休み明けすぐにSF映画タイトルを髣髴とさせる店名の某チケットショップで前売りを買って、昨日18日(土)に「いざ!」と梅田ガデへ向かいました。
が・・・!しかし!!昨日は何と山下監督の舞台挨拶があるとかで初回もその次の回も完売状態・・・「フツー舞台挨拶って初日にするもんじゃないのぉ・・・」と心の中で小さく石ころを蹴ってボヤキながら仕方なく劇場受付を後にしました。

本日・日曜は劇場に行く時間はなかったので、結局「コケッコー」は来週に決行ダケッコー!(←無理がある

押井監督作品は本作で3作目です。
アニメ通・押井通によれば本来はコレを筆頭に鑑賞すべき流らしきところ、先ず『イノセンス』で衝撃を受け押井ワールドの入り口に立ったにすぎない私が、『立喰師列伝』でその観る者を翻弄するかのような思考世界に突き放されつつも辛うじて船尾につかまり、船が停泊した今、やっとこの『攻殻機動隊』を手に取る勇気を持つに至ったと・・・いう感じです。
だから、アニメ通&押井通の方々からすれば「なんとぬるい」感想文かもしれませんが、私なりに私の備忘録として此処に記しておこうと思います。
story
鬼才・押井守が士郎正宗の同名コミックを映画化し、日本のみならず全米でも記録的なヒットを飛ばしたSFアニメーション。
作画の素晴らしさやデジタルを駆使した画像の美しさはもちろん、押井監督独特のシュールかつ重層的な作品世界が秀逸。
西暦2029年。企業のネットが星を覆い、電子が駆けめぐる近未来。公安9課の草薙素子を隊長とする通称“攻殻機動隊”のメンバー(バトー、イシカワ、トグサetc・・・)に、国際手配中の天才ハッカー・人形使いが捕らえられたという報が入る。完全にサイボーグ化し、電脳を有する人形使い。ネットの海から生まれた彼は、自らを生命体と主張し、亡命を提言する・・・(シネマトゥデイより)。

コレを観てから『イノセンス』を観ればより理解できたに違いないバトーの苦悩と翳も、イノセンスを先に観ていたからこそ今作の草薙素子と彼女に対するバトーの秘めた恋愛感情をより一層深く哀しく感じられたと言えるかもしれません。
重層且つシュールでありながら、そしてネット世界の難解な用語や言い回しが炸裂しまくってますが、やはりテーマの根底に「愛」を感じずにはいられませんでした。
未来に(生身の人間としても義体としてでも)生命を得た者達の、求めつつも求め切れない、そして抱くことの出来ない愛というものを、それでも追い求めずにはいられない姿をそこに見た感じがします。
ハイパーテクニック世界をハードボイルドに描いているのに、この付きまとうような哀切感は何なのでしょう。
“GHOST”(「個」を限定する因子、「魂」のようなもの)の存在が、人間やサイボーグ(義体)を翻弄する・・・その存在こそが人間の人間たる所以であり、己の中に眠るGHOSTを追い求める義体たち。
アンドロイドやサイボーグ、そして赤い血を流す生身の人間。それらがボーダーレスになり、支配し支配される未来に於いて、「自分とは一体何なのか」「何故ここに存在しているのか」とい果てしない問いかけが木魂し続けているようで、哀しい。
「情報の海で発生した生命体だ」と自称する人形遣い。
彼もまた行き場のない、哀しみの生命体なのですね。
その彼が草薙素子と「融合」することにより、新たな形での未来への希望を作ろうとしたシーンには、いつの世のどの世界でも「命」ある者がその命を継承させたいと願うことは普遍なのだと、軽く身震いするような感慨を覚えました。

結局素子を全身全霊で救ったバトーだったけれど、二人のクールな別れのシーンが心に痛く残ります。
「素子!」と初めて彼女の本名を叫んだバトーの、残された姿が哀し過ぎます。
早晩、再び『イノセンス』を手にとって再鑑賞することになりそうな気がします。
末筆ながら、今作鑑賞のきっかけとなった(時折コメントを戴く)TiM3さんのブログ記事に感謝します、ありがとうございました。
それにしても、アニメの世界は凄いですね。
実写には勝てないと思い込んでいた私にはカウンターパンチです。
冒頭の、目覚めた素子が鬱屈した雰囲気でベッドを出て服を着、ドアを開けて出て行くシーン。
あの退廃的な憂鬱の感情・・・それがアニメの動きであれほど痛いほどに感じられるなんて。
一つにはアニメ世界が作る完璧な「姿」にあるのかもしれません。
作り上げられたヒーロー且つヒロインの素子は、クールで知的な丹精な顔立ちと超ナイスバディを持つ完璧な姿の女性なのです。
これはもう実際の人間には叶わない理想の姿ですものね。
蛇足になりますが、オタクの男性諸氏がネット上で作られたアイドルに嵌る気持ちがちょっぴり分かる気がしました。
そしてこれも蛇足ながら・・・・・。
バトーが劇中でやたらと飲んでいたアルコール。
缶に「S」の文字の入ったネーミング。多分Sナントカ、のビールなのでしょうね。またはS社製のナントカビールとか。
私もS社製じゃないですが今週飲んだ美味しいビールを此処に上げます。
一つは<シメイ・ブルー>。一連のシメイシリーズの中では最もアルコール度数が高いものです。コクのあるボディのビールです。


