宴席でも(可能なら)左端を希望します。
たまにそういう拙気質を知らない人は「どうぞどうぞ真ん中に」と、良かれと思って言って下さるのですが、そういう時は死んだ積りで?臨みます。(大袈裟ですね^^;)

お父さん!
終盤のドア越しの会話がなければスクリーン上の和解(鑑賞者の自分との和解、です^^;)はないままでしたが、最後で泣かされました。あ、、、あのお父さん、ちょっと浅薄なきらいはありましたね。

>経験による教育的物語っていうんじゃなくて

私はダニーとヘレンたちとの関わりについて、結構何か含むところのあった本作だと感じました。
なので、凄く気になってきています、今になって、あの二人。

でもでも、キャリー・マリガンには本当に魅せられました!(*^_^*)

>ぺろんぱさん〜、休肝日は?!

ありません!!
新聞の休刊日には「新聞もこうなのに・・・」と落ち込む毎月です。
あああ〜、どうしたらいいのでしょうか!?

Posted by ぺろんぱ at 2010年05月19日 19:59
行ってまいりました!(笑)

音楽家を目指す有能な少女と、その才能に魅了された年上男性が
二人三脚となり彼女を晴れの舞台に上げるまでを描くファンタジー映画だと思ってましたが
ぜんぜん違いましたね^^;
本作は予告編も観てないし、まったくの無知識で敢えて挑戦しました。

ところが意外と秀作だったことに得した気分です。

ジェニーの機転の良さと感性には、やはり魅せられましたね〜
デイヴィッドの話術にも感心しまくり^^;
Posted by ituka at 2010年05月23日 22:07
itukaさん、こんばんは。

私は、、、ちょっと「ウラ側の顔を持つ男性なのかなぁ」くらいには思っていたのですが、それにしても正直言ってあの展開は意外でした^_^;。デイヴィッドの人間としてのグレード??が実はあれでグンと下がっちゃったのが正直なところでした。

そして作品としては、「邦題」から察してもっと少女の世界にはまり込んだものかとも思っていたので、良い意味で裏切られてitukaさんと同様“得した”気分になりましたよ(*^_^*)!
観て良かったです!

ジェニーは賢い子ですね。
将来が楽しみですよ、ホント。

デイヴィッド・・・先日は『フライトプラン』でも巧みな話術?で周囲の人間を見事に騙してましたね〜!(でもやっぱり今より痩せててハンサムでした^^;。)






Posted by ぺろんぱ at 2010年05月25日 19:51
ようやっと、観て来ました。

ワタシとしては『ルパン三世/カリオストロの城』に出て来る
ヒロインのあのしとじゃないけど、
「※※はまだ出来ないけど、きっと覚えます!」的な“決意に満ちたセリフ”を言う、みたいな「更なる巻込まれ型展開」を期待してしまったんですけど・・

ダニー&ヘレンとの「その後」の描かれたのが、ちょっとホッとさせられました。

あの2人が「何か言いたそう」だった理由も、終盤で明らかになり、胸のつかえが取れました(=^_^=)
Posted by TiM3 at 2010年07月08日 07:43
TiM3さん、こんばんは。

カリオストロの城!あのヒロインはよかったですね〜。女性もヤワな人間のままじゃ駄目なんですよね。

TiM3さんのご期待外れなるところは、、、
「更なる巻込まれ型展開」でなく、意外にもジェニーちゃんの軌道修正が早くて潔く過ぎたってことでしょうか?そのへんは、彼女らしい「賢さ」の為せる業だったのかもしれませんが。

>ダニー&ヘレンとの「その後」

あの二人の存在が利いて(効いて?)いましたね。

後ほど貴ブログに参上致します〜!(*^_^*)
Posted by ぺろんぱ at 2010年07月08日 21:30
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