観に行って来ました。夕方我が家の猫を通院させねばならない為、
朝一番の10時15分の回にと思い、「まさか朝からそんなに殺到する
こともあるまい」と、それでも30分ほど前には到着したのですが、
もう既に満席・・・そうです、映画の日だったのです。
次の回では通院時間に・・・と目の前が真っ暗になっていたら、
臨時の回が設けられていて10時25分の回に何とかエントリー
できました。よかった。
この映画を選んだのは、やはりフィンランドが舞台になっているから。
そして、カウリスマキ監督の『過去のない男』のマルック・ペルトラが
出ているから、です。
フィンランドの「余計なものが一切ない」どこか未完成の風景画のような
景色の中で、ゆっくり流れる時間を生きる日本女性サチエ。
どこか遠い静かな国でこんな風にゆったりと生きていくのもいいなあって
思うけれど、現実的にはきっと難しいことなんだと思う。
映画の終わりではサチエのお店も念願の大繁盛となるのだけれど、
そうなってみればゆったりと心静かに暮らすということも叶わなく
なるわけだし・・・。何より、たった一人で知り合いも居ないフィンランドで
お店をやっていること自体、これはやはり“フツー”の人から見ると
かなり勇気と力の要ることなんですよね。
けれど、それでもやはり、こういう別の人生があってもいいかなぁと
思わせてくれる・・・。
この映画では「音」に注目?してほしいと思います。
風景の中で水の流れる音、白木作りのシンプルなサチエの店でサチエが
移動する時の靴の音、サチエが合気道の型をとる時の床と衣擦れの音、
テーブルにコーヒーカップを置く音、食堂で揚げ物を揚げる音、その
揚げ物をサクッと切る音、手の中でおにぎりが握られていく微かな音
・・・それらがとても心地よく響いてきました。
女性らしい優しい演出も、「もう少し肩の力を抜いてもいいんだよ」
と言われているように感じました。
すぐに帰るつもりでしたが、スカイビル下の菜の花の咲く庭園を
前にしてドトールのコーヒーとデニッシュ(因みに映画では焼きたての
シナモンロールがとても美味しそうでした)を味わい映画にならって
ちょっぴりゆったりした時間を過ごしました。
かもめ食堂では飲み物はコーヒー以外にやっぱりお酒もあって、
特に、イワクつきのお客である中年女性が呷るように飲むウォッカは
勿論一口でグラスを空けるストレート飲み。
久々にウォッカも飲みたくなったけれど、それはもう少し心が乾いた時に
取っておくとして、今夜は赤ワインをゆっくりちびちび飲んでみるのが
いいかしら・・・と、帰りにブルーチーズを買い込みました。
赤ワインは、先日ワイン好きの女性と阪神デパ地下で試飲を楽しんだ
際に購入したチリのF.B「クレマスキ・フルロッティ」。
チョコレートを思わせるようなブラックベリーの香としっかりした
重い余韻・・・お安い割にコスパ大の美味しさでした。
ブルーチーズを口に含んでこのワインを飲むとチーズがほんのり甘い
ヨーグルトのように感じられました。
飲みすぎて「肩の力を抜く」どころか膝の力が抜けて(普段の私は
お酒を飲むピッチが異常に早い・・・らしい)しまわないように、
ゆっくり少しずつ、映画のシーンを反芻しながらの赤ワインの夜でした。
傍らでは猫がクワァ〜ッとひと鳴き。
そういえば『かもめ食堂』にも猫が効果的な出演をしていました。
エンドロールに流れた「Special thanks ビー」の文字を見て、
ビーってあの猫ちゃんの名前かしら、とふわふわ考えていました。
