2007年05月05日

ロッキー・ザ・ファイナル

 『ロッキー・ザ・ファイナル』(監督:シルベスター・スタローン)・・・G.W後半の一本はこれ。4日に109シネマズHAT神戸にて。

封切られた当初は観に行くつもりではなかったけれど、時折お邪魔させて頂いているanyさんのブログに記されたいた「頭で考えず心で感じましょう」の一言に触発されました。
一作目『ロッキー』であれだけの感動をくれたロッキー、そしてスタローン自身の人生を、彼がそれを「FINAL」と言うならきっちり受け止めてみたいと思いまして・・・。

で、観終わって私もanyさんと同様、フィラデルフィア美術館前の階段を駆け上がって空に拳を突き上げてみたくなりました。

ちょうど、この映画館の隣には安藤忠雄設計の兵庫県立美術館がありまして、エントランス横の階段を一気に駆け上がって拳を空に掲げて来ました。・・・というのは嘘です、スミマセン。
              
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story
 シルヴェスター・スタローンを無名の俳優から一躍スターダムに押し上げた『ロッキー』のシリーズの第6弾。
第1作目から30年の時を経て、シリーズ完結編となる本作では、夢を追い続け再びプロボクサーのライセンスを取得するために奮起し、無謀ともいえる試合に身を投じるロッキーの姿を描く。
 ボクシング界から引退したロッキー(シルヴェスター・スタローン)は、かつての栄光の面影はなく、小さなイタリアンレストランを経営して生計を立てていた。他界した愛妻エイドリアンとの思い出にすがって生きているロッキーは、己の心の喪失感を埋めるかのように、再びプロボクサーのライセンスを取得するために立ち上がるのだが……。 (シネマトゥデイより)
 

  これはFINALでもあり、原点でもある作品だと強く感じました。
「30年を経て、ロッキーは同じ地点に立ってるんだ」と思えたのです。

観に行くなら気持ちを高めてから行こうと、前夜は自宅にあった『ロッキー』(衛星放送録画)のVIDEOを観返し、感涙ですっかり頭がロッキーモードになっていた私は、「ファイナル」の冒頭の、成長した二匹の亀に餌をやるロッキーやエイドリアンの墓前に佇むロッキーを見てのっけから既に“泣き”が入ってしまいました。それだけロッキーに愛されていたエイドリアンは幸せだな、とも。

そしてそのロッキーに残る哀しいほどの喪失感
過去を切り売りして生きる現在のロッキーの悲哀は、ロッキーを演じるスタローンの投影か・・・ロッキーの人生はそのままスタローンのスクリーン人生でもあると思え、彼自身も老いたからこそロッキーのその悲哀感がひりひりと痛いまでに伝わってきたのだと思います。

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これは一作目へのオマージュとも感じられ、ロッキーにもスタローンにとっても“スタート”だった『ロッキー』を髣髴とさせるシーンや設定がたくさん登場します。
だからこのFINAL、例えシリーズ全作を観ていなくても(ちなみに私は「3」と「5」は観ていません)、一作目である『ロッキー』を観ている人には是非観に行ってもらいたいなぁって思います。

  
 何故今また「FINAL」なのか、嘲笑ともとれる批評家のコメントもある中、スタローン自身はインタビューで「笑われてもいいから撮りたかった。自分自身でもあるロッキーの人生を前作(「5」)で終わらせたくなかった。」という意味のことを答えていました。
この言葉はスクリーンでも聞かれます。ロッキーの言葉として。
「(自分が信じる道を)胸を張って挑戦して何がおかしい!」と。

               
『ロッキー』で成功を収めサクセスストーリーの王道を歩んできたようなスタローンにも、そして勿論二度のタイトルに輝いたロッキー・バルボアにも、決して30年の人生は平易ではなかったはず。
スクリーンでのロッキーの「人生ほど重いパンチはない。そこから逃げるな。」の言葉に、何十年かの人生を生きてきた人ならきっと胸が熱くなるはずです。
               
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 問題のファイトシーンは、どうだったでしょうか。
ボクシングを熟知している人からは諸々な不満もあったかもしれませんね。
何ラウンド目かでのアクシデントには「あんなん有り??」とちょっと禁じ手的作りじゃないかとも思いましたが(あれがなかったらどうなっていたんだ??)、文字通り“命を削って”作り上げたスタローンの肉体とテクニカルではないにしろ「重さ」のあるパンチの撮り方に、いつの間にか打たれる「痛み」を自分に感じるほど引き込まれてしまいました。

