2007年07月01日

それでも生きる子供たちへ

 6月最後の一本は30日(土)、梅田ガーデンシネマにての『それでも生きる子供たちへ』(7人の監督によるオムニバス)でした。
チケットは前売りを購入していましたが、公開初日だったので不安もあり、1時間前に行って整理番号10番台をゲットできました。
                soredemo.jpg

story・解説
 7か国の子どもたちが直面する厳しい現実を、それぞれの国を代表する監督たちが赤裸々(せきらら)につづるオムニバス映画。
少年兵士やストリートチルドレン、エイズやドラッグなど、実際に避けては通れない数々の問題を観る者に突き付ける。
『インサイド・マン』のスパイク・リーや、『ライフ・イズ・ミラクル』のエミール・クストリッツァ監督などがその手腕を大いに発揮。
(第一話)ルワンダで強制的にゲリラ部隊に入隊させられた、12歳のタンザ(ビラ・アダマ)の唯一の自慢はスニーカーだ。
彼は仲間たちと一緒に銃を手に移動し、その途中で銃撃戦に遭遇して親友を失ってしまう。それでも彼らの戦いは終わらず、タンザが
時限装置付きの爆弾を仕掛けるために入った場所は、彼の憧れの場所“学校”だった。 (シネマトゥデイより)


作品のラインナップは次の通りです。
第一話『タンザ』メディ・カレフ 、
第二話『ブルー・ジプシー』エミール・クストリッツァ 、
第三話『アメリカのイエスの子ら』スパイク・リー 、
第四話『ビルーとジョアン』カティア・ルンド 、
第五話『ジョナサン』ジョーダン・スコット &リドリー・スコット 、
第六話『チロ』ステファノ・ヴィネルッソ 、
第七話『桑桑(ソンソン)と小猫(シャオマオ)』ジョン・ウー

  
 子ども達が主人公の映画って果たして大人の我々が同じ目線で観て心酔できるのだろうかと疑問もありながら臨んだ映画でしたが、
これはオトナの我々が観て心を痛め、明日へつなげるべき作品じゃないかと思いました。
                ET20070608115513214L2.jpg 第二話

心が痛み、知られざる(知っていてもその本当の状況は見ていない)世界の現状に自分の無力さを思い知り、余りに緩く生きてきた自分を恥じ、時に頑張る力をもらい最後の第七話で「愛」というテーマで7つの物語を締めくくった、味わい深い映画でした。

そう・・・第七話『桑桑と小猫』では場内に一気にすすり泣きの声が・・・。
この第七話は、洩れ聞こえる「“作った”という演出の過剰感有り」の感想も確かにそうかもしれないけれど、最後にやはり「愛」という
“普遍的”でこれからの子供たちを育んでいく上で“最も大切なもの”の存在を再認識させてくれて、素直に泣けるいい作品だったと私は思います。

どの作品も其々に本当に味わい深いです。
どの作品にも、過酷な状況の中、小さな身体に一杯の「力」をみなぎらせて「生きて」あらゆるものと「闘って」いる子供たちがいます。
               1005856_01.jpg 第四話

先ず「生きる」ことに必死で、ぐれたり人生を斜に構えたりする余裕すらなく、ただ前向きに直向きにエネルギッシュともいえるパワーで労働をこなしていく兄妹二人を撮った第四話『ビルーとジョアン』も良かったし、第六話『チロ』では、波が寄せ返す砂浜に不似合いに設置された古びた遊園地にパッと灯りが点灯するシーンが凄く印象的でした。

でもどれか一つを選べと言われたら、武器を持って「戦うことが生きること」になってしまった少年の、教室の中で最後に見せる安らぎと恍惚の表情が、一瞬にして全てを物語ってくれたような第一話『タンザ』が、私は最も好きです。
シンプルで殆ど台詞らしい台詞もなく奇を衒った作り方もなかったけれど、『タンザ』のあのラストシーンが、一日経った今も鮮烈に心に蘇ります。

いい映画でした。


 表面的には平和で物資が溢れているこの日本で、自分は何をすべきなんだろう、自分にとって生きがいのある仕事ってなんだろうなんて悩めることはもの凄く贅沢なことなのかもしれません。
その日その日をとにかく生き抜くことに追われるこの子供たちにとって、飲食さえもが趣味になり得るこの日本は、一体どれほど遠いのでしょう。

