いま読んでいる某書物の中に「40代は“マイルドな絶望”を感じるとき」とありました。
表現もマイルドなようで手厳しい。でもその一方で「これからの人生を考えるとき、今日という日が一番若い」とも記されていました。
少し、勇気が出ます。
40代の人も、もっと若い人も、もっと年上の人も、それは同じです。何か違ったことが出来るかもしれませんね。
先の週末にテアトル梅田で『ダンシング・チャップリン』(周防正行監督)を鑑賞しました。
フランスの著名振付家ローラン・プティによるチャップリン名作映画のバレエ舞台「ダンシング・チャップリン」を映画化した作品で、メイキングとでもいうような生の制作現場をドキュメンタリーにした第一部と、実際のバレエ演目を映画として撮った第二部から成ります。

※画像は映画情報サイトよりの転載です
第一部のドキュメントは効いていましたねぇ。
一つ一つの演目に秘話があり、完成までの紆余曲折があり、何よりダンサーたちの弛まぬ努力とバレエ愛があっての第二部でしたから。
第一部と第二部の間には演出としての5分間の休憩が設けられていて、第二部の舞台鑑賞へ良い意味での緊張感が高められました。
バレエというのは、激しい肉体の駆使がありながら、あくまで“美”を見せるものなのだと圧倒され・・・。
<空中のバリエーション(モダン・タイムスより)>では息の合った二人のダンサーが醸す美の世界に耽溺し、<街の灯>では、哀しいものに美が重なる時その哀しみは一層深まるのだと感覚で知らされました。
<警官たち>では、湖面に映ったダンサーたちの踊りの画に周防監督の映画人としての小気味良いこだわりを感じ、他の演目でも幾つかの“映画ならではのショット”が光っていました。
ダンサーとしてチャップリンを演じたルイジ・ボニーノの、身体からまるごと発せられる人間・ボニーノとしての魅力。
アンニュイな表情が相変わらず目を釘付けにさせる草刈民代さんの“ザ・バレリーナ”的姿。
そして、最愛の妻をその妻が最も輝く舞台という現場で捉えた周防監督の深い愛。
それらが凝縮して感じられた贅沢な136分でした。

少し前の、酒春(シュバル)という名の素敵なワインバーでの赤。 しっかりとしたボディーに、品よくスパイシーな香。
静かな時の刻みを感じました。
正直言って、周防監督が妻“草刈民代”のために撮った映画という事で
そんなに期待してなかったんですが。。。。
いやぁ〜、監督を見くびってました。すみません。
というか、ルイジ・ボニーノと草刈さんが素晴らしくてとても芸術性の高い作品でした。
ボニーノは不勉強な事に初めてその踊りを拝見した次第ですが、すっかりファンになりました。
これまでも、映画やNHKBSのTV番組等で、バレエ舞台の裏側を扱ったものはありましたが、
今作は何だか群を抜いて面白かったなぁ。
話は変わりますが、ぺろんぱさんは“Bar”という名のくつろげるスペースをお持ちで、
それがなんとも羨ましく思えます。
バレエを続けていらっしゃるゆるりさんもご納得の一作だったのですね。(*^_^*)
第一部、あれこれ散漫になり過ぎずボニーノさんと草刈さんの姿をメインに追ったところが良かったです。
ボニーノさんと草刈さんの役作りの姿には、何者の介在も許さない強い世界を感じました。監督ですら入り込めなかったでしょうね。
あ、私なんてボニーノさんの名前すら知りませんでしたよ。^_^;
監督と草刈さん、芸術性に於いて互いを認め合ってる感じがいいなぁと。
>“Bar”という名のくつろげるスペースを
正直にいえば、本当にくつろげるBar(あるいは小料理屋さんのカウンター)はごく限られた何軒かだけですけどね。
お酒の力を借りてのことだから、単なる飲んべえなだけですよ、きっと。
草刈さんは7役もこなしていたんですね。
なかには少年役というのもあったのでしょうか^^
以前、本作の予告編を観たときに、ボニーノさんが
チャップリンよりも萩原流行に見えてしかたなかったです。
草刈さんの感動の涙を見た監督さんは嫉妬とかないのかな〜と感じたものです
本作の後『ブラック・スワン』を観ると、また見方が変わったりしてね^^
ポスターのボニーノさんから受ける印象は
「輪郭も含め、全然チャップリンに似てへんやんか!」でしたが、
公式サイトの予告編を観て「あ、ええなぁ〜」と素直に
思えました。
ダンスの数々もイイ感じですが、やっぱり『モダン・タイムス』
を始めとする、あの強烈&普遍的なスコア(楽曲)の数々も
イイんでしょうね〜
キートンを観てる時は、キートンが好きなんですが、
チャップリンを観てると、やっぱりチャップリンが好きな
自身に気づかされます(=^_^=)
はい、少年役もありましたよ〜、草刈さん。(*^_^*)
私はボニーノさんの素顔がマイケル・ダグラスに見えたりしました。
>監督さんは嫉妬とかないのかな
多分、不可侵の領域を分かってらっしゃるんじゃないかと。(ちょっと複雑だったかもしれませんが・・・)
でも最近草刈さんが出されたバレリーナとしての写真集も、(セミヌードとか多いらしいのですが)「これは彼女の“作品”だから」と何らわだかまりの介在しない姿勢を見せておられましたよ。
>『ブラック・スワン』
おお、その映画は知らなかったのでちょっと調べました。心理スリラー?なのですね、興味が湧きました。
そうそう、ブラック・スワンっていう白ワインがあるのですけれど御存知ですか。
実はこのitukaさんからのコメントを全く知らないうちに、ブラック・スワンワインをウチ飲み用に購入してたのです!びっくりです!
>全然チャップリンに似てへんやんか!
そうですか!?
草刈さんのチャップリンよりは似てましたよ。(当たり前か・・・^_^; 草刈さんもチャップリンになる演目があります^^)
チャップリン映画が素材にされているものの、やはり映画と別ものの“ダンスアート”の作品でした。映画の一つのシーンにスポットを当ててイメージを膨らませた感じで。
あ、でも黄金狂時代の“パン・ダンス”は本物の映画映像として第一部で観られますよ。(*^_^*)
>やっぱりチャップリンが好きな
私はキートンの世界を余り知らないので、無声映画時代の喜劇王といえば真っ先にチャップリンを思い浮かべてしまいます。
ハロルド・ロイドも名前は思い出しますが、強烈なのはチャップリンでしょうか。
キートン映画のお薦めなどあればまた御教授下さいね。
さすがロングランですね、良いものは長いこと上映している。もしかしたら二度三度ご覧になっているかたも多いのかもしれません。
> 第一部と第二部の間には演出としての5分間の休憩が設けられていて、第二部の舞台鑑賞へ良い意味での緊張感が高められました。
これ良かったですね、ドキュメンタリー部分と舞台の部分が適度に分けられて、気分も盛り上がりました。
またおっしゃるようにルイジの人間性、いや芸術家としての素晴らしさ、草刈民代だけでなく若いダンサーたちにも心からの励ましをしている、その姿にグッと来ました。
またある意味芸術に対して厳しい草刈民代の姿も見えました。
久々に引き込まれた映画でした。
私も本日、他の皆さんには出遅れた「某作」を観て来た次第です。それもロングランの一作です(^^)。レヴューはまたあらためて。
本作、舞台裏といいますか、演者たちは勿論、裏方さんを含めた全てのスタッフの「よきものをつくろう」という思いが伝わってくるようでよかったす。仕上がった映画(或いは舞台)はソレを感じさせない“華麗”さに満ちているところも、やっぱりバレエって凄いなぁって。