当月19日付記事で挙げた『腑抜ども、悲しみの愛を見せろ』(本谷有希子著 講談社文庫)ですが、これを読み終えて直ぐにJ書店にて同じく本谷有希子さん著の『生きてるだけで、愛。』(新潮文庫)を買いまして・・・。
こちらは中編なので直ぐに読了。こちらにもタイトルに「愛」の一語が入っていますね。

『腑抜ども…』には、故郷、田舎町という、一見平和的でありながら実は四肢を伸ばして生きることの難しい狭小な箱の中で、閉塞感への抗いと希望を断たれた無惨な叫びが“耳に”残った感じです。小説なのに耳に?と思われるかもしれませんが、最後の澄伽の「終わる終わる終わる」のリフレインが生身の声色を伴ってガンガン響いてきたので。
「悲しみの愛を見せろ」っていうタイトルの裏で、悲し過ぎてもう愛を見せるほど踏ん張れない姿があってちょっと怖いくらいでしたね。
『生きてるだけで…』は全編に「愛」、いいえ「愛を求める叫び」に満ちていた気がしました。(あ、こっちも「叫び」。両作品には通底する感情があるのかもしれません。)
主人公にあれだけの台詞を吐かせるのはかなりのエネルギーが要ったでしょう。著者である本谷有希子さんは、ネットで見たら外見はかなり可愛い繊細な雰囲気の女性だったので驚きました。
どっちの作品も主人公たちの必死さが心にイタイです。
イタイなぁと思いつつ、この人の小説はある意味クセになります。

さて、鼻腔を駆け抜ける独特の香りと後味の濃さが(こちらも)クセになる、<菊姫>です。
どちらの作品も未読なのですが、後味がキツそうですね…(;^_^A
う〜む かなりつらいそう。
本谷さんの作品はどんな文体なのでしょう…
読んで耳に残る…のですからさぞ説得力がありそうですね。
とても興味が湧いて来ました。もう少し落ち着いたら読んでみようかな…
わー でもつらそう…覚悟が必要ですねぇ。
映画はボチボチと観てはいるのですが、
ポジティブな感想以外は公開しないでおこうと思っている私としては、更新が滞ってて、反省です( -"-)
はい。後味も、読んでる最中も、結構キツイです。^_^;
文体は、何と言いましょうか、アグレッシブな、もっと言えば暴力的でさえあります。その辺は、本谷さんが舞台劇の作家さんでもあるということと何らかの因果関係があるのかもしれません。でもそれもあくまで二次的な要素として、だとは思いますが。
生きてるだけで…の方は救いが訪れます。
>ポジティブな感想以外は公開しないでおこうと…更新が滞ってて…
と仰るということは、ネガティブな御感想の作品が続いたということでしょうか。たまにはそういうのも拝読したいです、あぶくさんファンの一人としましては。(*^_^*)