本当の春の温もりが、日本各地に一日も早く届けられますように。
梅田ガーデンシネマで『ブンミおじさんの森』(アピチャッポン・ウィーラセタクン監督)を観ました。
これはタイ北部の農村を舞台にした物語。そしてそこには悠然とした死生観が描かれていて、少し前にDVD鑑賞したタイを舞台にした映画『プール』と重なるところもあって、またしても「人生は繋がっている」と感じたのでした。

死期を悟ったブンミおじさんと彼の農園に集った亡き妻の妹と甥。
そこに亡き妻の亡霊と行方知れずだった息子が姿を変えて現れるという物語です。(※写真は映画情報サイトより転載させて頂きました。)
とにかくあらゆる驚きがあった映画。
映像や物語の行方に於いて特異性が際立っていました。猿の精霊と化した息子の姿は観る者を引かせるほどのインパクトで、いきなり別次元に連れて行かれた感がありました。
人間、猿、牛、ナマズ、或いは病に取りつかれた人間とそうでない人間、それらの間に繋がれた見えない輪廻の糸。
圧巻と感じたのは、王女が湖でナマズと交わる(ような)シーンです。映像や音は、ふとタルコフスキー監督作品を想起させるものがありました。
死は、それで the end ではない、それは「回帰すること」或いは「昇華すること」なのだということを、漠然とですが感じた作品でした。(現実に帰れば、それは死の迎え方にもよるのでしょう。この度の震災でこれだけ多くの不条理極まりない死に向き合っている今の日本では、きちんと心の焦点を合わせられないような感じでした。)
終盤のドッペルゲンガーを撮ったシークエンスは、ブンミおじさんの死を描いたそれまで物語との整合性が(私には)見つからず、理解し得ないままにふわふわと帰途に付いたのでした。
死をテーマにしていながらも重苦しい作品ではなく、夢想の世界を漂う物語のようでした。カンヌでパルムドールを受賞した作品とか。
今日という「日常」に感謝。
そしてK子ちゃん、三ヶ月ぶりに会えて嬉しかった、ありがとう。
先ずはこの地で、元気出して歩こう。

ですが、実は半分位夢の中に突入してしまって
ほとんど覚えていないんです。
全体的にゆったりしたテンポですごい長回しやったような気がするんですが、
前々日に起こったあまりにショッキングな出来事とそれによる寝不足もあって。。。。
(以下言い訳が続く)
最後のドッペルゲンガーは、それまでの流れを見ていてもピン!とこなかったんですネ。なるほど。あまり多くは語れないのですが、考えるより感じるタイプの映画なんかなぁという印象でした。
レモングラスの香りの石鹸を使ったお坊さん(これって誰でした?)が、
「トムヤムクンみたい」と言われてたのが面白かった-と、こんな感想しかないので
レビューも上げてません。あぁクヤシイ。
>死をテーマにしていながらも重苦しい作品ではなく、夢想の世界を漂う物語のよう
その印象はかろうじて残っています。ぺろんぱさんのレビューを拝読す事によって
映像が少しずつ蘇ってくるような気がします。
私も、日常のありがたさを日々噛み締めながら過ごしております。
本作、ご覧になられていたのですね。
私が観た回でも“夢の中”だった人は多かったと思います。
作品の醸す空気は嫌いじゃないのですが、ローテクの極致と評されていた撮り方は「一歩間違えば」という世界で、のっけから別次元に放り込まれた感じがありました。
>お坊さん(これって誰でした?)
ブンミの甥っ子ですよね?最初、テーブルについてた男の子だと思ったのですが。
俳優さんの名前ということなら・・・すみません、サックダー・ケアウブアディニとかいう御方らしいです。(ネット情報)でも全てが現地の素人さんで俳優さんじゃなかったとか。
不思議な作品でした。
・・・ 3.11を境に日本人の心の中で何かが大きく変わってしまったように思います。
しかし、それでもやっぱり、少しずつ少しずつ前に進んで行けたらいいですよね。
この監督さんの放ったモノでした。
衛星への降臨を、気長に待ってみます(・ω・)
はい。貴ブログにお伺いした際に「あ、この監督さんの言葉だ!」って思っていましたよ。他のお方のお言葉に言及したコメントしか残させて頂かなかったのですが。
私ももう一回確かめる気持ちで観てみたいので、衛星での放映を待っておきます。(^^)