ただ、ファイトの合間の息子の言葉や、試合終了後のチャンプ側のマネージャーの言葉に、ちょっと鼻白むものがあったのは残念です。
余計な事は喋らないで欲しかった・・・。
でもそういうのがあったからこそ、最後のロッキーの「帰ろう」の一言が効いたのかもしれません。

 ロッキーのみならず、一作目で登場したリトル・マリーやエイドリアンの兄ポーリーの人生にも転機が訪れ、其々に「生きること」の悲哀を描いています。特にポーリーは相変わらずのチンピラオヤジ振りですが、独りで暮らしてきた彼なりの孤独が感じられる台詞はなかなか味わい深かったです。
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そうそう、ファイト中に一瞬、3作目で逝ったトレーナー・ミッキーの映像が挿入されたように思います。あれも『ロッキー』での二人の確執と和解を見ていたからこその(一瞬の)感涙モノでしたが、何と言っても胸にジーンと来るのはやはりフィラデルフィア美術館の階段シーンの再現でしょうね。
あの名曲と共にね。

ロッキー、お疲れ様でした。残りの人生をよいものに!
  
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あっ、もしこれから観に行くかもしれないという方は、エンドロールが流れ始めても最後の最後まで決して席を立たないで下さいね。
原点に立つロッキーを観てから帰ってください。



 前夜に『ロッキー』を観ると決めていたので、その日は外出の帰りにチンザノ・ドライを買って帰りました。
「イタリアの種馬」ロッキー・バルボアだから、イタリアのお酒ってことで思い出し、久々に飲みたくなったのです。

チンザノはビアンコやロッソもありますが私はやっぱり<ドライ>が好きです。カクテルに使われることの多いベルモットですが、私はオン・ザ・ロックでいただくのが好きです。
独特のスパイシー香が、VIDEOの映像と相まって胸を熱くさせました。       
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そういえば、昔の甲斐バンドの曲に「ドライのチンザノのようにつれなく熱く愛してくれないか」という歌詞がありましたっけ。
アルバム『破れたハートを売り物に』に収められている「ジャンキーズ・ロックンロール」という曲の一節でした。

ロッキー・バルボアも、一歩間違えればジャンキーの道を歩むような生活をしていたけれど、エイドリアンへの想いが彼を日の当たる場所に導いてくれた・・・のですね。







posted by ぺろんぱ at 11:50| Comment(16) | TrackBack(4) | 日記
この記事へのコメント
ぺろんぱさん、こんばんは。
ファイナル、観てこられたのですね〜
こちらの記事を拝読しながら、又々思い出して涙が零れました。
...ぺろんぱさん、うまい!うま過ぎです!(*ToT)人(T-T*)
やはり、ロッキー=スタローン。 
ロッキーを通して、スタローンの役者人生が重なります。
最近、「東京タワー」「ロッキー」と続けて観たせいもあり、
”老い”に対して色々と考えさせられるんです。
まさに、ぺろんぱさんの仰る通り、
今の彼だからこそ悲哀感が痛いまでに伝わってきたのですね。
それでも終幕のファイトシーンでは、熱くこみ上げてくるものを感じ
劇中の観客と一緒に応援しちゃいました。
映画館で見届けることが出来て本当に良かったと思います。

それから、ただ書き散らしてるだけの私の感想を、
こちらでとり上げて頂いて恐縮です!ありがとうございました。
兵庫県立美術館の階段...一瞬ビックリ!!(笑)
Posted by any at 2007年05月05日 16:41
anyさん、コメントとTBをありがとうございます!
anyさんのお蔭で観に行こうと決められたので、本当に感謝しています。
やっぱり熱いものがこみ上げてくる映画っていいですね。それから、anyさんの仰る通り、スクリーンで観てこその「FINAL」だったかと。

anyさんのブログをとても楽しく拝読している一ファン・ぺろんぱです!
Posted by ぺろんぱ at 2007年05月05日 20:59
ばんはです。

1作目でのボクサー“スパイダー”は確認されましたか?

