監督は日系アメリカ人、本作が長編デヴュー作とのことです。
原題は『 Sin Nombre(Withouto Name)』。
法的に認められた書類を持たない(持てない)名もなき不法移民達、ということなのでしょうか。
story
ホンジュラスで暮らす少女サイラ(パウリナ・ガイタン)のもとに、アメリカで暮らしていた父が戻ってきた。強制送還された父は家族と暮らすため、サイラを連れて再びアメリカを目指す。一方、メキシコ南部の町で、青年カスペル(エドガー・フロレス)はギャング団の一員として未来の見えない生活を送っていた。彼の希望は恋人のマルタだったが、その幸せの日も終わりを告げる。強盗目的でサイラたちが乗る貨物列車の屋根に乗り込んだカスペルだが、事態は意外な展開を見せる。(※story、写真とも映画情報サイトより転載させて頂きました。)

「ここには何もない」と言って再びアメリカを目指した父親。
平穏さがない、豊かな暮らしもない、希望もない、未来もない、ということでしょうか。
しかしアメリカに無事に渡れたとしても、不法入国の彼らは常に強制送還に怯え続けなければいけないし、当然ながら自由で豊かな生活が得られるということはないのでしょう。
それでも超えようとするアメリカとの国境。
そして本作は、アメリカとの国境を越える迄、国境に差し掛かるその地点に辿り着くまでに更に越えねばならないメキシコ国境と、そのための更に長く危険で過酷な旅があることを、平和な地で暮らす我々に教えてくれました。
生きるため。そのために課せられる苦しみ。
ギャングとなったカスペルも然り。その余りの過酷さに胸塞ぐ思いがし、スクリーンを正視できないことも。
あることで一線を越え、死へのカウントダウンとも言える世界へとダイヴしてしまったカスペル。
ギャングでの名前を捨て、本当の名前・ウィリーとして彼に再び生きる光をもたらせたのはサイラでしたが、その光を掴むために越えねばならない壁は余りに高く、余りに厚い。
いつか悲しみに打ちのめされる時が来ると分かっていながらも、祈りにも似た思いでサイラとウィリーを目で追ってしまうのは、本作が二人の淡い恋情を描いた青春映画としても秀逸だったからだと感じました。

原題は「Withouto Name」でありながら、「名前」が結構大切なキーとなっていた気もします。
サイラとウィリーが名乗りあうシーンや、ラストで、電話線を通してサイラと某人物とが互いの名前を呼び合うシーンとか、やはり彼らは「名前」とそれぞれの大切な「人生」を持った唯一無二の人間なのだと感じるのです。
かつてウィリーがギャング仲間に引き入れた幼きスマイリー。
彼にとっても、そして国境を越えたサイラにとっても、これからの道は何一つとして安寧が保証されるものではないことが、やはり何と言っても重たい「現実」なのです。
列車が走る山間の風景は美しく、違う状況で眺めていられたのならどんなに素晴らしいかと思うほど。ロードムービーとしても佳品だったのではないでしょうか。
主演の二人には心惹かれました。
特にウィリー役のエドガー・フロレス。無名の新人俳優のようですが、孤高な雰囲気がたまらず本作で印象深く心に刻み込みました。

さて、昨夕は男女6人が集っての夏宴でした。
とても楽しく、時間があっという間に過ぎてしまいました。ご参加の皆さん、佳き時間をありがとうございました。

上の写真は昨夕のではなくて、少し前の、以前いた会社のOBの方々の酒宴に呼んでいただいた時のものです。マルビル3F<豆助>にて。
この時も佳き時間を過ごすことができました、皆さん、ありがとうございました。

