2011年02月26日

ヤコブへの手紙

 テアトル梅田でフィンランドの映画『ヤコブへの手紙』(クラウス・ハロ監督)を観てきました。

1970年代のフィンランドの片田舎を舞台に、12年間暮らした刑務所から出てきたレイラと、人々からの手紙を待ち続ける盲目の年老いた牧師ヤコブ、そして悩める人々からヤコブ牧師への手紙を届ける郵便配達人の3人が紡ぐ、手紙を巡る物語(映画情報サイトより一部転載)です。

      ヤコブ1.jpg   
 
 
                  

 魂の救済。
そんな言葉が浮かんだ映画でした。
レイラの告白と「私は許されるのか」の問いに、「人間にはできないが神には何でもできる」と答えたヤコブ牧師でしたが、この映画には「人間による救済」が満ちていました。ヤコブ牧師もまた、人間によって救われていたのだから。

名もなき画家が慈愛を込めて描いた一枚の宗教画のように、この映画には心を清澄にさせるものがありました。

カウリスマキ作品以外で聞くフィンランド語は久々でした。レイラ役のカーリナ・ハザードの口から紡がれるそれは無機質で、頑なに心を閉ざす冷徹さがあったにせよ静かに耳に響き、息をのむほどに美しいフィンランドの田舎の風景と共に充分に優しく私の心身を包んでくれた気がします。

75分というフィルム。潔過ぎて少し勿体ない気もしました。

やっと叶った劇場鑑賞と先夜の仕事帰りの一杯に、感謝。

    たまゆら.jpg
posted by ぺろんぱ at 23:05| Comment(6) | TrackBack(1) | 日記
この記事へのコメント
Welcome back!
復活されて、嬉しいです〜
そして、早々に稚ブログにもお越しいただき
ありがとうございます。

今年初鑑賞がこの作品というのは、渋いチョイスですね♪
ところで私、最初はレイラが怖かったんですよ。
映画「ミザリー」のキャシー・ベイツにも似たふてぶてしさにも
変化は訪れるんかなぁと見守る気持ちでした。

>美しいフィンランドの田舎の風景
フィンランドの夏、いつか訪れてみたいです。
Posted by ゆるり at 2011年02月27日 15:09
ゆるりさん、こんばんは。
こちらにもお越し頂き嬉しいです、ありがとうございます。

レイラ、私も怖かったですぅ。
牧師への冷たい仕打ちに「そこまでしなくても・・・」と思ったりもして。^^;
でもそんな彼女の心を抉じ開けられたのは、やはりひたすらに“隣人を愛せよ”の精神だったのでしょうか。

フィンランドの夏、いいのでしょうね。
Posted by ぺろんぱ at 2011年02月28日 19:52
復活されたのですね〜嬉しい!

私の方も更新速度めっきり落ちていますが
またよろしくお願いします。
で,この作品未見ですが
従兄妹(牧師してます)に勧められてて
ぜひ観たいと思っている作品です。
都会のミニシアターにしか来てないと思うので
DVD待ちになると思うのですが
観れたときには感想をおしゃべりさせてくださいね。
従兄妹の話ではテーマは「癒し」だとか・・・
神の癒しもいいですが人間の癒しというのが
やはりいいですよね。
Posted by なな at 2011年03月05日 01:38
ななさん、こんばんは。
コメント戴き嬉しいです、ありがとうございます。(*^_^*)

ななさんのブログも拝見させていただいておりますよ。いつも作品と真摯に向き合われている内容で素敵です。
牧師さんの従兄妹さまがいらっしゃるのですね!
ならば本当に是非ご覧になって下さいませ!
「癒し」・・・そうですね。
はい、私は人間の手による癒しを感じました。牧師さまとして従兄妹さまが為されていることも正にそうなのでしょうね。
ご覧になられた後のななさんのレヴューを楽しみにしています。
また今後ともどうぞ宜しくお願いいたしますね。(*^_^*)

Posted by ぺろんぱ at 2011年03月05日 21:18
こんばんは

DVDになってやっと観ました〜
宗教ぬきにしても,この映画,作品としても
役者とか脚本とか映像とか,見事ですね。
すごく好きな雰囲気です。
クリスチャンの私が見るとそれはやっぱり
バリバリ信仰の話でした。キリスト教の雑誌とかにも
取り上げられているわけがわかりました。

でもこの作品の凄いところというか,いいところは
押しつけがましくなくあくまでも静かな語り口なのと
クリスチャンでなくても共感や感動ができるヒューマンものにもなっていることです。
レイラが姉の手紙を読むシーンは涙が止まりませんでした。
従兄弟は牧師なのでよく頼まれて信者のために祈りますが
やはり慣れてしまうと傲慢になっちゃって「祈ってあげてる」とか思いがちになったり相談者を下にみたりしてしまうかも・・・と。だから祈ることで自分も恵まれているのだと内省させられる作品だったのでしょうね。
Posted by なな at 2011年11月12日 23:28

ななさん、いらっしゃいませ。

ご覧になった後で約束どおり再訪して下さって感激しております、ありがとうございます。(*^_^*)

クリスチャンでいらっしゃるななさんの「やっぱりバリバリ信仰の話でした。」の一文には、何やら訳もなく感動してしまいました、私。
お従兄弟様のお言葉も、真摯なご姿勢でいらっしゃるなぁと感じています。
少し前では、東北にボランティアに行かれた方々が「逆に元気付けられた」「強さをもらった」と口にしておられるのを耳にし、人は人によって支えられ救われているのだなぁと感じたりしていました。

本作でいえば、観終えた私自身が先ずは深い慈愛に包まれました。それもある意味、「救い」なのだと感じました。

Posted by ぺろんぱ at 2011年11月13日 16:03
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Excerpt: 第82回アカデミー賞外国語映画部門フィンランド代表作品。その他,各国でたくさんの賞を受賞し,小品ながら多くの人の心に静かな感動を与えた作品。DVDで鑑賞。 ・・・・ほんとに静謐な作品だ。BGMは,まる..
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