ポーランド・ワルシャワ郊外。緑に囲まれた古い屋敷に愛犬フィラデルフィアと暮らす91歳のアニェラ(ダヌタ・シャフラルスカ)の余生を描いた物語です。

※画像は映画情報サイトよりの転載です。
木漏れ日。
モノクローム映像だからこそ陰影は濃く、静寂の中で光と陰が一瞬時を止めているような感じがした。
その光と陰に、アニェラの人生を想う。
夢か幻のように、時折映し出される若かりし頃の愛ある暮らしの中でのアニェラ。
世間的には孤老と呼ばれるような今のアニェラだったけれど、あの木漏れ日を浴びる家で、長年連れ添った同士のような犬と愛する調度類に囲まれて暮らせるのなら、それで十分幸せなのではないかとも思った。
木漏れ日。
愛する犬(彼女にとっては血のつながった家族以上の家族)。
老朽化していても長年住み慣れた家(彼女の一部であるとも言える)。
その存在たちがもたらす揺るぎない命の力。
常に彼女を見守ってきたそれらからは生命の宿りのようなものを感じた。
フィラデルフィアは勿論のこと、古いブランコ、扉、窓ガラス、鍵穴、けたたましく鳴り続け唐突に鳴り止む電話のベルにさえ、まるで何らかの意思をもっているのではないかという錯覚さえ抱いてしまう。
隣人の生活を覗き見し、気に入らぬ相手には悪態をつき、賢い犬であるフィラデルフィアを「悪い子」と叱りつけたりする独善的なアニェラの姿は“決して美しくはない現実”を垣間見せる。しかし結果として、彼女の「生」はとても凛としたものだった。自分の生き方、身の処し方、旅立ち方までを自分自身で決められることのなんと清々しいことか。
フィラデルフィアとの関係も我々には計り知れない「不可侵のもの」があった、と。「早くこっち(天国)においで」とはアニェラの最上の愛の言葉だと感じた。
庭に紛れ込んだ見ず知らずの貧しき少年ドストエフスキーが言った「(他者に)分け与える」ということ。
アニェラが「それ」を決めた時、彼女を見守り彼女と共に存在してきた全てのものたちが彼女を安らかな天国へ旅立たせたように思えた。
ひっそりと椅子に身を委ね、眠るようだったアニェラ。あの時アニェラに紅茶を運んできてくれた少年が、だから「彼はもしかしたら天からの使者だったりして?」なんていう妄想を抱いてしまった私なのだった。


アニェラを真似て「甘いリキュールをキュッと一杯」といきたいところでしたが、やはりドライなバーボンをソーダで。
Bar SPEAK LOW にて。
詩的な映像とはうらはらに、時折ユーモラスな部分もある作品でした。
最初の病院(?)のシーンから。
何を取りに来たのか忘れて部屋で立ち尽くす事等すでに身に覚えのある私は、
妙に共感するというか笑ってしまいました。
辛らつなアニェラも子供に対する目線は暖かくて、
なんとなく監督のまなざしがダブッてみえた気がします。
光と影の強いコントラストは、アニェラの人生を暗示させていたんでしょうか。
ところで、この映画では上空から森を映したシーンが出てきましたよね?!
アニェラじゃないですが、最近ホント物忘れがひどく、他の映画との記憶違いかと
ちょっと気になっています。
ちなみに、私もガクアジサイが好きです〜♪
冒頭のシーン、アニェラの気の強さにびっくりしたけど小気味良かった気もしましたね。(^^)
あのあとの路上でアニェラの独り語り?のところ、音声が被るシーンが続きましたよね? あれ、不思な感覚に包まれて『ベルリン 天使の詩』の天使が囁くシーンを思い出していました。
だから、全編静かなポーランド語の語りが聞けるかと思っていたら、その後意外にもアニェラの怒声が続いたので苦笑してました。
>何を取りに来たのか忘れて部屋で立ち尽くす
ゆるりさんもですか!?
私もです! 「あれ、この部屋に何しに来たんだっけ??」と思って思いだせず、もと居た部屋まで戻ってそこで「思い出した!」ってことも。^_^;
>この映画では上空から森を映したシーン
はい、出てきましたよ!
アニェラの視線(2階からの)の高さよりも更に上からの俯瞰でしたよね。
そのシーンから「天国」の存在が見え隠れしていたの、、、かな???
この監督さん、いいですね。
ゆるりさん、別作品もご覧になっているのでしたよね?
舌を噛みそうなこの監督のお名前をきっちりと(^^)インプットして、いつか手に取りたいと思います。
ガクアジサイ、魅力的な姿ですよね♪
うわぁ 写真のピンクの紫陽花の、花びらの縁が可愛らしい種類ですね〜!
初めて知りました。
“木漏れ日”と聞いて興味がそそられました。
若い頃にこの言葉をもじったHNを使っていたくらい好きなもの(言葉の響きも)でしたので。
この監督は夫婦で映画を造っていらっしゃるのですね?
DVDになってくれることを願いながら楽しみに待つ事にします。
ただ、やはり劇場で観たい気持ちも湧き起こりましたよ。
映画館からの帰路、立ち寄ったBARでグラスを傾ける…が、実に羨ましい!
あ、映画に無関係な話ばかりで、ごめんなさいm(_ _)m
またお邪魔します。
そういえばこの紫陽花、ちょっと変わってますね。今度種類を聞いておきます。
木漏れ日。そういえば心を穏やかにさせるような、遠い昔日に連れてってくれるような、そんな響きがありますね。
そうですか、お若き頃のHN、知りたいものです。(*^_^*)
>この監督は夫婦で映画を
そうらしいですね、私は実は知らなかったのですが。御夫君は撮影(カメラ)畑の御方とか・・・本作も共作なのでしたね(^^)。あぶくさんもいつかご覧くださいませね。
画のBARへは映画鑑賞当日ではなく、今週の平日の仕事帰りに訪れました。
勿論、「映画のあとの乾杯」もとても佳き時間です。
映画の話以外でも何でも、どうぞどんどんいらして下さいね。
お待ちしております!
私的には、直感的に「モノクロで、昭和な世界観の、
小津監督作を思わせるジャパニメーション」なんかが
観たいなぁ・・と思ってます。
アクションシーンは要らないから(=^_^=)
モノクロ映像での「(街の高台から眺める)夕焼け」
「(夕暮れの街を行き交う)路面電車の、パンタグラフに弾ける火花」
とかが観てみたい(・ω・)
いまTV.で『X−MEN』流してます。コレ、劇場に観にいきました、2作目以降は観てませんが。
さて本作。
モノクロ映画、写真、イイですよね。
小津作品のゆ〜ったりとした感じとはちょっと趣を異にする本作ですが、モノクロームの良さは存分に感じられましたよ。
>「(街の高台から眺める)夕焼け」
>「(夕暮れの街を行き交う)路面電車の、パンタグラフに弾ける火花」
TiM3さん、いずれ手掛けて下さい、是非。
きっとTiM3さんのイメージはTiM3さんだけが持たれる無二のもののように感じます。観てみたいです。
モノクロームで、ふっと成田一徹さんの切り絵を思い浮かべました。