久し振りの第七藝術劇場で『エッセンシャル・キリング』(イエジー・スコリモフスキ監督)を観ました。
ESSENTIAL KILLING(本質的殺人?、必要不可欠な殺人?)とは、考えたら怖いタイトルです。
イエジー・スコリモフスキ監督といえば、一昨年に『アンナと過ごした4日間』でその衝撃的な物語性と映像美に魅せられたものでした。
この新作『エッセンシャル・キリング』は、非常にシンプルな「米軍から逃げるアラブ人兵」のストーリーで、上映時間83分のほぼ全て、主演のヴィンセント・ギャロの「逃げまくる」姿が描かれています。
『アンナと過ごした4日間』でも極端に台詞が排除されていましたが、本作では、ヴィンセント・ギャロは一切台詞を口にしません。発するのはただ、息切れの呼吸音と苦しみの唸り声だけです。

※画像は映画情報サイトよりの転載です。
単なるサバイバル・アクションではなかったです。確実に「何か」を心に残してくれました。
ラストシーンは観念的で詩的でさえあります。イスラエル、ポーランド、ノルウェーの三か国に渡る自然の情景には人跡未踏の美を感じ、スコリモフスキ監督にさすがの圧倒的なまでの映像力を感じました。
「何か」とは何か。それは衝撃と、祈りのようなもの。
極限状態で、人間はかくも強く、そして逆に、かくもセンシティブになってしまうものなのでしょうか。
存在するのは「逃げる」という行為だけ。その過程であらゆるものが削ぎ落とされていき、もはや彼の善悪、罪の如何など関係なくなっていくのです。ただひたすら、彼に生き延びて欲しいと願う私がいました。
幾つか、幻を見るかのようなカットが挿入されます。
そこから、辛うじて彼にも人間として暮らした時があったことが想像できます。兵士となったことが自らの意志というより神の教えとして刷り込まれたことであったことも。それゆえの苦悩も。
そのあたりは政治的メッセージと受け取れないこともない、事実私はそう受け止めました。
彼は逃げて何処に行くのか、何処に行けるのか。・・・いいえ、彼は何処にも行けないのです。
私には、「逃亡」が米軍からではなく何か別のものからのソレのように思えてなりませんでした。
ラストは幻想的なまでに美しく、哀しく、でも(いろいろな解釈はあるでしょうが私は)やっと救われた思いでもありました。
83分という短さのあとに長い余韻が残ります。
エマニュエル・セニエ(聾唖の女性役)もイイです。

少し(いえ、かなり)前のBARスピーク・ロウさんでのジン。
あ〜、もうジンの夏も終わるのかなぁ。晩夏はひたすら寂しいです。
私もたぶん木曜日あたりに見る予定なので、
またあらためて訪問させていただきますが。。。。
誘惑に負けてちょっとだけ読んでしまいましたが、
“余韻が残る”感じですか。フムフム。
期待値上げんように用心しよ。
>晩夏はひたすら寂しい
それもまた“いとおかし”ですね〜♪
コレ、良さげですね〜!
最期に「どうやら敵ではなさそうな人物が登場する」って事を
監督が語ってはる(?)インタビュー記事が、Y新聞に載ってました。
何でも「ひとたび主人公がセリフを発すると、途端に舞台が限定されてしまう」からだとかどうとか。
しかし大阪でもナナゲイとなると・・高松では、もはや「あそこ」しかあるまいよ!(=^_^=)
おお、ゆるりさんもご覧になられる予定なのですね!御鑑賞後は是非またいらして下さいね!
