『モールス』(マット・リーヴス監督)を梅田TOHOシネマズで鑑賞しました。
これは昨夏日本公開のスウェーデン映画『ぼくのエリ 200歳の少女』のハリウッド・リメイク作品です。(『ぼくのエリ』のレヴューは2010年8月22日にアップ)
ヴァンパイアの少女と孤独な少年のお話です。
本作、エリとオスカーはアビーとオーウェンに名を変え、舞台もスウェーデン・ストックホルムからアメリカ・ニューメキシコ州の設定となっています。

※画像は映画情報サイトよりの転載です。
LET ME IN
この原題が切ないですね。原作(小説)は『MORSE - モールス』ですが、本作(映画)の原題がこの「LET ME IN」です。
常に他者との距離を意識して生きる者にとってこの言葉の持つ意味は大きいのです、このタイトルはイイと思いました。邦題として「モールス」となってしまいましたけれどね。
さて、本作は原作(小説)よりも、(映画の)オリジナルの『ぼくのエリ 200歳の少女』に忠実に作られたという感じで、これほどまでに展開が同じであるとどうしても両者を比べざるを得ないところはあります。
先ず、映像から言えば圧倒的に「ホラー度」と言いますか「スプラッタ度」が『ぼくのエリ』以上で、そこはさすがの“ハリウッド流”を感じました。
しかし、私的には“(全てを)見せない”という怖さもオリジナル(『ぼくのエリ』)の良さだったと感じています。
北欧特有の、静謐感を伴う凍てた空気と、町と住人たちを覆う陰鬱で出口のない鬱屈さというのも、やはりオリジナルが放つ独特の匂いでした。
「ヴァンパイアの到来」が町に潜む陰鬱さと密接に絡みあっていたようにも思えたので、そこを映像化するオリジナルの味わい深さを改めて感じた私だったのですが、住人同士の複雑な背景を一切除外した本作は、アビーとオーウェンの純愛めいた感情の育みだけに焦点を当てた(ある意味)シンプルでテーマをより際立たせた作品になったと言えるかも知れません。
原作(小説)に描かれていたヴァンパイアの過去(エリ、或いはアビーの本当の性別も含め)に触れられていなかったことも然り。
実はそのあたりをどう描くのか興味がありましたが、そこは完全に削ぎ落とされていましたね。あくまでシンプルに、とことん二人の絆に言及した物語になっていたと感じました。
主演二人のコディ・スミット=マクフィーくんとクロエ・グレース・モレッツちゃん、どちらも“益々期待!”の俳優さんです。
別作品として鑑賞に臨もうと思っていた本作でしたが、やはりどうしてもオリジナルを想起しつつ観てしまった感は否めません。
約2時間その世界に引き込まれ、ドキッとする心憎いワンカットもあり完成度という点で本作は優れているのかもしれませんが、「哀」という一点で、私はやっぱり『ぼくのエリ』を超える心の動きはなかった、かなぁと感じています。

この画は東通りの某店での乾杯。やみつききゅうり、今年はまさにやみつきになりました。
本作を観た帰り、とても懐かしい偶然の再会がありました。Mさん、お元気そうで相変わらず酒道も究めておられるようで嬉しかったです。