もう一つはお休み明けのBarウィッシーウォッシーでの<ギネス>。



猛暑のせいか、今夏はビールが殊の外美味しく感じられます。
半サイボーグであるバトーはアルコールを分解するプログラムが組まれていて、幾ら飲んでも一定時間経過後すぐに醒めるようにできているそうです。
そのプログラムだけ、欲しいです(切実・・・)。
「ギタイ」と言うと『攻殻機動隊』のことで、
「ギテイ」と言うと『博士の愛した数式』のことなんですよね
・・などと訳の分からんことを言いつつ(=^_^=)
いやー、ついにご覧になられたんですね☆
私的には続編ほど「背景とキャラクター」が乖離してない印象で良かったです。
続編はなんかドンヨリしてて、枯れてる雰囲気がありましたから(・ω・)
また、続編こそは・・と近未来の“生殖の実態”についにメスが入るのかと思ってましたが、
やはり押井監督、極めてストイックな方でしたね。。
さて。
ワタシは“あの曲”の醸し出す妖しい雰囲気にノックアウトされてしまい、
早々にサントラCDを購入してしまいました。。
あの曲とあの映像、そしてあの物語あっての完成度なのでしょうね。
今から貴ブログにお邪魔して「観ました!お名前も書かせて頂きました!」とコメント入れるつもりでした。この場をお借りしまして、(事後承諾ですが)お名前拝借致しました。
さて、そうですそうです、またもや言及すべきだったと反省なのはあの音楽です。
あの無国籍風だが非情にオリエンタルな風景の映像に民族舞踏的な、どこかシャーマニズムを回帰させるような音楽・・・あの融合が素晴らしかったですね。『イノセンス』の時も中盤の何処やらでの祭事の風景と音楽がとても心に残りました。
そうですか・・・続編はTiM3さん的には今一つだったわけですね。そのへん、やはり「最初のショーゲキ」ということで私はやはりイノセンスが深く残っているのですが・・・。
いずれにせよ、ありがとうございました。
それから・・・博士・・・作品の「ギテイ」は「義弟」の意、ですよね??←念のため。
観られたらまた感想お願いしますね!
私のほうでもリンクはらせていただきます、
いつも拝読しているのですが、
なかなか鑑賞作品が合わず、コメント・TBしかねていましたので、
先に声をかけていただけて光栄です。
これからもどうぞよろしくおねがいします。
よろしくお願い致します。
天コケ・・・と呼ぶのですね(^^)、今度こそ
しっかり席をゲットして観ます!
さっきまでエビちゃん(えっ?!)の『出口のない海』をTVで観てました。武蔵とキャシャーンとのだめが競演とは、なかなかに豪華ですね(・ω・)
>そうですか・・・続編はTiM3さん的には今一つだったわけですね。
>そのへん、やはり「最初のショーゲキ」ということで私はやはりイノセンスが深く残っているのですが・・・。
「最初の衝撃」ってのは強いでしょうね。
例えば『マトリックス3部作』を逆の順番で観たしとがいたら、訊いてみたいトコですね(=^_^=)
>それから・・・博士・・・作品の「ギテイ」は「義弟」の意、ですよね??←念のため。
その通りです。
文字ではないので、ちょっと耳慣れないセリフかも知れませんよね。
えびちゃん・・・って一瞬びっくりしました。確かに「えびちゃん」ですが。
『イノセンス』のやたらと難解な哲学的台詞に比して今作はずっと観る側に近かったような印象はあります。しかしやはりショーゲキの「イノセンス」でした。(^^)
>例えば『マトリックス3部作』を逆の順番 で観たしとがいたら、訊いてみたい
思わず笑って読みましたが、真面目な話、そういう人もきっといらっしゃいますよね。
ちなみに『マトリックス』を劇場で観て以来、二&三作目とも観ていない私は笑う資格なし!です。
俺はアニメで一番この映画が好きです。
文学的なロジック。クールの底の並々ならぬ感情。人間もゴーストも些細な区別だという皮肉。
今まで見た映画の中でも間違いなく5本の指に入ります!
実はジャパニメーションには目がなくって、「ベクシル 日本鎖国」も見てきたばかりだし、この作品と「アップルシード」、大友監督の「スチームボーイ」はDVDもってます。
久しぶりに見たくなりました、バトーの心の景色┌|∵|┘
dkさんが五指に入れていらっしゃる作品とは!
ご鑑賞の幅も広いのですね。
私にとってはまだまだアニメ界は未知のものですが、ただならぬ世界である事は分かって来ました。(^^)