2011年04月22日

ブタがいた教室(DVD鑑賞)


 今日(日付が変わって「昨日」になっちゃったけど)は仕事の休憩時間に春の陽射しをたっぷり浴びた。
用事を済ませた後は外のベンチに腰掛けてビタミンEをいっぱい吸収した。
いろんな報道に人々が俯いてしまう今だけど、陽を浴びたら少し心が膨らむ感じ。太陽の力ってすごい。

 Mriちゃんが送ってくれたDVDからもう一作、『ブタがいた教室』(前田哲監督)を鑑賞。公開時に気になりつつも見送った作品でした。

大阪の小学校で新任教師が実際に取り上げた教育プログラム(ブタを大切に飼育し、一年後、命に感謝しつつ食べるというもの)を映画化した作品。ウィキ情報には「新任教師が大阪・豊能町立東能勢小学校で実際に900日間にかけて行った授業を基にしている」とありました。

                      豚が.jpg  
                          ※画像は映画情報サイトよりの転載です
さて。
Pちゃんと名付けられたブタは可愛かったです。でっかくてガツガツ食べるし時に大暴れしたりもするけれど、Pちゃんを見る子供たちの目はみな本当に優しかったです。
映画としては、子供たちの真っ直ぐな心と「育てる」ことへの真摯な姿勢がダイレクトに感じられ、みんなそれぞれの形で「命」に向きあった想いがリアルに伝わってきたと思いました。

でも「実際の問題」として考えた時、あまりに多くのことが疑問となって残り、ちょっと複雑な気分でした。
果たしてこの授業は子供たちみんなに等しく「功」をもたらしたのか。
余りに大きな問題で、これを子供たちに提起するには余りにこの教師自身がブレていたのじゃないか。
食べるということを前提にしていながら名前を付けることを容認した段階で、顛末は想定できたはずではないか。
子供たちに結論を委ねるというが、話合いで平行線だからと多数決で決めてよいことなのか。
なお最後まで割れた意見を、何ゆえ教師の意思で一方へと強引に舵を取ったのか。

一人の女の子が言った、「命の長さは誰が決めるの?・・・(誰にも決められないなら)私は一日も長くPちゃんに生きてほしい」の言葉は心にずしんときました。食べるという前提も卒業という期限も無かったとしたら、Pちゃんに生きてほしいと思う気持ちは子供たちみんなにあったと思うから。

この先生が真剣に教育に取り組もうとされた熱情は汲まれるべきものと思います、私なんかが言うまでもなく。
けれど命の尊厳を自分なりに学んだ子たちもいれば何かしらのトラウマを残した子もいるはずで、一人でもそういう子を産んでしまったとしたらそれを教育と呼んでしまって果たしてよいのでしょうか。
子供たちを待つ人生は苛酷なことの繰り返しで、試練は必要なのかもしれません。でも意図的に作った苛酷な状況下で試練を与えなくとも、多くの子供たちはいつかはそれを自分自身で学んでいくと思うのです。

何より、食べもの飲みものに命への感謝をして戴くことと、育ててきた動物の命を考えることとは、全く別俎上の問題だと感じました。

反芻は続く。考える契機となった本作、Mriちゃん送ってくれてありがとう。

                      焼酎の水割り.jpg
                       
いつだったかの乾杯。
お酒に感謝、そしてお酒を呑める一日に感謝。
posted by ぺろんぱ at 01:17| Comment(8) | TrackBack(1) | 日記
この記事へのコメント
ばんはです。

本作は未見なのですが、小説版だかを書店だかで(←曖昧やなぁ)
チラ読みしてしまい、ラストシーンを知ってしまい、
妙にしんみりしてしまったモノでした。。

そう言えば『食堂かたつむり』って作品でも、
エルメスと名付けられたブタが登場してまして、
似たような演出が用いられてました・・

ああ、思い出して、また何だかしんみり(・ω・)
Posted by TiM3 at 2011年04月23日 00:12
大変ご無沙汰しておりますm(_ _)m
お日様で“心が膨らむ”に思わず頷きました♪
ぺろんぱさんはなんて味わいのある表現をするのでしょう!
暖められた思いです(o^^o)

