「壮絶」とか「重苦しい」とかいう言葉より、率直に「異様な」「イタイ」作品だと感じました。ある意味、「夢」のようでもありました。それだけに、おそらく忘れることのない作品になったとも言えるでしょう。
story
映画『UNloved』の万田邦敏監督が、殺人犯に共鳴し心に惹かれていく女性の姿をスクリーンに焼き付けた究極の愛の物語。
坂口(豊川悦司)は一家惨殺事件の犯人として自ら名乗りを上げ、テレビの生中継で自身の逮捕劇を放映させた。そのニュースを見ていたOLの京子(小池栄子)は、坂口がカメラに向かってほほ笑んだのを目の当たりにした瞬間、自分たちは同類だと直感する。それまで孤独と絶望の中で生きてきた彼女は仕事も辞め、無我夢中で事件を調べ始める。やがて京子は、坂口の弁護士・長谷川(仲村トオル)を通じて差し入れや手紙を送リ始めるが・・・。(※story、写真とも映画情報サイトより転載させて頂きました。)
冒頭、夢遊病者のように新興住宅地を彷徨う坂口の姿は怖いです。
惨殺シーンの描写はありませんが、とにかく漂う狂気が怖すぎて目を背けてしまうほど。
しかし後半、自身が抱える暗闇の心情をまるで嗚咽のように吐露する坂口にさえ(一瞬ではあるけれど)“人間”としての苦悩を見てしまうほど、京子の静かな狂気は人間のものではないような底なしの怖さを感じさせたのでした。
彼女にとって坂口の存在は何だったのか。
坂口への愛というより、京子の自己存在を肯定させてくれる対象だったのではないでしょうか。だから、言いかえればそれは究極の「自己愛」かと。
「わたしたち」という語を多用し、「戦闘開始だね」と坂口を世間への仕返しの同胞に仕立てる京子。
自分が世間に対して最も反発をしていた「他人が自分を従わせようとする」行為を、彼女は結局坂口に対してしてしまっていたような気がするのです。
坂口と京子。
互いに、ある一点で一瞬交差するものの、そこからは違う方向に離れていってしまったような気がしました。
問題はラストのあの接吻でしょう。
それまで(それ以外)なら、充分にとはいえないまでも想定できた世界ですから。しかしあの接吻には驚きました。
あの接吻をしておきながら「私のことは放っておいて!」と叫ぶ京子に、自己愛の屈折した形と新たな「戦闘開始」を見た気がして、人の心の在り様や病み方の形は無限の数を有するものなのだと感じた次第です。
そこから何処へ到達できるのかは、導かれているものではありませんし全く分かりません。良くも悪くも、迷い道に入り込んだという感じでした。

さてさて、先々月に北新地にOPENしたてのBAR「J」にて、ジン・トニックです。
それぞれのBARにそれぞれのスタイルがあるのですね。 こちらも画的に美しいです。
OPENっていうことで、この素敵なお店には「Happy birthday!!」 なのですが、この映画で歌われていた♪Happy birthday♪は今まで聴いた中で最も凍りつくBirthday Song でした、哀しくて怖いです。
本作、劇場公開時にはスルーしちゃったようですが、
何処となくカントクさんの「挑発的な笑み」が
「画面の向こう」に浮かんで来るようで、何ともドキドキさせられそうですね。
ああ、気になって来た・・
って言うか「接吻」って言葉にまずドキドキ(照)
「接吻」という言葉、いいですね。
私も本作は気になりつつスルーしてしまっていました。
当時はとかく小池さんの怪演?熱演ぶりが話題でしたが(私も一つにはそれが観たくて課題作としたのですが)、もう一人の主演・トヨエツさんもとても素晴らしかったと感じました。今、TV.ではオッチョとして御登場ですが。(^^)
不思議な魅力の映画のようですね、小池さんも、豊川さんも怪演!良さげですね。
>「わたしたち」という語を多用し、・・・
この言葉、共同体というのを感じさせますね。あなたも私も「同じ」という雰囲気です。偏っていそうな二人の間でそれを言われると、いわゆる世間に反発している人たちの間では共有感がでます。
そんな怖さの映画のようですね。
機会があればDVD借りて観ます。
小池さん、豊川さん、そして仲村さんの演技三つ巴の世界を、是非いつかご覧下さいね。(^^)
「わたしたち」という言葉を途中から京子(小池さん)が何度も遣っているのが、ちょっと怖かったです。
トヨエツさんの歌う♪Happy birthday♪もかなり怖かったですが。^_^;
機会がございましたら手に取ってみて下さいね。