残暑が厳しかった先の週末、テアトル梅田に『ペーパーバード 幸せは翼にのって』(エミリオ・アラゴン監督)を観てきました。
拙ブログに時折コメントをくださっている(泣き映画ご指南役)The Lonely One 様から「泣ける映画!」としてご紹介頂いた作品でした。
1930年代のスペイン内戦下。芸人としての誇りと家族と呼べる仲間たちとの絆を胸に、ギリギリのところで気高く生き抜いた人々の姿を描いた物語です。

※画像は映画情報サイトよりの転載です。
ペーパーバードって何を意味するのだろうって思っていたのですが、折り紙の鳥のことだったのですね。
日本のそれのように色とりどりの美しい折り紙ではなく、新聞紙や何かの包装紙で折られた鳥だったのですけれどね。
でもこの鳥の翼は、意志を持って風に乗り空へと羽ばたいてゆくのでした。やがてね。
「家族」。
スペイン内戦、フランコ総統による軍事政権、暗澹たる世情の下での政治・政党批判が重苦しく繰り返された作品でありながら、私は鑑賞後この「家族」という詞が最も耳に残ったのでした。
本当の家族を失ったあとの芸人ホルヘ(イマノール・アリアス)は、相棒芸人のエンリケ(ルイス・オマール)と内戦孤児のミゲル(ロジェール・プリンセプ)と“疑似家族”として暮らしますが、やがて彼らは本当の家族以上の絆で結ばれていきます。
彼らは軍事政権による圧政にまさしく“翻弄された”人々だったのでしたが、決して失いはしない「誇り」と、守り守られ愛し愛される「家族の存在」が彼らを強くし、生かしめ、埋没させはしないのでした。そして愛は残り、受け継がれた芸はより一層の花を咲かせるのです。
混乱と闘争の時代を過ぎて、老齢のミゲルが語った「人生」は、落涙をぬぐった頬を微かに上気させる滋味深い余韻を残したのでした。

ミゲルに対して屹然たる父性を示したホルヘに比して、性の違和を内包するエンリケの“母性とも呼べる優しさ”が心に残ります。
ミゲルが彼らを「両親」と表現した時には、違う味わいの涙がこぼれそうになりました。
ご紹介下さったロンリーさん、ありがとうございました。

母性を感じるお店っていうの、ありますよね。
ここ、<たまゆら>は、スタッフの女の子がとっても慈愛に満ちた微笑で迎えてくれます。
先ず一杯目のビールで。
> 疑似家族”として暮らしますが、やがて彼らは本当の家族以上の絆で結ばれていきます。
やっぱり泣きそうだ。
「家族」、自分はどうしてるんだ!と言われると疑問もあるのですが、映画で観るとやっぱり家族って良いなぁ、重要なんだなぁと思います。
折をみて映画館に行きたいです。
泣きますが、想像していたよりシャープな感じの作品で、私の場合は号泣ではなく「一筋、二筋の落涙」というものでした。
親と子の絆だけでなく、政治的メッセージも多分に盛り込まれており、ただ泣かせるだけの映画というのではなかったですよ。
もしもお時間があえばどうぞ。(*^_^*)
「家族」って、年を重ねるごとに永遠のテーマになってくるのだなぁと感じます。
今度観に行こうかなぁと思ってる作品も家族がテーマの映画です。(でもこれは鑑賞が時間の都合上叶わないかも・・・)
スペインの映画って
なんとなく 違った趣がありますね
また 泣ける映画がありましたら
ご紹介します
はい!観させて頂きました。ありがとうございました。
スペイン映画からは、言葉から感じるもの以外に潜在的な迫力みたいなものがありますね。
ラテン系とひと括りにして評してしまってはいけないのかもしれませんが。
またご指南願います!(*^_^*)
京都での開催だったので二の足を踏んでしまいました。
こうやって後々上映されて良かったデス。
暗い時代の中にも、何か暖かさのようなものと笑いを織り交ぜているところが、
何本かのイタリア映画を思い出させました。
そうそう!私も号泣というのではなく、頬をつたう涙に気が付いた
といった印象でした。個人的にもその方が好きです。
老齢のミゲル(監督のお父さんらしいですね)、なんとも
味のある表情をされてましたね。
そうですね、暗澹たる時代の中でも高らかな笑いを見せるのは、やはりイタリアのお国にも通じる民族性なのでしょうか。
>去年のラテンビート映画祭でのオープニング上映作品
そうなのですか!
そういう映画際の存在すら知りませんでした^^;。
ゆるりさんのアンテナ、光ってます。(*^_^*)
老齢のミゲルを演じたのは監督のお父様だったのですね!それも知りませんでした。
最後のあの「語り」、すごいよかったです。年を重ねるというのは、それだけで実に多くの経験とそれに伴う想いを心身に刻んできたってことですね。「一言」の重みも違ってくるのかな。
あのポスターの和みとは違って、独裁政権の厳しさがまざまざと描かれていましたね。
ペーパーバードって日本と違って面白いですね、動きがあるんですから。
「スペインの厳しい現実」、なるほどです。
仰る通り、その点で、私も鑑賞前に想像していた以上に本作にエッジの効いたシャープさを感じたのだと思います。
そして我々日本人は、どうしても過去との対峙の仕方が甘きに過ぎる点は否めないのかもしれませんね。教育の在り方にも一因があったかもしれませんけれど。
>ペーパーバードって日本と違って面白い
羽ばたく感じを想像するだけで何だかとってもポジティブな気分になれました。(*^_^*)