私も未見ですが、その後の件もニュース番組で観た覚えがあります。
「命」を育てること、「命」を愛すること、「命」を食すること、「命」を思うこと…
子供心に与えた影響は計り知れませんよね。
傷ついても気付かないよりは良かったのかも、と言い放ってしまえないところが難しい問題。
矛盾を抱えて生きることの学びのひとつには違いないけれど。
問題の出ないクラス運営にばかり必死な担任教師が多い中、この先生は頑張ったなぁと思いました。
Posted by fizz♪ at 2011年04月24日 02:19
TiM3さん、こんばんは。

そうなのです、私もラストには少なからずショックを受けました。何故あの道に最終的に決めたのか、あの時点でエンドにしなくてもよかったのにという思いでした。
仰る通り、しんみり、です。

『食堂かたつむり』は未見ですが比較的新しい作品ですよね。
エルメスですか、ゴージャスな名前を付けてもらったブタちゃんの運命は如何なるものだったのでしょう。
Posted by ぺろんぱ at 2011年04月24日 19:09
fizz♪さん、こんばんは。
御無沙汰です、忘れずにお越しくださり嬉しいです。(*^_^*)
拙い表現を心あたたかく受け止めて下さってありがとうございます。これもお日さんのお蔭かな。(^^)

>矛盾を抱えて生きることの学びのひとつ

なるほど、子供たちは成長しながら多分その矛盾に自分なりに折り合いを付けていくのでしょうね。

>この先生は頑張ったなぁと

仰る通り、事なかれ主義が横行する中でこの先生は「問題意識」を形あるものとして提示されたわけですものね。

しかしそれだけに、何だか残念な思いも強く残ってしまったのですよね・・・。
Posted by ぺろんぱ at 2011年04月24日 19:21
ばんはです。

阪神高速3号神戸線で、道路工事をやってたため、
40〜50分ほど帰松時間が遅くなってしまいました(×_×)

なんで(わざわざ)休日の浅めな時間帯に道路工事するんやろ・・(呆)

>エルメスですか、ゴージャスな名前を付けてもらった
>ブタちゃんの運命は

コレは、ちょっと理由があるようでして・・

ランドレース種(=L:エル)の雌(=メス)で「エルメス」と命名されたようです(=^_^=)

補足まで・・
Posted by TiM3 at 2011年04月25日 01:08
こんばんは。
未見のくせにしつこくてごめんなさいm(_ _)m

>意図的に作った苛酷な状況下で試練を与えなくとも
>しかしそれだけに、何だか残念な思いも強く残ってしまった

ぺろんぱさんの無念さが、観ていない私にもしっかり伝わりました。
子供たちは成長して、今どんな思いでいるでしょうね。
トラウマ…癒されているといいですね。

邦画も最近手応えのあるものが多いですね。早く「悪人」を観なければ(*^^*)
またお邪魔させてくださいね。
Posted by fizz♪ at 2011年04月25日 15:02
TiM3さん、こんばんは。

エルメスという名はそういう由来だったのですね!・・・センスいいですね。
補足の御説明、ありがとうございます。(*^_^*)

お帰りが遅くなられたのにコメント戴き本当にありがとうございます。
年度末だけじゃなかったんですね、高速の工事。
休日の浅い時間っていうのは、やっぱり先ずは経済回転が優先されてるってことでしょうか。
運転、本当にお疲れさまでございましたね。
Posted by ぺろんぱ at 2011年04月25日 21:31
fizz♪さん、こんばんは。

とんでもないです!どんどんお越し下さい、嬉しいです!ありがとうございます。

>子供たちは成長して、今どんな思いで

そうなのです、実は私も(実在した)その後の子供たちの声を聴いてみたいなぁって思っていたのです。少なくともこの先生は何らかの形で生の声を聴いていらっしゃると思いますし。

そうです、邦画は凄く見応えのある作品が出てきてますよね。見送ってしまった作品も多数(涙)。
fizz♪さん、<悪人>もズシンと来ますが、いつかエネルギーのあるときにご覧になって御来訪いただけるのをお待ちしておりますよ。
Posted by ぺろんぱ at 2011年04月25日 21:41
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Excerpt: きょうは、ここでそばかうどんにしておく? いや、ポークカレーとかポークジンジャーとかポークカツレツとかないのかな? なに、それ。信じられない発言。「ブタがいた教室」を観たあとで、よくそんなこと、言え..
Weblog: 【映画がはねたら、都バスに乗って】
Tracked: 2011-04-25 20:04