クロード・シャブロル監督が逝かれました、先日の新聞の訃報で知りました。08年に『美しきセルジュ』を鑑賞したのが印象に残っています。ご冥福をお祈り致します。

このお店(旧居留地店)は地下にあるので店舗内の華やかなチョコレートたちは眺めることはできませんが、懐かしい思いで暫し立ち止まってエントランスを眺めていました。というのも、拙ブログの初記事は『白バラの祈り』の鑑賞映画とこのお店のチョコのことを書いたので。
あれから4年と半年。
最初の記事は随分コンパクトでした。
それから徐々に今みたいにだらだらと書き連ねるようになってしまいましたが、初心に帰って、あんなふうに日常のつぶやき的なブログにするのもいいのかも。
初回の記事から続けて2〜3回は、大好きな監督アキ・カウリスマキのことにもちょっと触れていたみたいです(読み返してみると)。
実際に作品タイトルと何らかの感想を記しているのは、『ラヴィ・ド・ボエーム』『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』『パラダイスの夕暮れ』に加え最新作『街のあかり』、そしてリバイバル上映された際の短編5作品、といったところです。
カウリスマキ作品(長編)の<MY BEST 1 >はやはり『ラヴィ・ド・ボエーム』かなぁと過去記事に記していましたが、あと4作品をチョイスして<好きな作品 BEST5>にするなら、、、レヴューを書いている『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』『パラダイスの夕暮れ』に加え、『コントラクト・キラー』、そして超変化球的な初期作品『カラマリ・ユニオン』あたりでしょうか。特に『コントラクト・キラー』は外せません。

『コントラクト・キラー』は、人生に希望を失くして自殺を決意したが失敗し契約殺人(コントラクトキラー)の組織に自らの殺しを依頼した男が、直後に美しい花売り娘と恋に落ちたことから始まるちょっと風変わりなサスペンスコメディです。
例によって“真面目に可笑しい”主人公の男アンリを、フランスの名優ジャン・ピエール・レオーが演じています。(この作品にはマッティ・ペロンパーは出てきません。)
一つ一つの台詞も味わい深く、さりげないささやかなシーンにもそれぞれに小さなドラマの存在を感じさせてくれる演出が心ニクイです。
そして愛すべき人たちが登場しますよ。アンリは勿論のこと、アンリがアルバイトするハンバーガーショップの店主(演じるはセルジュ・レジアニ)、孤高の殺し屋(演じるはケネス・コリー)、花売り娘マーガレット(演じるはマージ・クラーク)、ついでに、契約殺人組織の雇われ人ながら生きることの素晴らしさをアンリに諭す(ちょっとお間抜けな)男二人、みんな何だかとても好きです。ラストは心にそっと小さな花が咲きます。

『カラマリ・ユニオン』は邦訳すれば「イカ墨同盟」。
腐った現実ばかりの町を抜け出し理想郷・エイラを目指す、全員がフランクという名の15人の男たちの物語。お金も伝手もない困難な旅路で旅の途中でひとり又ひとりと脱落してゆくのですが、そのロードはとにかく滅茶苦茶で夢とも現実とも区別がつかない。パンキッシュなロードムービーです。
予測不能なユーモアに満ちていますが、全編モノクローム映像で、15人のフランクが一斉に旅に出るシーンはスタイリッシュですらあります。カウリスマキ独特のドライでクールな作風が炸裂。台詞は哲学的といえなくもないですが、理解するもしないも全て受け流して彼らと共にエイラを目指しましょう。はたして其処には・・・。
超変化球的と書きましたが、もしかしたらこれが最も直球なのかもしれませんよ。
初めにチョコレートのことを書きましたが、私は何も、いつも粗塩舐めて日本酒飲んでるわけじゃありません。甘いものも大好きだから時にはチョコレートだって買いに行きます。というか、「極上のチョコを極上のブランデーと共に」というのが、私が「最後の晩餐には?」と問われた時(誰がそんなこと問うんだよっ!)の回答の一つです。(あと2パターンほど用意してます。誰からも問われないでしょうけど。)

取り敢えず、今日はちっとも極上じゃないお酒とお肴で。