一見平和に見えるこの地・日本でも、人生いろいろ、それぞれにそれぞれの来し方と行く末があるのですよね。しみじみ。
ソレイユの支配人さんに、動いて欲しいトコです。
彼ら二人にもそうした平和な世界で生き抜いて行ってほしいという願いでいっぱいでした。
淡い恋って見てて応援したくなります。
ワタシもこんな時代があったんだな〜と油断したところに
過酷な運命がふたりに迫ってきてたんですね。
ラストの受話器から聴こえる声のトーンになんともいえない安堵感を覚えたものです。
PS:親指の件助かりました!コメントで確信できました^^
主人公の二人がとにかくいいんですよ〜、本当に。
主演の女の子は目力がありますよね。
ソレイユさん、上映をお願いします!
(神戸の地から高松方面に向かって念力を送りました。)(*^_^*)
ウィリー、涙のタトゥーを消したのにね。
あの河は独りで渡るのはやっぱり無理があったのでしょうかねえ。(T_T)
>ワタシもこんな時代があった
itukaさん、過去形ですか?
いいえ、まだまだ〜ingでいらしてください。(*^_^*)
ラストのあの声のトーン、そこから感じ取れる小さくとも“陽”の部分の未来が、どうか損なわれることのないようにと願うばかりです。
PS.お母さんへの思慕とも感じられるあのタトゥーにも、今思えば涙・・・。
中南米にとってはアメリカは夢の国って感じがあり、確かに憬れですね。ここに書かれているようにアメリカにいって良い事がある訳ではないのでしょうが。
ウエストサイドストーリーも中米からの移民が扱われていましたよね。
興味深いテーマです。
あと、ぺろんぱさんの言葉
> ロードムービーとしても佳品だったのではないでしょうか。
益々惹かれますね。
うーん、観たくなってしまいました。
PS 昔スペイン語圏で水を頼むとき Sin Gas と言って頼んでいました。 でも今は Con Gas の方が好きです。
>アメリカにいって良い事がある訳では
移民の、しかも不法入国の移民の置かれる状況って、多分我々の想像を超える苦悩や恐怖があると思うので、自由の国・アメリカといえどもその自由を謳歌できるとはとても思えず・・・。
>ロードムービーとしても佳品
時折ハッとさせられるような(日本では見られない類の)風景が見えたので単純に喜んだだけのことなのですけれどね。^_^;
>Sin Gas ・・・ Con Gas
私はスペイン語に付いては学習経験がないのでちょっとネットで調べてみました。
例えばスペイン語圏の気候や食べ物との相性を考えると「Con Gas」の方がいいかもしれませんね!(*^_^*)・・・って、考えてみればスペイン語圏を旅したこともありませんでしたが。^_^;
>違う状況で眺めていられたのならどんなに素晴らしいか
車上からの風景は緑の色が濃くて空も高く、きっと空気もおいしいんやろなぁと感じさせました。
余計な事をせず、自然から受ける恵みをもらうだけで単純に生きていけたら
今より人は幸せかも、等と考えてしまいます。
政治的問題や紛争地域等で難民となった人達と、
貧困から抜け出すために国境を越える人達とでは、
私の中ではやはり大きな違いがあるというか。。。。
今後、日本も外国人や難民の方たちをどう受け入れていくか、
難しいけど考えないといけない問題ですね。
>きっと空気もおいしいんやろなぁと
思いっきり深呼吸して、前だけを向いて歩いて行ける人生だったらどんなに良かったでしょうね。
それはステージを変えて我々日本に生きる人間にしたって同じですよね。ゆるりさんの仰る通り、大地の幸を感じて単純に生きていけたら自ら命を絶つ人もきっともっと減るはず、ですよね。
自国の安全を慮ることは勿論とても重要なことですが、気候が地球規模でおかしくなっていることや貧富の差が世界水準でその明暗をより一層際立たせていることを思うに、政治も今は地球規模で未来を見据えることが叫ばれねばならないのだと感じました。
難民として状況は悲惨だけど、貨物の上での旅、確かに景色もきれいで、ロードムービーとしても良かったですね。
また主演の二人、本当にいいですね、段々段々親しくなっていくその思い、淡い純愛ですね。
観に行くきっかけありがとうございました。
ロードムービー、思い浮かぶものは結構哀感を伴うものばかりですが、本作も然り。哀しさが風景の美しさをより一層際立たせるのでしょうか。
カスペル役のエドガー・フロレス、最初は地味な顔立ちだなぁと思っていたのですがぐぐっと引き込まれてしまいました。
継ぎにどんな役でスクリーンに登場してくれるのか楽しみです。(*^_^*)
>観に行くきっかけありがとう
とんでもないです。こちらこそ直ぐにコメントを入れて下さってありがとうございます。(*^_^*)