そしてそんな平和な日本を象徴するかのような雑誌のこの特集タイトル・・・批判するつもりなんて毛頭ないです、映画を観る前の時間調整中に本屋さんで見つけて思わず買ったこの雑誌ですが、映画を観終わった後では「幸せなことなんだな」としみじみ思えたのです。

実際私は、この雑誌を見つけた時は嬉々として買っちゃいました。
まさしくこの特集タイトルに惹かれて、ね。
              
                meets.jpg
         ↑写真は上映を待つ間にスカイビル下の
          庭園にて。奥のは映画前なのでお酒
          じゃありませんよ。

映画が終わったのは夕方5時。で、昼酒ではないけれど、冷たいビールは飲んで帰りました。

そういえば最近飲み過ぎ・・・そして長らく忘れていたラマダン(私にとっての禁酒期)・・・。
今日から三、四日、いえ二、三日?、せめて一、二日?、ラマダンに突入したいと思います。
posted by ぺろんぱ at 13:32| Comment(11) | TrackBack(4) | 日記
この記事へのコメント
お疲れさまです(・ω・)

タイトルにはソレホド惹かれませんが・・

監督のジョーダン・スコットとジョン・ウーの名が気になりましたね☆

スコット3兄弟(あとトニー)みたいなしとたちなんでしょうかね?

ジョン・ウーとなれば、やはりハトが飛んだのでせぅか??
Posted by TiM3 at 2007年07月01日 14:03
TiM3さん、お早いコメントありがとうございます!
私も実は白いハトが飛ぶのを期待しておりましたが、飛びませんでした。

Posted by ぺろんぱ at 2007年07月01日 14:11
TiM3さん、もしかしたら飛んでいたかも。ウルウル状態の中で見過ごしてしまっていたのかも・・・。
ん〜・・・余裕を持って鑑賞できるDVDで再見要です。
Posted by ぺろんぱ at 2007年07月01日 14:15
どうやら、ジョーダン・スコットはリドリーの娘さんだそうですね。

>もしかしたら飛んでいたかも。

きっと「ディレクターズカット完全版・アルティメットエディション」のDVD(6枚組ボックス(=^_^=))には収録されるモノと思われます(・ω・)
Posted by TiM3 at 2007年07月01日 23:41
> いい映画でした。

うん、ガーデンシネマなら仕事の帰りに行けます。
機会を見計らって見に行ってみましょう。

PS ラマダン3日ですか!?
   私は1年しています。
Posted by west32 at 2007年07月02日 00:09
そうなのですか、ジョーダンさんって女性だったのですね・・・制作上リドリーさんとの役割分担はどうだったのでしょうね。(別にそんなこと私が考えても仕方ないのですが^_^;)

白ハトシーンの解明は楽しみにしておきます。
Posted by ぺろんぱ at 2007年07月02日 19:48
west32さん、もしお時間の都合が合えば是非ご覧になってください。(^_^)

ラマダン1年!!・・・何がwest32さんをそうさせたのか・・・いえいえそういう領域には踏み込みませんが、とにかく、たった3日ほどでラマダンという言葉を使うのって大御所を前に失礼でした・・・(>_<)。
私は3日でも辛いです、精進が足りませんね。
Posted by ぺろんぱ at 2007年07月02日 19:57
観てきました、良かったです。
このタイトルでは多分観なかった映画ですが、よさを教えて頂きありがとうございました。

PS トラバさせて頂きました。
Posted by west32 at 2007年07月04日 23:54
west32さん、先ほど貴ブログにお邪魔してきました。返す返す本当に恐縮しています。こちらこそ早速観に行かれてTBして頂きありがとうございました。
原題はInvisible children でしたっけ…? 確かにこの方がストレートですが、子供たちへのエールが込められて邦題の様になったのでしょうね。
Posted by ぺろんぱ at 2007年07月05日 12:53
ぺろんぱさん、こんにちは。
ちょいご無沙汰でした。
これはとてもよい作品でしたね。
クストリッツァが大好きなので、ずいぶん前から楽しみにしてたのですが、知らない監督の作品も思いのほか素晴らしかったですー。
豊かな国でダラダラ暮らす自分をちょいと反省・・・。
Posted by かえる at 2007年07月17日 12:54
かえるさん、こんばんは。
この作品、クストリッツアのファンだからという人が多いですね。

私も緩く生きる自分を反省です。
生まれ変わったとしたらどうなのかと思ってしまう今日この頃です。
Posted by ぺろんぱ at 2007年07月18日 20:51
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