友人Hさんが貸してくれたDVDで『マイレージ、マイライフ』(ジェイソン・ライトマン監督)を観ました。
日本公開は2010年3月の作品です。
story
企業のリストラ対象者に解雇を通告する“リストラ宣告人”の仕事で年間322日間も出張しているライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)。“バックパックに入らない人生の荷物はいっさい背負わない”をモットーに人間関係も仕事もあっさりと淡泊にこなし、結婚願望も持たず家族とも距離を置いたまま、ただマイレージを1000万マイル貯めることが目下の人生目標となっていた。ある日ライアンは自分と同様に出張で各地を飛び回っているアレックス(ヴェラ・ファーミガ)と出会い意気投合するが・・・。

※story、画像とも映画情報サイトよりの転載です。
意外と深い映画でした。
このあたりが底かなと思いきや、いきなり底が抜けてもう一段下があったという感じ。
結局、人は長きにわたって培ってきたものは容易に変えることは難しいのだなというホロ苦さも残りました。自分が変わろうとしても他事がそれを阻むことだってあるのですよね。
私自身、ライアンの生き方にある面に於いては近さを感じたりもします。深くかかわることをしないのは深くかかわってしまうことでやがては傷つく自分を見たくないから、という思いが(もしかしたら)ライアンの根底にあったのかもしれないから。それは深読みにすぎないでしょうか。
Anyway,
大いなる変化を遂げる(かもしれない)転機がライアンに訪れます。
同様の生き方をしていた(と思われた)女性アレックス(ヴェラ・ファーミガ)との出会いと次第に膨らんでゆく彼女への想い。
しかしやがて発覚する彼女との究極の擦れ違いが、ライアンに“変わることの畏れ”を知らしめてしまうのですね。もし私の深読みがある意味当たってて、その畏れがライアンの過去に既に一度もたらされたことがあったのだとしたら、これはもう人生立ち直れませんよ、ホント。
However,
小さな変化は遂げられます。
それをもたらしたのは、部下となった女性ナタリー(アナ・ケンドリック)との出会いと、妹の結婚を通じて改めて知った家族とのつながり、でしょう。
自分の歩んできた道こそが正道であると信じて疑わなかったライアンの完璧なまでの価値観が、微妙に曖昧になってゆく経緯が興味を引きます。心情的に相容れない誰かと出会ったり非日常的な出来事が起こって初めて、人は自分と対峙することになるのですね。
大きく変わることはないであろうライアンの人生も、これからは今までとは違った彩りが添えられるはず。
それでいいじゃない、と、ちょっと切なくもライアンに愛おしさを感じずにはいられなかったラストでした。
それにしても出てくる女性が四者四様で面白いです。
女優さんとして圧倒的に魅力的なのはアレックスを演じたヴェラ・ファーミガですが(彼女は『ミッション:8ミニッツ』での神秘的なまでの美しさが記憶に新しいところです)、地味ながらここぞという時に人生の先達らしい一言を放つ姉・カーラの存在が効いていました。演じたエイミー・モートンも地味なご尊顔ながらここぞという時に名演をなさる女優さんではないかと拝察します。
マリッジブルー状態に陥った婚約者を再びすんなり受け入れる懐の大きさを見せた妹・ジュリー、あっけらかんとして実に微笑ましいです。ナタリーを演じたアナ・ケンドリックは『50/50 フィフティ・フィフティ』でもスクエアな感じのカウンセラーを演じていましたが、ホームルームで挙手して堂々と正論を説く優等生タイプの女子を想起させて適役と言えるかもしれませんね(正統的美形なのにフェロモンを全く感じないのはちょっと残念です、あくまで私見ですが)。
ジョージ・クルーニーはやっぱりイイです。
1000万マイルを達成して機長と話している時の彼の表情、人生というものの複雑さを滲ませていてちょっとだけ泣きそうになりました。


猫事情で空の旅も出来ていないこの何年か、です。
故にマイレージは貯められていない今ですが、呑み屋さんのポイントは貯まる一方?です。
新しく教えて貰った某酒場にて。
銘柄は失念しましたが純米無濾過生原酒と鰹のマリネの画です。
ライアンは「人生の荷物は最小限のものしか背負わない」主義の人でしたが、既に背負ってしまった人生の荷物は誰にもあるはず・・・こういう場所で時々は下ろしましょう。
後年の『ファミツリ』では、更におっさん化してて、ちょっと残念な感もありましたから・・クルゥニィさん。
終盤の「惨めなトコ」も印象的でした。
確かTiM3さんはご覧になっていたはず…と、お伺いせねばと思っていましたが、すみません、先にお越し頂いてしまって。
カッコイイところが前面に出てるクルーニーさんもよいけれど、そうじゃないクルーニーさんもシブイです。(私的に、観る度に“気になる俳優さん”になってゆくのはそういうところがイイからでしょうか。(*^_^*))
また、この結婚しない独身男っていうのがジョージクルーニー本人まんまじゃないかという
リアルさがこの作品のキーポイントでもあるように感じました。
本人が、なぜ独身のままなのですか?と聞かれて、
一回結婚に失敗したからと答えたそうですが、
何か深い傷でも負ってしまったのでしょうかね。
それとも、初めまして??でしょうか???
確かかなり前に『ラスト…』でコメ戴いた伊藤さまかと・・・・。違っていたらすみません、もし初めてお越し戴いたお方なら「お初にようこそ!」です。どちらにしても、ようこそ!ですね!(*^_^*)
前置きが長くなりましてすみません。
ジョージ・クルーニーさん、確かに、以前の離婚が尾を引いていてカウンセラーに罹っておられた時もあるとか。
しかし、心療内科に通うか否かは別として、やはり結婚した相手と人生を分かつと言うのは多かれ少なかれ傷を負うものかと・・・。とはいえ、離婚を乗り越えてこられた男女もまた、表には出ずとも何らかの傷を背負っておられるのではないかと・・・。
人はそれぞれ、きっといろんな傷を負っているのでしょうね。
イトウさまも「最近この作品を見て心に残って仕方ありません」と仰るには、もしかしてそれなりに(離婚云々ではなくて)人生を鑑みるところもおありだったのでしょうか・・・。すみません、勝手な推測、失礼しました。
私は大いに思うところあり!の身と言えます。^^;
また何かの作品でコメントいただけたら嬉しいです!