2011年09月30日

落花流水(再読)


  明日からもう10月 - 神無月。

山本文緒さんの小説は何度か再読していますが、今回は『落花流水』(集英社文庫)を半身浴時に再読。
拙ブログには、多分、村上春樹に次いで名前の登場度が高い作家さんだと思います。

再読ですが、初めて読むような振動(心の)がありました。
山本文緒さんの小説は、やっぱり“読ませる”ものがあります。

                        落花流水.bmp                   

いつかの記事でも書いたことですが、この人の小説(長編の殆ど)を読むにはかなりの心の痛みを伴う気がします。
台詞に「嘘」がなくブラックにリアルです。大切な何かが欠けていると思えるような不安定な登場人物たち。とことん痛くて傷口も治癒しないままでの終わりにも、何故か「救いがない」とは私は思わないのです。
現実離れしてると言えなくもない複雑な設定のなかで、ある意味「(自分を)捨ててる」としか思えないような潔い(潔く過ぎるし怖い)生き方をする主人公たちですが、最後はちゃんと自分自身で後始末というか何らかの決着をつけているという感じがします。「それでいいじゃない」という作者の声が聞こえてくる気がして、私はそういうところに救いを感じるわけですが。

作品を二度三度と読み返してみて、今の私の中での山本文緒さん「長編小説BEST3」は『恋愛中毒』『群青の夜の羽毛布』、そしてこの『落花流水』といったところです。

 山本文緒さん、その後お身体の具合はいかがでしょうか。
次なる“痛くて苦しくて、でも最後にそこから脱皮できるかのような救いのある”物語を、いつかまた届けて下さいね。ぴかぴか(新しい)

 さて、少し前の保存写真から地酒二景。
落花流水に因んで四字熟語の名前(それって「因む」とは言わないでしょ…)のお酒です。

              昇龍蓬莱.bmp     一白水成.bmp

神奈川の「昇龍蓬莱(しょうりゅうほうらい)」純米・無濾過生原酒と、秋田の「一白水成(いっぱくすいせい)」純米吟醸です。

観ておきたい映画が封切です。
鑑賞が叶えば来週半ばには感想を挙げたいと思っています。かわいい



posted by ぺろんぱ at 20:04| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
お早うございます。

お気に入りの作家がおられ、
フォローし続けられるのは、良い事ですよね。

ワタシは、とんと図書館にも行けておらず、
書店でも、お手軽に雑誌に手を伸ばす程度の最近なのですが、、

たまに「青空文庫」で良い作品に出会えると、嬉しいモノですね。

カワバタさん、タニザキさん・・早く「青空」にやって来てけれ〜 ← 待つんじゃなく書籍で買えよ、と

地酒と言えば・・本籍地である大阪・池田市の「呉春(ごしゅん)」に興味津々なんですが、かなり高額らしくて(⌒〜⌒ι)
まだ手を出せてません。。 ← 味わうにはシロウト過ぎるしねぇ

あ、もうボジョレーの季節に近付いてるんだ(⌒〜⌒ι) 1年ってば、早い。
Posted by TiM3 at 2011年10月01日 10:36
TiM3さん、こんばんは。

カワバタさんもお好きなのですか。
私は氏の作品は何故だか(←自分の勉強不足のせい!!)全般的に印象が希薄です。(>_<)
これぞ!という作品があれば御教示くださいね。

呉春ってまだ高額で出されてるのですか。
供給に比して需要が高騰すればそうなるのは分かるのですが、もっと自然体で味わえるお酒だと私は思うのですが。「シロウト」だなんてとんでもないですよ!そのお酒を味わいたいと思うことが大切なのですよ。
ボジョレー!そうだ、そうですね、私もすっかり忘れてました。本当に月日の経つのは早いですね。

そうそう、『孤高のメス』(録画)を入手できました。鑑賞はもうちょっと先になりそうですが、また貴ブログにお伺いいたしますね。(^^)
Posted by ぺろんぱ at 2011年10月01日 20:19
ばんはです。

うっかりして『ゴールデン・スランバー』を観逃しちまいました(×_×)

何とか、ラスト20分だけ観ましたが・・もうキルオ、出てないってば(×_×)

>これぞ!という作品があれば御教示くださいね。

『古都』と言う作品の冒頭の数ページが余りに素晴らしく、
唸ってしまった覚えがあります。

(恐らく)代表作『雪國』も、冒頭の研ぎ澄まされ方こそ、尋常ではないんですが・・だんだんグダグダになってたような。

後は『眠れる美女』そして、やはり『伊豆の踊り子(notロドリゴ)』でしょうか!

今春だか、家人に短編集『掌の小説』を貰ったんですが・・1ページすら読めておらず、情けない次第です。。

>呉春ってまだ高額で出されてるのですか。
>供給に比して需要が高騰すればそうなるのは分かるの
>ですが、もっと自然体で味わえるお酒だと私は思うのですが。

高額なのは「限定大吟醸」だったようです。
でもいつか、飲みたいな〜

>「シロウト」だなんてとんでもないですよ!
>そのお酒を味わいたいと思うことが大切なのですよ。

今年まで「神の河」を「かみのかわ」と読んでて、呆れられてしまいました・・それほどまでにシロウトです(×_×)

>そうそう、『孤高のメス』(録画)を入手できました。
>鑑賞はもうちょっと先になりそうですが、
>また貴ブログにお伺いいたしますね。(^^)

またゆっくり、お楽しみ下さいね。

柄本明がいきなり「ぐはぁ〜っ!」と血を吐いて倒れるシーンは、最大の見所です! ←いや、そこじゃないだろ!
Posted by TiM3 at 2011年10月02日 00:22
TiM3さん、こんばんは。

私も帰宅後に「あ、そうだ、今日はゴルスラの日!」ってTV点けました。キルオくんの台詞「あー、びくりした!」は楽しみましたよ。(^^)

川端康成氏、そうだそうだ『雪国』があったんですねー。教科書で幾段かを学んだ記憶も。
私、『古都』は過去に読みましたので今度は『雪国』に“きっちり”向きあってみたいと思っている今です。
あ、そういえば仕事の関係者さんで川端康成と(姓ではなく名が)一字違いの男性を知っています。お父上が“何か”を託して命名されたのかなぁと(お会いするたびに)思っています。

神の河はどう考えても「かみのかわ」が正しい読み方ですからそんなことはお気にされませず!!(^^)
神の河のブームもそういえば随分先に去りましたね。やっぱり焼酎は“これでもか”ってぐらいにベタヘヴィーなものを(一度は)味わって頂きたいです。(^^)それが焼酎なるものの原点かと・・。

『孤高のメス』、御意見拝受!です。
柄本明さん、悪人では不憫な(でもかなりのクセのある)お父さん役、ゴルスラでは人生のアウトロー的役、、、、『孤高・・・』でのお役柄を楽しみにしておきます。(*^_^*)



Posted by ぺろんぱ at 2011年10月03日 19:58
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