2011年11月27日

コンテイジョン


  大阪ステーションシネマで『コンテイジョン』(スティーブン・ソダーバーグ監督)を観ました。
実は決めていた他作品の上映時間に出遅れて間に合わず、結果的に本作のチョイスとなったのでした。でも観たかった作品なのでそれも良し、です。
未知のウイルスによるパンデミックをあらゆる角度から描いたソダーバーグ監督の最新作。

                      コンテイジョン1.jpg
                        ※画像は映画情報サイトよりの転載です。

「モンスターパニックもの、ウィルスパニックもの、アナタ結構好きだよね??」っていう友人からのコメント。そういえばあの角川映画『復活の日』は私初のパンデミックもので未だに印象濃く残っています。

しかし本作はウイルスパニックを描いた他作品とは一線を画するものでした。
過激な映像による恐怖の煽りはなく、むしろ淡々とコトの推移が描かれており(それが返って不気味なのでしたが)、救世主的ヒーローも出てきません。否、私的には、Dr.ヘクストール(ジェニファー・イーリー)、Dr.オランテス(マリオン・コティヤール)、Dr.ミアーズ(ケイト・ウィンスレット)は“心にそっと留めておきたい”ヒーローでしたけれど。

この監督の持ち味なのでしょうか、展開に“リズム”がありました。非常にリズミカル。 それが“淡々と”という表現に繋がったのかもしれません。「ここ、もうちょっとゆっくり観たい」と思うシーンもすっと次のシーンに切り換えられる・・・この辺りの演出には、良くも悪くも監督の“術中に嵌った”といえるかもしれません。


未知のウイルスは怖いです。目に見えないものだから余計に。
でも、パニックに陥って秩序を失った社会はもっと怖かったです。
これが本作を観終わって最も強く感じたことです。

サバイバル本能皆無(多分)の私は、もうあの状況になれば仕方ない、あのウイルスにかかって命を落とすのは運命だと、そう思って諦めます。けれど、あの暴徒と化した人間の手にかかって自らの命や大切な人の命を落とされるのは到底耐えられるものではありません。
ウイルスの終息はやがて訪れても、一度破綻した秩序の回復は難いと思われました。

情報操作、ワクチン開発を巡る利権、正義と保身のせめぎ合い、家族の喪失と希望、いくつかの角度から切り取られたドラマが一つの本作『コンテイジョン』を作っていました。
「DAY2 二日目」からの始まりも「DAY1 一日目」でのラストで納得です、さすがの見せ方。
豪華な出演陣も魅力。
メイン三女優(グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレット、マリオン・コティヤール)は誰がどの役をやってもおかしくはないのに、終わってみればこれがベストだと思わせる配役でした。ケイト・ウィンスレットはこういう社会性の強い熱い女性が似合いますね。 曲がった正義感と私欲で民衆をアジテートするフリージャーナリストを演じたジュード・ロウ、解き明かせない眼差しが不気味で巧かったです。

最後に…
 ミッチ(マット・デイモン)の「いま妻と話せますか」の台詞がつらかったです。
 ベス(グウィネス・パルトロウ)の頭皮が裏返ったところで心拍数が急上昇しました。
 日本人の「お辞儀」は“謙った礼節”の意以外に、意外と相手から距離を保って“護る”意を含んだ行為だったのかもしれないなと思いました。


                       しょうち 出羽桜.bmp                

      
 手を洗うのは基本中の基本なのだと改めて思いました。
アルコール消毒も喉だけじゃダメなんです。私、喉のアルコール消毒は完璧なのですが。


posted by ぺろんぱ at 21:44| Comment(6) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
ちょっと気になってるんですよ、この作品。
私が好きなマリオン・コティヤールが出てるし。
(すっかりハリウッド女優になってしまったなぁという残念感もあるんですが)
ソダーバーグ監督やし、もちろんマット・デイモンも観たいしと思いつつ、
題材からしてどうしても後回しになりそうです。

>ウイルスパニックを描いた他作品とは一線を画する
この一文を拝読して、ちょっと心動いています。
鑑賞の折には、またおじゃまします。
Posted by ゆるり at 2011年11月27日 22:54
バンデミックものに世界終末を徹底的に描こうとすると
単なる娯楽映画になってしまいそうですが
ソダ―バーグ監督はひと味違いましたね。
WHOやらCDCとか、ここら辺りの仕事内容が判るだけでも
観ておいた方がいい作品と思いました。
好きな映画から社会を知るという意味で、タメになる作品でしたよ^^

今これだけの大女優を集結させられるのはソダ―バーグくらいかな。

>私、喉のアルコール消毒は完璧なのですが。

アルコールに強いぺろんぱさん、ウケまくりました!(爆)
喉のアルコール消毒は、できれば吐き出してください^^
Posted by ituka at 2011年11月27日 23:08
ゆるりさん、こんばんは。

私も「女優陣が特に魅力」というのもあって気になっていた一作です。
マリオン・コティヤールが演じる女性にはちょっと胸が熱くなります。マット・デイモンもいい意味で“市井の一市民”的な人物で、そんな彼もよかったです。

全編派手な演出は無いものの、やはり日常から切り取った一風景という題材ではないですものね。
もしも機会がございましたら、ということで。その時はどうぞまたいらして下さい!(*^_^*)





Posted by ぺろんぱ at 2011年11月28日 19:26
itukaさん、こんばんは。

そうですね、終末思想の具現化としてこれを描くと別物になりそうですね。
本作、発端からして“あり得る”ことでしたものね。

>WHOやらCDCとか

はい。私も世の中にはいろんな機関があるものなのだと勉強になりました。

えっ!
ここで言うアルコールとはまさしくお酒のことなのですが。「お酒で喉を消毒してるから大丈夫」はお酒呑みの常套句で。そしてそして、もったいなくて吐き出せませ〜ん。(^_^)


Posted by ぺろんぱ at 2011年11月28日 19:37
ななな、、グウィネス様の頭皮が裏ガエル?!?!

想像するだにショッキングです〜(×_×)

まるで『スライディング・ドア2』ですよね〜 ←どこがや!
Posted by TiM3 at 2011年11月28日 23:50

TiM3さん、こんばんは。

ななな、ぬぬぬ、そうなののの、です!
グウィネス様の頭皮が・・・なのです。

いろいろ遺したい言葉があったのだろうなぁと思うとつらいです。(←すみません、いずれご覧になった時にでも思い出して下さいませ。)

スライディング・ドアで更に違うパターンがあったらこういうのもあったかもしれませんね。^_^;

Posted by ぺろんぱ at 2011年11月29日 20:58
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