2011年05月01日

ミスター・ノーバディ


 少し前の拙ブログで「お陽さまの力ってすごい」って書きました。
加えて最近、「音楽の力ってすごい」と感じることがありました。
理屈じゃなくて、そのサウンドに触れる前と後では“違う自分”のような気がしています。

 連休の一日。
京都駅みたいなグローバルなダイナミックさで変貌復活を遂げたJR大阪駅を越えて、この日は梅田スカイビルへ。
シネリーブル梅田で『ミスター・ノーバディ』(ジャコ・ヴァン・ドルマル監督)を鑑賞してきました。

医学の進歩による細胞の永久再生で人類が不死となった2098年。寿命を迎える最後の人間となった118歳の老人ニモ(ジャレッド・レト)が記者を前に語る「彼自身のいくつもの人生」が壮大に展開していくというお話です。

                       ノーバディ1.jpg
          ※写真は映画情報サイトより転載

映像と展開の見事さに魅入られ、136分、一度たりとも睡魔に襲われることはなかったです。

パラレルに走る幾通りもの人生。現実と思っていた世界から夢となって目覚め、夢から覚めて味わう現実がまた過去の夢となっていく。
こうありたいと思う気持ちと抗し難い運命の狭間で、“限りある命だからこそ”人は自分にとっての最良の道を選ぼうとするのでしょう。
そこには選択の“理由”があり、どれも決して間違ってはいないのです。
どの人生も存在したかもしれませんし、あるいはどれも存在しなかったのかもしれません。
9歳の悲しき我が身が描いたシナリオを118歳の自分が「全て生きたのだ」と思えたとき、彼の最期の(否、最期じゃなくなるんだけど)一日は最も幸福感に満ちたものとなったのです。
それは、死が無く選択すら必要でなくなったものたちの人生に比してなんと豊穣なるものであったことでしょう。

不思議な世界に迷い込み、シュールな映像に酔い、平衡感覚を失う感じ。
幾つかのSF映画へのオマージュも感じられ、そのたびにドギマギとするありさま。
火星への旅まで登場するとはね。
この監督の作品鑑賞は『八日目』についで二作目だけど、すっかり虜になってしまいました。


                        土佐鶴ぜよ.jpg

 かなり前だったかの乾杯です。
<土佐鶴ぜよ・・・>と登録していたこの一枚、確か昨年のNHK大河の「龍馬伝」に夢中の時だったかと。
時は、早く過ぎ行くばかりなり、ですね。

posted by ぺろんぱ at 21:07| Comment(12) | TrackBack(5) | 日記
この記事へのコメント
観たいなぁ〜と気になっていて、「キッズ・オールライト」と
一日二本立てを強行しようかと思案中の作品です。

ダニエル・オートゥイユがモーレツ(←死語ですか?)サラリーマンやった
あの「八日目」の監督さんなんですね。ホーッ
という事はフレンチテイストな感じなんでしょうか。あぁ、気になる。
早く観に行って、それからちゃんとレビューも読ませていただきますね。
Posted by ゆるり at 2011年05月01日 23:11
予告編からすでに難解てんこ盛りって感じで
足がすくんでしまう作品です。
でも、あの老人の特殊メイクやら、他の映像の美しさに魅せられ行こうかと迷う作品です。

ちなみに『ミスター・ノーボディ』(1974)のリメイクではないんですね(←あたりまえ)
Posted by ituka at 2011年05月02日 00:38
ゆるりさん、こんばんは。

『キッズ・・・・』は私もちょい気になってる作品です。
2本立て強行!の際に、もしかしたらこっちの作品で知らないままのニアミスあり!?かもしれませんね。

そうなのです、『八日目』の監督さんなのです。
そして『八日目』のもう一人の主演パスカル・デュケンヌさんも本作にちょい役でご出演です。
結構俳優陣の顔ぶれでも楽しめました。
ニモ少年のパパ役で“あの俳優さん”が登場したのには心地よいショック?というか「このひと、パパ役なんて出来るんだ」とか思ってしまって。^_^;

本作、フレンチテイストを味わって頂けると思うのですが。(*^_^*)


Posted by ぺろんぱ at 2011年05月02日 21:24
itukaさん、こんばんは。

そうです、仰る通り「難解てんこ盛り」なのですが、もう「流れに身を任せる感じ」で如何でしょう〜。
私も分かったような分からないようなところもありつつ、「ええもん観させてもろうたわ〜」という感じで劇場を後にしたのです。

映像は美しく且つ面白いです。
示唆に富んだ台詞も渋く心を打ちますよ。

同監督の『八日目』は、思い返せばitukaさんにいただいた別作品へのコメントがきっかけとなって鑑賞できた作品でしたね。
この監督さん、いいです!ありがとうございます。

>『ミスター・ノーボディ』(1974)

ヘンリー・フォンダ!
そんな紛らわしいタイトルの作品があったのですね。あ、、、でも英タイトルは違うんですね。
因みに、ガンマンは出てきませんがガンを持った人は出てきます。^_^;

