スカイビル内外では諸々のイヴェントが開催されており、劇場へ向かうエスカレーターは通常の5割り増しの人口密度でした。
story
曲者の天才シェフが平凡な主婦に恋をする、ちょっぴりほろ苦いラブストーリー。孤高の料理人にふんするのは、舞台出身の演技派ヨーゼフ・オステンドルフ。その相手役をドイツで国民的人気を誇るシャルロット・ロシュが軽やかに演じる
南ドイツでレストランを営むシェフのグレゴア(ヨーゼフ・オステンドルフ)は、カフェで働くエデン(シャルロット・ロシュ)と知り合う。グレゴアは彼女の娘(レオニー・シュテップ)の5歳の誕生日に、お手製のプラリネの載ったチョコレートケーキをプレゼントする。その味の虜になったエデンは、グレゴアの台所に通い始め……。 (シネマトゥデイより)

残酷な映画。
ひと言で言うならばそういう感想でした。(この感想は観終わってみるとちょっぴり違うものに変わってくるのですけれどね。)
「無邪気」「天真爛漫」というのは残酷さと表裏一体なのですね。
エデンの名はまさしくその通りの甘く危険なものでしたね、グレゴアにとっては。
その笑顔で“無自覚に”グレゴアの人生を蝕んでいく様は観ていて怖くさえあり、勝手に人の家の厨房に通って美味しい料理をお皿まで食べる勢いで貪り食べ、その味に官能を刺激されたとばかり自らを「デザート」に仕立て上げて夫をベッドに誘う姿にはドン引きしますが、その結果の受胎をグレゴアに嬉しげに報告する彼女の姿に至ってはまるで小悪魔そのものでしたね。
けれどそんな無自覚無鉄砲な彼女が、グレゴアの心に翼を付けたのは事実。
彼の人生は(敷かれいたレールからは)逸脱し、一旦破壊はされたけれど、人を愛する心を持ち、それに嘘をつかない生き方が自分にはまだ出来るのだと気付かされる事で、彼のその後の人生は違う形で彩を放つことができるのでしょう。
グレゴアがエデンの性質を知りその全てを受け入れようとしている姿が、「冴えない」が「天才的」と言われる料理の腕を持つ男の気高さを感じさせて美しい。
そうです・・・全てを分かった上で、自分の出来ることで精一杯相手を想い続けようとする生き方がそこに在りました。そしてその生き方は哀れでもあり気高くもある・・・「無軌道さはあるが美しく邪気のない女性」を愛した「孤独で気高い男」の物語、なんでしょうかね、これは。

グレゴアを演じるヨーゼフ・オステンドルフは、女性に不器用で優しくも淋しい、何処か達観したような深さをも感じさせてよかったと思います。声がとても素敵で、食材と会話する時だけは饒舌になれるというのも彼の孤独を裏打ちしているようで面白い描き方だ感じました。
「ハンニバル」ばりの犬を料理したエピソード(あれは必要ない、というよりちょっとグレゴアという人間の捉え方が違ってきてしまうので無い方が良かったです)や、「もう逃げない」と自覚する事とエデンの夫を抹殺する事は全然違うことだと私は思うので、そう言う点に於いてはあの希望ある未来を予感させるラストにもちょっと後味の悪さは残るものの、タイトルからは想像し難い意外なストーリー展開に、ある意味“曲者的映画”だったと言えるでしょうね。

調理シーンにうっとりするような、「これぞ料理という名の芸術!」というような感覚をもっと味わいたかったですね。
この日はちょっとしたサプライズがありました。
スカイビル内で大学時代の友人にバッタリ逢ったのです!向こうはカップルで別のイヴェントに来ていたのですが、後で彼女から来たメールには「びっくりしたけど逢えて嬉しかった!これから神戸に向かうって言ってたけどまた飲み会なの??」とありました。
・・・・・その通り!
昨日は神戸で、大学時代の別の友人に実に2年半振りで再会。
彼女の行きつけのお店で楽しく語りました。
映画好きのマスターがやっておられるそのお店はアラン・ドロン主演の某映画に出てくるヒロインの名が付けられたBarで、店内には映画のチラシがそこかしこに置かれています。

酔っていたのと、恥ずかしくて写真を撮ると言い出せず、画がないのは残念ですが、<マスターお手製のカツサンド>はパンはカリッサクッで、カツは柔らかく野菜とも味が馴染んで凄く美味しかったです。
美味しい物を食べた瞬間はその美味しさを味わうことだけに集中できて、だから美味しい物を食べると癒されるのかもしれませんね。
それにしても(多分)グレゴアがエデンの家の空っぽの冷蔵庫に眠ってた食材で作ったと思しき<コーラチョコ・ソース>って、一体どんな味なんやろ・・・・。
私もあのビールの注ぎかたは何やねん!って思いました。でもそれがビイルネンさんの仰る通りの演出だとしたら・・・・凄い、凄すぎる!ですね。
この映画は観終わってすぐと今とで不思議に、微妙に、感想が上向いてきている作品です。あのグレゴアの控えめな微笑と声がボディーブローのようにじんわり効いてきているせいでしょうか。
昨夜〜今日で兵庫県内の塔を眺めに出掛けてました。
なかなか映画に行けんのぅ・・(・ω・)>
あ、ぜんぜん関係ないですが、今回のコメント群を拝読してて、何故か『メメント』におけるキャリー・アン・モスのビール注ぎを思い出しました。
ビールを注いだ後に「なんか」入れるんだけど・・
映画館で観てて結構「うひー」な感じでしたね。。
そうなのですね、確かもう一つのご趣味?の塔婆巡りにお忙しい日々だったのですね。
『メメント』!
衝撃的映画でしたね、また観たくなりました。そのビールは確か何人かの○○が入ってるんでしたよね・・・。ちょっとしたトラウマになってビールが飲めなくなってしまった人もいたりして・・・・。
今作のビール注ぎの悪い点は、単に雑い・下手っぴ、ということですけれどね。
シャマラン監督の作品群と同じく“1つの流れ”を作ってましたよね。
ぺろんぱさんがガイ・ピアース好きでしたら・・『モンテ・クリスト伯』もおススメしておきましょう(=^_^=) ←すんごいヤなヤツ役なんだけど。。
>そのビールは確か何人かの○○が入ってるんでしたよね・・・。
>ちょっとしたトラウマになってビールが飲めなくなってしまった人もいたりして・・・・。
そうですそうです。主人公自身のん(10分前のん)も一緒に混ざってるトコロが何処か切なくて哀しいですね・・(×_×)
そうそう私もビールの注ぎ方の不均衡さが気になりました。だから、飲み逃げされるってんだー。
でも、ヨーロッパは日本と違って、外でビール飲んでも安いんですよねぇ。最高なのはチェコ。
エデンの行動はどうも不評なようですが、私は気持ち的には共感できる部分がありました。共感というか、うらやましいなーと思いながら観ていましたー。
チョココーラソースを味わってみたいですー。
チェコって、確か意外にもビールの消費量が世界一だと聞いたような・・・(違っていたらごめんなさい)お陽さんの下で飲むビールはまた美味しいでしょうね、安ければ尚良し!ですね。(*^_^*)
エデンの行動・・・「うらやましい」というのはある意味私にも言えることかもしれません。でも出来ないから「批判」になっちゃうのかもしれませんね。
カツサンドもいいですが、今度は日本酒のおいしいあのお店にも行きましょう!!
では〜〜
そうですね〜。
日本酒の美味しい季節ですものね〜。って、いつも何飲んでも美味しいのですが・・・(*^_^*)。