私的に、腰を傷めてるのがあり、スタロ〜ンのあの(トレーニング場面での)ガッツが羨ましかったです(・ω・)
Posted by TiM3 at 2007年05月05日 23:47
TiM3さん、こんばんは。
スパイダーって一昨目?ですか?すみません、気付きませんでした。あかんなぁ(反省)・・・今度再見してみます。

腰、大丈夫ですか?かく言う私も最近腰痛(右のみ。微痛ですが。)に悩まされております。

お大事になさってくださいね。
Posted by ぺろんぱ at 2007年05月06日 21:19
私も見る気はなかったんですが....このブログとanyさんのブログを読んでちょっと揺れています。
見たい気がしてきた....
Posted by west32 at 2007年05月06日 23:40
どもです。

考えたら、あの幕切れも「1」の流れでしたね。

>腰、大丈夫ですか?

いや・・椎間板ヘルニアなので、完治はないのです(×_×)
ああ、昔のように「空中後方3回転半ひねり前方かかえ込み宙返り」とかしたい・・
(↑昔からそんなん出来へんやろ!)

追記:west32 さん。『ロッキー6』の方が『バベル』より“骨格”はしっかり作られてるように感じましたよ。明快なメッセージ性に限っては、勝ってるんじゃないでしょうかね(=^_^=)
Posted by TiM3 at 2007年05月07日 00:45
すいません、ロッキーシリーズは全くと言っていいぐらい観ていません。

話は変りますが、私にとってロッキーといえば昔飼っていたコリー犬の名前がロッキーでした。

雄でしたが、ロッキー・バルボアのような力強さはなく、あかんたれでした(^_^;)

ロッキーシリーズ、これから機会があれば観てみたいと思います。


Posted by ちろり at 2007年05月07日 17:36
west32さん、ようこそです。

その“揺れ”が右?に振れた時は是非コメントを楽しみにさせてくださいね。
マイナスのコメントもそれはそれで非常に楽しみです。
左?に揺れたなら、・・・その時の作品を楽しみにしています。
Posted by ぺろんぱ at 2007年05月07日 21:41
TiM3さん、どうもです。

>「空中後方3回転半ひねり前方かかえ込み宙返り」

どんな技なんかなと頭で思い描いてる内にオチに一文が見えてしまいました。残念。

「ロッキ6」って・・・TiM3さんはもしかしてまだシリーズが続くと・・・?

確かにメッセージは明確でしたね。
Posted by ぺろんぱ at 2007年05月07日 21:49
ちろりさん、こんばんは。
コリー犬の命名の由来は映画ロッキーとは別なのでしょうね、きっと。

御覧になるならやはり「1」をどうぞ。
シリーズモノって個人との相性が大きく関わってきますものね・・・もしも“相容れるもの”があればいいなぁとおもいます。
Posted by ぺろんぱ at 2007年05月07日 21:54
こんにちは♪
大分遅くなりましたが、映画館で観る事ができました。
シンプルで、温かいものに溢れたいいファイナルでした。
リングに立つまでのストーリーも、
スタローンの優しく見守るような目線で描かれていてぐっときました〜☆

TBさせて下さいね♪
Posted by kira at 2007年05月11日 12:05
kiraさん、こんにちは。コメントとTBをありがとうございます。

>スタローンの優しく見守るような目線
そうですね、「強さ」は「優しさ」にも繋がるのですね。
ホント、シンプルだけど熱い映画でした。
そちらにもコメント残させていただきますね。
Posted by ぺろんぱ at 2007年05月13日 15:56

腰が痛いのは辛いものです。
私も14年間悩まされました。

私が考案した腰痛解消法をお試しください。

【3分腰痛解消法】で、検索すると見つかります。

腰をお大事に。
Posted by 腰痛アドバイザー at 2008年02月24日 15:28
腰痛アドバイザー様、初めまして、コメントありがとうございます。

今は私は治っておりますが、ご考案された【3分腰痛解消法】は検索して拝見させて頂きます。
ありがとうございます。
Posted by ぺろんぱ at 2008年02月24日 21:42
随分と遅くなりましたが......やっと観ました。

うん、「原点」に戻れますね。

自分自身が段々年取っていくと共感できる点も多いです。自分へ、次の世代へ送る言葉のような気がしました。
Posted by west32@ロッキー・ザ・ファイナル at 2008年11月22日 10:12
west32さん、こんにちは。
PCが一時的にネット回線不通となり、何とか復旧して今になってしまいました。コメントが遅れましてすみません。

若かったら(多分)あまり良く理解できなかったであろう台詞も、脳に届いて涙腺まで刺激してしまうのは、良くも悪くも年を重ねた証拠ですね。

結構自分にもホットな感情があるのだと思い知りました。
Posted by ぺろんぱ at 2008年11月24日 16:04
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