2011年12月18日

17歳のカルテ (DVD鑑賞)


『17歳のカルテ』(ジェームズ・マンゴールド監督)をDVDで鑑賞しました。
先月アップした『プリンセス』にいただいた<ゆるりさん>からのコメントに触発されてレンタルしました。(ゆるりさん、ありがとうございました。)

精神療養施設に入った17歳の女の子の、それぞれに深い心の闇を抱えた同世代の患者たちと過ごした日々を綴った物語です。(実際に入院経験を持つスザンナ・ケイサンの原作を映画化したもの)

ウィノナ・ライダー主演作という程度しか知らなかったのですが、なんとアンジー(アンジェリーナ・ジョリー)が出ていたのにはびっくりしました。アンジー演じるエキセントリックさとナイーブさを混ぜ合わせたリサという女の子は、ウィノナ演じるスザンナと並ぶ準主役とも言えます。狂気と鬼気を漂わせたアンジーの演技に、女優さんとしての好感が持てました。

                     17歳.bmp
                     ※画像は映画情報サイトよりの転載です。

 同じ精神療養施設での体験を綴った邦画『クワイエットルームにようこそ』も(私には)強烈な印象を残した作品で、クワイエット…はユーモアなタッチで描かれていたものの、シリアスタッチの本作との接点も少なからず感じらた。
どちらもその辺を歩いている彼女らと同世代の人間と何ら変わらない(ように見受けられる)。
自分の病には無自覚であり、何かのきっかけで(精神療養施設に)入院することになった。(どちらも大量の薬を大量のアルコールで流し込んだ。)
そしてどちらも、“入ってから”が自分自身と真に向き合わねばならない日々となった。

スザンナは「境界性人格障害」と診断される。
これがよく分からない。観終わった後ネットで調べてみたけれど、やっぱりよく分からない。
「不安定な自己-他者のイメージ、感情・思考の制御の障害、衝動的な自己破壊行為などの特徴がある」(ウィキより転載)とあるが、そんなのは多かれ少なかれティーンエイジャーたちが常に抱えてる特質なのじゃないかとも思える。
スザンナ自身も物語の終盤で「(私たちは)異常なんかじゃない、ただ感情の揺れが大きいだけ」と言っていたが、「感情の揺れが大きい」のなんて酔ってる時の私なんてしょっちゅうだ。
ああ、だからつまりは、誰だって“入ってしまう”可能性は皆無とはいえないということなのかな。

 この物語はすごい怖さも秘めていた。
閉鎖された病棟の中で支え合いながらも時に激しく傷付け合う彼女たちは、(結果的に)生きてやがては病を克服して(そうでない場合もあるが)旅立っていくが、あっけなく「快復した」と認められて退院していった少女は尚も現実の辛苦から逃れられず自らの命を絶つことになる。
自由であることと自由である振りをすることは全く違う。
心の中の囚われの巣を本当に捨て去ってしまわなければ、簡単に誰かに「背中を押されて」しまうのだ。

入院時、スザンナに「(病院での暮らしに)馴染むなよ」と言ったタクシードライバーとの再会は清々しさを残してくれた。
そういえば、クワイエット…でも、ラストはタクシーで病院を去るシーンだったっけ。
本作でスザンナは時を経て何人かの入院仲間と再会したと語ったが、クワイエット…では主人公の女性が入院仲間から渡されたメールアドレスを風の中にそっと捨て去ったのが印象的だった。


     萩の露.bmp   伯楽星.bmp  豊盃.bmp 

慈しんで、愛しく思って、きちんと向き合って呑めば、お酒は優しい飲み物です。
感情の揺れをも優しく包んでくれます。ぴかぴか(新しい)  地酒 刀屋さん にて。



posted by ぺろんぱ at 21:18| Comment(8) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
こちらにも、おじゃまします♪

「プリンセス」は、ぺろんぱさんや他の方の記事を拝見したりして益々、
“見逃して損した感”がつのりますね〜。
またフィンランド映画祭が大阪でも開催される事を希望しつつ、
どこかで出逢える機会を待ちたいと思います。

