2011年09月04日

朱花(はねづ)の月


  梅田ガーデンシネマで『朱花(はねづ)の月』(河瀬直美監督)を観ました。

飛鳥地方の大和三山(香具山、畝傍山、耳成山)に、一人の女性と二人の男性をめぐる情愛の姿を重ねあわせた物語です。

「朱花」とは万葉集に登場する朱色の花。
その朱花の色がさまざまな形でスクリーンに現われ、美しく、妖しく、切なく、そして時に怖く、観る者に迫り来るのでした。

                         朱花の.jpg
                      ※画像は映画情報サイトよりの転載です。


 河瀬直美監督の作品は『萌の朱雀』『殯の森』に続いて本作が三作目の鑑賞ですが、私としては最も印象深い一作となりました。

飛鳥の大地、山、木々、風、空気、そして夕日と月。
前ページでの『エッセンシャル・キリング』でもスコリモフスキ監督の映像力を感じましたが、本作でも河瀬監督の圧倒的なまでの映像力に全身が包まれます。
「音」にも圧する力がありました。雨の音、水の音、時折聴こえる神のものとも死者のものとも思える唸り声には身体が捉われる感。鳥の鳴声、食物の咀嚼音には活き活きとした響きも感じられて。

 神代のころから続けられてきた、一人の女性をめぐる二人の男性の愛の姿。
互いの祖父母の悲恋が時を経て現世の男女の運命をも変えていく姿は、人間の抗いなど及びもしない大きくて何か得体の知れないものの力を思わせます。
それは悠久の「時」でもあり、悠久の「大自然」でもあると感じました。

朱花の赤い色は血にも似ている。
その“重なり”を観た終盤のあの瞬間、この世に存在する何か大きなものに突き放された気がしました。人間には抗えない、何か大きなものに。


 加夜子を演じた大島葉子さん、女性の儚さと強さの中にねっとりとしたような情念を微かに感じさせて、ぞくっとする怖さを湛えた魅力がありました。
天井に作られた燕の巣の中のひな鳥をガラス鏡を使って覗く拓未(こみずとうた)、ピー助と名付けた飼い鳥を慈しみ可愛がる哲也(明川哲也)、それぞれが加夜子への愛のメタファーのように思えました。哲也の愛はあまりに哀しすぎたのですが。


                         グラスの顔.bmp

揚げたての絹厚揚げがとっても美味しい某居酒屋さんでの芋焼酎ロック。
グラスに描かれた顔が笑ってて、ちょっと幸せな気分になれました。



posted by ぺろんぱ at 16:23| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
おお、最新作なんですね〜 羨ましい。

しかし、京※堂に勝るとも劣らぬ(?)難解なタイトル作が
続きますね・・(⌒〜⌒ι)

いつかの衛星、、いえ、高松上陸を待つとしましょうぞ。
Posted by TiM3 at 2011年09月05日 20:07
TiM3さん、こんばんは。

>京※堂

すみません、存じ上げません。
河瀬監督作品ですか?・・・じゃないですよね??

本作、私としては(今まで観た河瀬作品の中では)一番真っ直ぐに迫りくるものがありました。
まとまり?仕上がり?もよかった気がします。

是非いつかご覧になって下さいね〜。(*^_^*)

Posted by ぺろんぱ at 2011年09月06日 21:54
難解なタイトルで連想したのが、

「姑獲鳥(うぶめ)の夏」「絡新婦(じょろうぐも)の理」などで
知られる、あの小説家さんなのでした・・(・ω・)

分かりにくかったですね〜(⌒〜⌒ι)

観た方によると・・「チェロを起用したスコア」が印象的だったようですね☆
Posted by TiM3 at 2011年09月08日 22:24
TiM3さん、こんばんは。

ああ、映画のタイトルじゃなくてあの小説家さんのお名前だったのですね。(^_^)
私は小説としては未読ですが、映画では『嗤う伊右衛門』を観ました。
四谷怪談の独自の解釈を興味深いと感じた記憶がございます。

>チェロのスコア

そうですね。
そういえば、低く響くチェロの調べが効いていました。
オリジナルのサントラが出されていました。私は買わなかったのですけれど。
ソレイユさんで本作がかかればいいのになぁと、(他県在住なのに勝手に、そして余計なお世話と言われそうですが勝手に、)思っております(^_^)。


Posted by ぺろんぱ at 2011年09月09日 20:26
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