TOHOシネマズ梅田で何をご覧になったのか、
気になってさっそく参りました。(=^_^=)
テンプレート(でしょうか?)のデザインが、夏にピッタリですね。
文字もブルーで涼感を誘う感じで、ジェリーフィッシュの浮遊感も素敵。
今、部屋が暑い!ので『ぼくのエリ 200歳の少女』を
見たらちょとは涼しくなるかなぁ〜などと考えていました。
あの映画では少年の吐く息と雪の白さ、血の赤色が印象に残っています。
>「スプラッタ度」が『ぼくのエリ』以上
それは。。。私には見るのに少々勇気がいるかもしれません。
映画館ではおそらく縁が無いと思いますが、
後々鑑賞して、二作品を見比べてみたいと思います。
“LET ME IN”というタイトルのニュアンスが良いですね。
鑑賞後にチョットばかり不安になりました。
見せるところと見せないところは
やっぱり、オリジナル版の方がすべて良かったです。
ワタシ的には、クロエちゃんの配役がもうひとつでした。
出来れば、希望として本作アビー役は無名の方にやってもらいたかったです^^
テンプレート(です。)のデザインをお褒め頂きありがとうございます。
しかし文字の色もセットだったので、私は何もオツムを捻ってはおりません。^_^;
でもそう言って頂けた後で観てみると、ちょっと海に潜ってみたい感覚になりました。
本作『モールス』のスプラッタ感もホラー感も、この怖がりの私が観れたのだからきっと大丈夫です。(『ぼくのエリ』よりは怖かったですが。)
それよりも本篇が始まる前の予告編で、2本のホラー作品を取り上げててそっちの方が凄く怖かったです。(2本とも途中から俯いて画面を観ずにいました。)
ああいうのはホント困ります。予告編の前に「次、怖いです」とか予告してほしいです。^^;
後々に本作のご鑑賞が叶った際には、ゆるりさんのレヴューを楽しみにしていますね。
>B級ホラーになっていたかもしれないと
確かに。意外と“洗練されてない”ような作りのシーンもありましたものね。
>クロエちゃん
ここでもitukaさんと同意見です!
仰る通り、無名の女の子だったらもっと違っていたでしょうね。
謎めいた妖しさという点でオリジナルの女の子は(未知の女優さんだったこともあり)とても印象的でした。
このメイン画像のクロエちゃんはゾクッとするほど美しく映ってますけれどね。
久々に買った前売券ですが、観に行く積りだったのは勿論ですがこの画像に惹かれたことも購入の要因だったかも、です。(^^)
この映画、ご覧になられたのですね。私は今日観に行こうかなぁと思いつつ、ぺろんぱさんのように北欧版との比較をしそうだし、きっとハリウッド的に視覚的に凄いことになっているだろうなぁと思ってイマイチ躊躇して行けませんでした。
>私的には“(全てを)見せない”という怖さもオリジナル(『ぼくのエリ』)の良さだったと感じています。
全く同感です。観せない怖さって、観る怖さよりもっと深いものがあります。
また上映している劇場も....ちょっと躊躇の点です。
この映画は私はDVD鑑賞になりそうですね。
一方、タイトルに関しては、この映画の原題、Let me in 良いですね。これはエリの心情をひしひしと表しているようです。その意味では....やっぱり観たいなぁ。
はい、劇場鑑賞は迷っています?!?!?!?
その前に本の「モールス」再読しようと思っているので、読み終わったらやっぱり観ることになりそうです。
お久しぶりです、暑い日が続いていますがお元気でいらっしゃいますでしょうか。
本作の鑑賞を迷っておられる由、解ります。(^^)
でも(私の場合は)観て良かったなぁって思えましたよ。
ハリウッドリメイク版の宿命?として?良きにつけ悪しきにつけ取り沙汰されるものと思っていましたが、意外に各紙面で「オリジナルを超えるリメイク(と言えるかも)」的に評価されています。ご覧になって“がっかり”は無いと思います。
でも私はやっぱりオリジナルの作品の放つ匂いの方が好きですけれどね。(^^)
ヴァンパイアの女の子、やっぱり「アビー」じゃなくて「エリ」です、私にとっては。
『モールス』再読ですか。
私も実はリメイク版を観終わった今、原作を読み返してみようかなと思っていました。
原作は更に独特の匂いがありましたよね。
ぺろんぱさんとほぼ同じような比較をし、やっぱりという気がしました。
やっぱり観るべきではなかったような気がします。あのスウェーデン版の肌寒い、本当の怖さを感じ、また北欧の生活観を感じた上では、このハリウッド版がシンプルすぎて物足りませんでした。
でも、この原作の素晴らしさは、恐ろしさをもう一度味わいたく、やっぱりもう一度原作を読み直すことにします。
(テンプレートがちょこちょこ変わってすみません。)
この作品はやはり北欧の空気が似合う感じですね。
シンプルさは悪くなかったのですが、原作小説が、かなり複雑な背景を持っていましたものね。
小説、再読されるのですね。
拙宅もこの小説は本棚に在るので、凍てつくような冬の季節になったら再び開いてみようかなぁ・・・って思います。
昨夜、公開期間の最終日、最終上映の回で、ようやく
観て来ました(=^_^=)>
オリ版は観てないんですが、ハリウッドの資金パワーを
ガンガン投入出来るハズありながら、
かなり演出群を控え目にしてて、そこには感心させられました。
「父と娘のドラマ」や「母と息子のドラマ」の描かれ方が余りに中途半端で、その点は勿体なかったでしょうかね。
でも、旧作(名作)ホラーにヒントを得たような映像なんかもあって(そう感じられて)それはそれでトクした気分でした(=^_^=)
少年の選択は(幼さ故に)浅はかにも思えましたが・・
確かに、眼の前であんなに流血されたら「わわ、分かった! 分かった!」と叫んでしまいますよねぇ(=^_^=)
仰る通り、ハリウッドリメイク版という当初のイメージからは良い意味で裏切られた感はありました。
>「父と娘のドラマ」や「母と息子のドラマ」の描かれ方が余りに中途半端で、
オリジナルの方はこの点でもう少しご満足頂けるのではないかと思います。
>旧作(名作)ホラーにヒントを得たような映像なんかもあって
もの凄い興味をそそられる御評価で、ホラーが苦手な私でも「もしかしてアレか!それともアレかな?」と二作品の名が浮かびました。
ここで名を挙げたい!のですが全然違ってたら恥ずかしいので貴ブログにお邪魔するまで(きっとご記述ですよね??)心に秘めておきます。
>少年の選択は(幼さ故に)浅はかにも
多分地下室でのあのシーンですよね?
私は少年の純粋さと感じたのすが・・・。