シネリーブル梅田で『きっとここが帰る場所』(パオロ・ソレンティーノ監督)を観ました。
「人生は美しさで満ちている
だけど、時々、何かが変だ・・・」
story
元ロックスターのシャイアン(ショーン・ペン)は引きこもり生活を送っていたある日、故郷アメリカから30年も疎遠だった父親が危篤だという知らせが届く。飛行機が苦手な彼は船でニューヨークへ向かうが、臨終には間に合わなかった。そして、かつて強制収容所にいた父が元ナチス親衛隊員の男を捜していたことを知ると、シャイアンは父の代わりに男を捜す旅に出る。

※story、画像とも、映画情報サイトよりの転載です。
映画のキャッチコピーの通り、シャイアンを取り巻く世界は時々、じゃなくて、いつだってちょっとヘンでした。とりわけ当のシャイアン自身が一番ヘンでしたからね。
でもこの物語は最後に確実に、胸がキュンとなる、切なくも幸せな感慨を心に残してくれます。
人生に行き詰まり抜け殻のようになってしまったシャイアンは終始つかみどころがなく、「僕って鬱かな?」と本人が言うほど無表情でいつも瞳は遠くを見ているだけ。
だけど時折吐く台詞で、彼が決して完全な自失状態ではないことが分かります。彼の言葉は真理を突いていて、他人に対する姿勢はブレていないように感じられたから。きっと彼は真っ直ぐで繊細で、繊細過ぎていろんなことを背中に担いで降ろせなくなっちゃったのじゃないかなって思いました。
一枚も二枚も上手の妻・ジェーン(フランシス・マクドーマンド)に心身ともにしっかりと支えられてまるで子どものようなシャイアンですが、彼女の愛の大きさを痛いほどに感じながら迷路から抜け出せず、過ぎ去った時の重みに耐えかねている姿は痛々しいです。
父との確執と隠された思慕、自分の子どもを持とうとしなかった自身の来し方、それらと対峙することになる姿も、やはり痛々しい。
“痛いづくし”のダメンズぶりをショーン・ペンがこれ以上ない適役の如く演じています。でもそのダメンズぶりに愛おしさをも感じさせるのは、母性愛を(のみならず父性愛をも)くすぐるショーン・ペンの魅力によるところが大きいのかもしれません。
ある人物を探してのロード。
ホロコーストという過酷な史実と厚塗りロッカー・シャイアンのロードが一体どのような結末を迎えるのかがスリリングですが、最後には探し当てた相手とのシャイアンなりの決着をきっちりと見せてくれたと思います。
ロードの先々で、シャイアンは小さな種を蒔きます(あくまで比喩的表現ですが)。
とりわけ、レイチェル(ケリー・コンドン)親子とのプールを巡る一連のシーンは特別な余韻を残します。小さな種が花を咲かせたんだなぁって思えました。
子どもがちょっと大人になって?帰って来るラストは、とてもあったかいものが身体中を駆け巡ります。
かなりヘンで、ちょっと可笑しくて、最後は胸がキュンとなる、好もしい一作。
本人の役で登場しているデイヴィッド・バーン(元トーキング・ヘッズ)のライヴシーンもクールです!

静かな微笑を湛えて迎えて下さるママさんのいらっしゃるお店で。
日本酒の冷やと白子おろし。
あー、この映画に出てくるシャイアンちのキッチン、無機質やけど素敵やったなぁ。
あんなスタイリッシュなキッチンでとことんキッチンドリンカーになってみたい! ← こういう私もどこかヘンだ。
今作品で悩みましたが‥フランシス・マクドーマンドが出てるんですか!
知らんかったー。選択に失敗したかも。
>本人の役で登場しているデイヴィッド・バーン
若かりし頃、トーキング・ヘッズの映画『ストップ・メイキング・センス』を
見に行ったのを思い出しました。音楽的にも面白そうですね。
ゆるりさん、こんばんは。
「少年は残酷な弓を射る」は私も鑑賞の候補作です。ティルダさんが好きなので。でもそれなりの気構えが必要な気がしますよねぇ。
本作、フランシス・マクドーマンドはイイですよ。
お好きなのでしたら(劇場でなくDVDでも)いつかご覧くださいね。
そうそう、ホントに音楽的にも楽しめますよ。
音楽により精通しておられるゆるりさんなら尚更と存じます。(*^_^*)
上の画像って、向こう側がペンでこちら側が彼の奥さんなのかと思い
よ〜く見たら、なんとびっくり!でした(笑)
ロックと言えば20代の頃に唯一観に行ったのが矢沢の兄さんでした。
会場の異様さはよく聞いてましたが、実際に行くとチョット怖いものがありました^^;
itukaさん、こんばんは。
スルーですか〜、そうですか ^^;。
でもでも、私としましてはitukaさんにいつかご覧になって頂きたいです。ショーンが、イイです。マクド−マンドも、イイです。(*^_^*)
>会場の異様さはよく
そうですか。さすがは永チャン!なのですね。
私が会場の異様さ、呑みこまれるような熱気、スモーク舞う異次元、、、そういうのを感じたのは大阪城ホールでのGLAYのコンサートでした。会場に一歩踏み入った途端、自分が変わってゆくような感じでした。あれは凄かったです。
シャイアンの厚塗りは、ある意味悲しいです。
よろしければDVDになった時にでも是非に。(*^_^*)