この作品、観る前にちょっとだけネット上の評価を見てしまったのですが、賛否両論の「否」のコメントが結構“バッサリ切り捨て”みたいな感じだったので不安に思うところもあったのです。
でも、やっぱり観に行って私としては「正解」でした。
でもあくまで「私としては」の見解なので、ゆるりさんも期待値を上げないで臨んで下さいね〜。(^^)
晩夏の寂しさも四季の移ろいがあるが故の“趣”なのでしょうね。(*^_^*)
その趣を抱きつつ、また今宵も杯を重ねる私なのでした〜。
はい、私としては観に行ってよかったと思えた一作です。極限までストイックなギャロさんにも魅入られました。
>どうやら敵ではなさそうな人物
その人物とのシークエンスから一気に作品のステージが上昇?したような気がしました。
>ひとたび主人公がセリフを発すると、途端に舞台が限定
なるほど。
この主人公は台詞もないし、名前もない(詳らかにされない)のです。
>高松では、もはや「あそこ」しかあるまいよ
是非、ソレイユのマネジャーさんとのアイ(愛)コンタクトで!!(*^_^*)
前作同様、“圧倒される”みたいな感じがありました。
なんいうか、力技と言うか。
そうそう、映像の力!なんです。
それから、この色彩感覚。美しいですね〜。
人間の本質に迫りながらも、重いテーマを忘れさせるような映像の数々。
恐れ入りました、ハイ。
二箇所程、目を覆いたくなるような痛いシーンもありましたけど。
それさえガマンすれば(笑)
そうですよね〜、色彩感覚が突き抜けてる感がありますよね〜。
スコリモフスキ監督は画家でもあるとか、、、なるほどと唸る思いでした。
『アンナ・・・』でもリンゴの赤が鮮烈でしたが、本作でもまた「赤」が印象深かったです。
>二箇所程、目を覆いたくなるような
はい。
一つは多分湖に落ちた後の○○との死闘シーンかな、と私は思っております。(違ってたらゴメンナサイ)
あそこで唯一、彼の慟哭がありましたよね。私も心の中で泣きました。
二作続けてこうも“圧倒されて”しまうと次回作が待たれるところですが、何かで「暫くは画家業に専念したい」と仰っているとか知りました。
真偽の程は分かりませんが、是非とも早く次回作を拝したいところですよね。(*^_^*)
シンプルな内容は謎解きが苦手なワタシには打ってつけかも(笑)
ヴィンセントさんって監督もする才能ある人ですよね。
『バッファロー66』の印象が今も残ってますよ。
今も公式プレスを泣かせているのでしょうかね〜。
結構、わがままというかナーバスになりやすいひとみたいですね^^;
はい、シンプルです。(^^)
でもいろんなものが見えてきます、深いです。(^^)
ヴィンセントさんはエキセントリックな感じが先ずイメージとしてありますよね〜。
『バッファロー'66』以外に『ブラウン・バニー』も監督と主演を兼ねています。やっぱり過激な作品でしたが。^^;
>公式プレスを泣かせて
そうらしいですね。
でも多くの崇拝者もいるみたいだから人の趣味嗜好っていうのはわからないものですよね〜。
観る前なのに、ぺろんぱさんの記事しっかりと読ませて頂いちゃいました(*^_^*)
『アンナと過ごした4日間』に驚いたのがつい先日の様な気がします。
あの時は少し苦手な感じを持ちましたが、
>ラストシーンは観念的で詩的
>ラストは幻想的なまでに美しく、哀しく
と書いていらっしゃる部分に、大いに惹かれました。
私のツボにドンピシャではないですか!(*´艸)
怖いシーンもありそうですが、覚悟しておきます。
自宅鑑賞になる予定ですが、是非是非観たい作品になりました。
『アンナ・・・・』と同じく、映像には魔的なまでの魅力を感じました。
ラストのある意味“唐突”とも思える終わり方も『アンナ・・・』と同じかんじでしたが、本作は視覚からイマジネーションに訴えかけるものが大きかった気がします。
>自宅鑑賞・・・
はい。(^_^)
DVDになったら是非ご覧になってください。
私ももう一回観たく思っています。
と言いつつ、これらはあくまで私の見解なので・・・先入観なく真っ白なお心でお臨み下さいね。(*^_^*)
やっと鑑賞し、拙い感想もUPできたので伺いました。
いまだに予告などにも出会えないでいる作品なので、ぺろんぱさんが書いて下さらなければ知らずに終わっただろうと思い、感謝です(*^^*)
文字通り“圧倒”される映像でした!
映画の醍醐味を味わえて嬉しかったです。
唐突なラストも、私もとても頷ける形でした。
だって、ぺろんぱさんも仰っているように彼はどこにも行けないんですものね…
この作品は台詞として言えない、映像として描けない所をこそ、最も語っているのだと思いました。
迂闊者の私がまたうっかり見逃してしまいそうな素敵な作品を、どうぞご紹介くださいね(*^^*)
ご覧になられたのですね!
早速あとから楽しみにお伺い致しますね。
「感謝」だなんてとんでもないです!私もあぶくさんのブログからいろんなことを教えて頂いています。
>台詞として言えない、映像として描けない所をこそ、最も
なうほど、そうですね。
今も、彼の絶え絶えの苦しげな呼吸音と、立ちはだかる前方に形無き何かをまさぐるような眼差しが鮮明に甦って来ます。
こういう作品と出会うと、やっぱり映画って凄いなぁ〜って思ってしまいますね。(*^_^*)
>どうぞご紹介くださいね
こちらこそ、です!