「17歳のカルテ」は私にとっては、アンジーの印象があまりにも強くて。
この作品の彼女は、圧倒的な存在感でした。

そういえば、ウィノナはこの原作にシンパシーを感じて主演したと
どこかで目にしたと思うのですが、
ウィキには、彼女自身「10代の頃に境界性人格障害を患っていた」との
記載があります。真偽のほどはわかりませんが。

1960年代が舞台なので、女の子達のファッションや、ペトラ・クラークの曲
「恋のダウンタウン(Downtown)」もとても印象に残っています。

「クワイエットルームにようこそ」は、面白そうと気になりつつ未見です。
ぜひ、見なくては!
Posted by ゆるり at 2011年12月18日 22:24
ゆるりさん、再びこんばんは。

フィンランド映画祭が再び大阪で開催されたあかつきには私も他作品含めチェックしたいです。(^_^)

アンジーって、私は実はファンではなかったのですが、本作の彼女には仰る通り「圧倒」されました。
ウィノナは、やはり彼女自身が何らかの精神的な病を抱えていたというのは私も聞いたことがあります。で、実生活でウィノナが(病によって)とある犯罪行為を引き寄せてしまったことも確か報道されましたよね。
本作の冒頭での語りとも被るところで、複雑な思いで観ていました。

そうそう、音楽たちがキュートでしたね!
不幸にも命を絶っちゃったあの女の子、彼女のファッションもスウィーティーでした。

『クワイエット…』は機会がございましましたら是非手にとってみてください。
大竹しのぶさんの強烈キャラ、すごいです。^_^;


Posted by ぺろんぱ at 2011年12月19日 20:53
こんばんは。

数年前から観たかったこの作品、今年の初めにBS放送されてたので
無料鑑賞できました(笑
アンジー24歳にして大胆な演技だと思いましたよ。
本作で助演女優賞獲っただけのことはあるな〜とは思いましたが
友達にはしたくないタイプの女の子でした^^;

『クワイエット〜』チョット気になります。
忍耐強くBS待ちで頑張ってみようかな笑)
Posted by ituka at 2011年12月23日 22:43
突然で申しわけありません。現在2011年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票は1/19(木)締切です。ふるってご参加いただくようよろしくお願いいたします。
日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.movieawards.jp/です。
なお、twitterも開設しましたので、フォローいただければ最新情報等配信する予定です(http://twitter.com/movieawards_jp)
Posted by 日本インターネット映画大賞 at 2011年12月24日 10:31

itukaさん、こんばんは。

本作でのアンジーは24歳だったのですね、唇の存在感はこの頃からしっかりとありましたね。^_^;
彼女の役柄・リサという女の子はあまりにも全身がナイフのようでした。仰る通り、友達にするには相当の覚悟が必要そうです。

クワイエット…、「BSに来た〜!」の時には是非ご覧になって下さいね。私的には蒼井優ちゃんがとてもよかったです。

Posted by ぺろんぱ at 2011年12月25日 21:13
日本インターネット映画大賞・事務局さま、御案内をありがとうございます。
例年御案内をいただきながら投稿させていただかないままで申し訳ありません。

今年は鑑賞作自体が昨年に比して少なかったので果たして参加させていただけるか否か分かりませんが、それでもサイトにはお伺いさせて頂くつもりです。
いつも御案内をありがとうございます。

Posted by ぺろんぱ at 2011年12月25日 21:22
ばんはです。

アンジーと言えば、本作か『サイボーグ2』ですよね!(ホンマかい!)

私的には、クレア・デュヴァルと言う女優さんが、ディカプリオに見えて仕方ありませんでした(=^_^=)

親父さんはロバート・デュヴァルさんなんやろか??

ではではっ。
Posted by TiM3 at 2011年12月31日 18:02
TiM3さん、こんばんは。
もう2012年に代わりましたね。
明けましておめでとうございます。

アンジーといえば、、、やっぱり「サイボーグ2」ですよね!!・・・って、アクション系は観ていないので「チェンジリング」が思い出されるところ。^_^;

クレア・デュバルさんは私にはマリエル・ヘミングウェイをひたすら想起させる女優さんです。似てますもん!(^^)
ロバート・デュバルさんとは繋がりないそうですよ、、、ありそうなのにね。(←何を根拠に!?)




Posted by ぺろんぱ at 2012年01月01日 00:26
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