Posted by ぺろんぱ at 2011年05月02日 21:32
お早うございます。

レビュー、拝読致しました。

面白そうな物語ですね〜

高松の“ソレイユ”支配人のアンテナに引っ掛かる事を
祈念したいと思います(=^_^=)

ときに・・仰る「音楽」は、具体的なアーティスト名とか、
あるのでしょうか? 興味津々・・(・ω・)
Posted by TiM3 at 2011年05月05日 08:34
TiM3さん、こんばんは。

本作、是非ソレイユ支配人様のアンテナに引っかかってもらいたいです。
それでもってTiM3さんのレヴューを拝読したいです。完膚なきまでに叩きのめされるかもしれませんが、それはそれで楽しみです。
支配人様とのアイコンタクトで、TiM3さん、アピールをよろしくです。

ところで、冒頭に書いた「音楽」ですが具体名は勿論ございます。
しかし「え?今さら??なんで??」と言われそうで恥ずかしいのでここでは名を伏せさせてくださいませ。
そのうち忘れ去られた頃にひょっとしたら?何か書かせて頂くかもしれませんが^_^;。

Posted by ぺろんぱ at 2011年05月06日 19:24
久々に映画館で映画を観ました。

この映画は本当に楽しませて頂きました。なんといってもあれだけの沢山の人生、ごちゃごちゃのようで実はバリエーションの一つづつが在る意志をもって綴られる。非常にうまく作ってあります。私たちは「もしも・・・」っていうのに惹かれますよね、だからパラレルワールドというのは止められない。
また、ここに出てくる音楽は私にとっても自分の生きた時代の一部なので引き込まれます。
ぺろんぱさんのおっしゃるように過去のSF映画へのオマージュも確かに散りばめられていますね。「なんで火星なんだ?!」って言ったりして。

久々に映画館で観て、またぺろんぱさんとこのように共感できて嬉しいです。
Posted by west32@ミスター・ノーバディ at 2011年05月16日 23:27
west32さん、こんばんは。

楽しめましたよね〜、本作。
そうなのですよね、一つ一つの人生に「意思」があり、小さなシーン、ショットにも「意味」があって。
もう一度観たら、きっと一度目では気付かなかったことにも気付かされそうです。

>「もしも・・・」っていうのに惹かれ

そうですね。
私も自分の来し方を振り返り、もしこんな映画に仕立てるとしたら「どこでどうパラレルに?」とか考えてしまいました。でもここに在る私の「今」にもやっぱり「意味」があるのでしょうね。

仰る通り登場する音楽も魅力でした。クラシックの美しい旋律も。
音楽に注力して観直してみるのもたくさんの収穫を得られそうです。

映像も素晴らしいので映画館で観てもらいたい作品ですね。

Posted by ぺろんぱ at 2011年05月17日 19:20
>幾つかのSF映画へのオマージュも感じられ
あぁ、そうなのですね。SFにはめっぽう暗いので(映画も小説も)
全くピンとキテないのですが、そういうのがわかれば、楽しいでしょうね〜。

エリック・サティからオーティス・レディング、ベルギーのバンドまで音楽の使い方が効果的で、
サントラはかなりバラエティに富んでそうですが、日本では現在発売されてないようです。

情報量が多くて展開も目まぐるしかったので、落ち着いたらもう一度見てみたいと思います。
Posted by ゆるり at 2011年05月19日 21:25
ゆるりさん、こんばんは。

私も決して詳しいわけではありませんが、先ず全体的なイメージとして『2001年宇宙の旅』を想起してしまいましたよ。作品のトーンは違うと思いますが、118歳の老人のアップなんてゾクッとしてしまいました。

>落ち着いたらもう一度

同感です。
音楽に注力し、台詞に注力し、細部に注力し、そして何より総体的に受ける印象が次はどんな感じかを味わってみたいです。(それって何回も観なあかんかも・・・^_^;)

Posted by ぺろんぱ at 2011年05月20日 21:23
こんばんは
不思議な魅力に充ちた作品でした。
他の作品にはない稀有な魅力かもしれません。

>そこには選択の“理由”があり、どれも決して間違ってはいないのです。
どの人生も存在したかもしれませんし、あるいはどれも存在しなかったのかもしれません。
これは素敵な言葉ですね,かみしめたくなります。
私くらいの年になると(アラフィフ)
選択いかんによっては生じたかもしれない別の人生に
想いを馳せたりもするので,とっても切なくなるテーマでもありました。
Posted by なな at 2011年12月13日 21:40
ななさん、こんばんは。

不思議で異質な、でも心に残る作品でしたね。

ななさん、アラフィーでいらっしゃるのですか。私と同じですね。でも貴ブログでの可憐なセルフポートレートを拝見するに、アラフィーにはとても見えませんでしたよ。(*^_^*)
しかし、、、そうですね、「別の人生」があったかもしれないことは少なからず切ない気持にさせますね。

ひとつひとつのささやかな選択(例えばここに今どういう言葉でコメントを綴らせて頂くか)でさえも自分の明日に繋がっているかもしれないと思うと、「その時の想い」はつくづく大切にしたいものだなぁ・・・なんて思います。

Posted by ぺろんぱ at 2011年12月14日 21:43
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