爽やかな先週末からの数日でした。
5月、「風薫る」とは趣深い表現ですね。
梅田ブルク7で『ブルーバレンタイン』(デレク・シアンフランス監督)を鑑賞しました。
男女(シーンとシンディ)の出会いから破局までを、時を交錯させながら描いた物語。
ドキュメンタリー的な撮り方が、あくまでクールな眼差しと乾いたリアリティーを感じさせました。

※画像は映画情報サイトよりの転載です
序盤の飼い犬のエピソードが、二人の心が「家庭」という基盤から既に離れつつあったことを如実に物語っていた気がします。
ただひたすら犬の名を呼び続ける愛娘の姿にも、後になって思えば、両親の「心」の不在とやがて彼女が両親に対して発することになるであろう苦い叫びみたいなものを暗示していたように思えました。
独善的且つ独裁的に過ぎる自分の父親を見て育ってきたシンディは優しく寄り添ってくれたディーンを選んだけれど、愛があればそれだけで良かった頃を過ぎれば「求めるものの違い」は具現化してくるのですね。二人が愛し合っていた頃があったからこそ、より一層鋭角的な形で。
もっともっと時が経てば「違う形での愛」も見つけられるのかもしれないけれど、今はとにかく、別れるしかないように思えたあの二人です。
安ホテルの一室でのシークエンスは、二人“ぎりぎりのところで”かろうじて同じ線上に立っていたように見えました。
つい一秒後にも二人が落ちてゆく姿が容易に想像でき、鼓動が早まり息苦しくなってゆくのでした。
しかし離れてゆく心はどうしようもできないし、肉体が反応しないことも誰を責めることもできません。
「拒絶」しかないシンディに「それでもやり直したい」と懇願するディーン。一度捨てた指輪を探すディーンの姿は余りに哀しく痛々しく、涙がにじみました。
それだけに、エンディングのバックの映像は余りに華やかで美しく、心をわし掴みにされた感。
恋愛は花火のようなものなのかもしれないな、と思ったのでした。
演出の妙もさることながら、主演の二人、ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズがググっと迫り来ました。

某居酒屋さんにて。
<栄川 特別純米>、福島のお酒です。東北応援フェアをやってました。栄川の後は<奥の松 特別純米(同じく、福島のお酒)>を戴きました。
ただのナマケモノにしか見えなくなってしまった。。。
あんな風に別れたものの、10年後には、
ぐるっと遠回りして、元の鞘に戻ってくるんじゃないかと。
もちろんシンディからです^^
ワタシは、アノ花火に再生の第一歩という希望を感じたのです^^
ディーンのあの優しさ、シンディの勤勉さ、二人ともすごく良い人なだけに、
そのすれ違いを見ていると痛いような辛いような、そんな感覚でした。
“社会的野心を持たない”そこが素晴らしい、そこが逆に尊敬できる!
そんな風にシンディが感じられないうちは、二人の間の溝は埋まらないのかなぁ。。。。
主役を演じたのがこの二人、というのも私にとって大きな魅力となってます。
あの花火は「再生」への希望ですか!
なるほど、です。itukaさんの優しさを感じます(*^_^*)。
本当に、私はあのエンディングにグッと来てしまいました。全ての想いが集約されてた感じもしましたよ。
>元の鞘に
そうですよね。
私も希望としては何らかの形で(夫婦としてでなくても)再スタートをきってもらいたいです。
しかし、シンディっていう女性は、結局どんな男性であっても(バリバリに働く向上心旺盛な男性であっても)安住の場を壊して別方向に向かおうとするような人間じゃないのかな、とも思いました。
でも冒頭のディーンパパと娘フランキーの「お腹すいた〜指をたべちゃうぞ」のあの会話、あの場にシンディママはいなかったけど「もうあれで充分じゃない、十分幸せじゃないの〜」って思っちゃいましたよ。(涙)
主演の二人、仰る通り、本作の魅力ともなっていましたね。
先のitukaさんへのコメントでも書かせて頂いたのですが、シンディのある種の“難しさ”を超えるディーン自身の変化もあればいいなぁって思います。
そして勿論シンディの心の変化も、ね。
違う再スタートの切り方もあるって思います。時間も必要でしょうね。
>二人ともすごく良い人なだけに
そうそう、どちらもそれぞれに真剣にモノゴトを受け止める人だから、ああいう結果は心に痛いですよね。
ようやく、高松で観る事が叶いました(=^_^=)
ワタシは、シンディが「くさむらを探すディーン」に
近付いて行く・・的な一瞬の演出に、何処か希望を感じましたよ。
次に彼らを繋げるのは、フランキーちゃんなのかも知れませんね。
>シンディが「くさむらを探すディーン」に近付いて行く・・的な一瞬の演出
そうでしたね。
やはりそこは幾年か連れ添った故の「情(じょう)」なのだと感じました。男女としては破綻していても、そこには「家族」としての感情が見えました。それが、いつか違う形でディーンとシンディに幸をもたらしてくれるとよいのですが。
あのシーンのシンディの動きを掬い取られたTiM3さんの繊細さ、素敵ですね。
>次に彼らを繋げるのは、フランキーちゃんなのかも
そうですね。成長したフランキーちゃんから見た二人、っていう物語も観たい気がします。
実はこの映画、見てしばらく経ちますがまだ自分の中で燻っています。
あの宇宙的なホテルは、仰るとおり“ぎりぎりのところで”ですよね。
同じ曲が流れていても、昔と今では本当に雲泥の差。あのあたりの皮肉で痛切な表現こそが、リアリティがあったし、哀愁が流れて凄かったです。
ディーンが言うこと為すこと、すべてが裏目。というかシンディには、何をやっても響いていなかったですよね。
まさに”今はとにかく、別れるしかないように思えたあの二人です”ね。
正直、自分の内面にグサグサ刺さるもんだから、ホントに痛くてwいやー、すごかったっすw
最後の花火は、こちら側のどん底の2人と向こう側の花火パーティの有頂天具合との落差を感じました。
もう、昔と同じ笑顔は絶対に戻らない…悲しい能天気な花火だと思いましたね。
御一緒に観に行かれた奥様との御意見の相違とは??と、興味津々です。(^^)
もしも記事をアップされるのでしたら、その時を楽しみに致しております。
あのホテルでのシークエンスは本当にリアルで痛々しいものがありました。
惹かれあった時の相手の良さが、心が離れればそっくりそのままソレが嫌なところに変わってしまう・・・心というのは残酷なものですね。
>昔と同じ笑顔は絶対に戻らない
そうなのですよね。でもだからこそ、二人には“(以前とは違う)別の形の笑顔”に、いつかはなって欲しいなぁって願うしかないラストでした。