『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』(マガジンハウス 村上春樹 著、大橋歩 画)を購入して、あっという間に読んでしまいました。
雑誌「アンアン」に連載のエッセイをまとめて一冊の本にしたシリーズの3冊目です。
このシリーズ、面白いです。小説と違って、肩の力の取れた、ゆる〜くのんびりふわふわした(でも時にきりっと鋭い視線を感じる)春樹さんの日常の一コマが展開しています。

小説は近年世界で注目された『1Q84』がそろそろ完結を迎えようとしていると思われますが、正直に言って私のような世代の春樹ファンにとって『1Q84』は少し距離を置いて接してしまった感のある作品でした。勿論とても興味深く読みましたし、「1ー3月」の完結編が出されたら直ぐに書店に走って買い求めると思いますが、何と言いましょうか、過去の某長編小説の時のような、第2部・第3部を待ち侘びて、待ち侘びて待ち侘びてやっと手にした時の喜びと読み終えたときの想いの濃さに比べたら、かなり大人しく慎ましやかに「それでは読ませて頂きますね」という落ち着きはらった感じでページを繰っている自分が居ました。
これは多分に私自身が年を取ってしまったということなのだろうなぁと寂しく思いつつ、それでもいつか「1Q84」をまた最初から読み返して「ああ、やっぱりこの小説はイイなぁ」と思える自分を感じたいと思っております。
話を「村上ラヂオ」に戻しますと、まあ私自身が肩の力を抜き切って読んでいるせいか、やっぱりこの人のエッセイは面白くてハズレが無いなぁと思うのですよ。
春樹さんの紀行文も非常に面白いですが、紀行文とまでいかなくても本作に収められてる幾つかのエッセイには、諸外国を旅した上でのちょっとした出来事やその土地への感想などが短い行数の中に生き生きと感じられて、まるで傍で一緒に旅をさせてもらっている気にまでなってしまいます。
紀行文によらず春樹さんのエッセイには文章の中に( )付の一言がたびたびあって、それがなかなかの余韻を残してくれたり。
例えば本作、、、「もう一度人生を繰り返すとしたら」っていう一文があってその後に(繰り返したくないけど・・・)っていう一言が付してあるのなんて、その( )内の一言の吐露だけで瞬時に春樹さんの想いを分かちあえてしまう部分もあるというか、そんな感じがするのです。(分かりあえるだなんておこがましいことだと承知しているのですが。)
「なるほど」とか「そうだよなぁ」と思うところ、「そうなんだ、知らなかったわぁ」と勉強になるところ、大袈裟ですが「人生に於ける啓示」みたいなものを授かるところ、いろいろあって楽しい、嬉しい、そして時として妙にもの悲しい、そんな一冊です。大橋歩さんの挿絵も味わい深いです。
そうそう、この一冊の中に登場するのですが、パトリス・ルコント監督の『サン・ピエールの生命』とウディ・アレン監督の『アニー・ホール』、どちらも観たくなりました。『グラン・トリノ』でクリントが演じた退役軍人ウォルトがひたすら呑んでたブルー・リボンというビールも是非一度呑んでみたい思いに駆られました。
あと、ムンクの「叫び」風のカットがされたお弁当のソ-セージとやらも見てみたいです、これは直ぐにでも(*^_^*)。

さてさて、ビールじゃないですが、これは実家での日本酒で乾杯の画です。
サラダ好きのライオン、じゃなくてお酒好きの大トラ!の私のために買ってくれていたお酒です。今回のは特に私好みのものでした。<八重垣>の生原酒で、純米と特別純米の二種です。ありがとう。
休日のお昼間の乾杯は、軽くともあとでずっしりと来ます。
独りになった時、その酔いを受け止める時、密かにちょっと落ち込んだりもします。
村上春樹さんの小説を以前に読んだことがあるのですが、むずかしくて(最後まで結局読めてないのです)それ以来苦手の範疇に入ってる作家です。
なのでエッセイを読もうとも思ってなかったのですが、ちょっと読んでみたくなりました!
どんな日本語の世界なんでしょう。
先にご紹介されてる映画「ローマ法王の休日」も来週観にいこうと思ってるとこです!
お昼間に飲むお酒はちょっとだけ罪深い(?)気がしますね^^
Jupiさん、こんばんは!
そうですか、春樹小説は苦手でいらっしゃいますか。相性ってありますものね。
私も友人から勧められて読んでみても今一つのめり込めない作家さんもいます。
しかしファンとして、Jupiさんが手に取られたというその小説が何だったのか、とても気になるところです。(^^)
エッセイはエッセイとしての春樹ワールドが展開していますので、もしかしたらそこにも相性的なものはあるかもしれません。
でもふっと、Jupiさんの心の襞に添うものがあれば私としては凄く嬉しいです。(*^_^*)
『ローマ法王の休日』、是非楽しんでいらして下さい。いい作品だと感じましたよ。
>お昼間に飲むお酒はちょっとだけ罪深い(?)気が
そうなのですよ。
仕事のお休みをもらってる平日のお昼間とかだと特にね。
でもね〜、経験してみればなかなかよいものですよ〜、お昼酒。
先ずビールは太陽のもとで飲むのもとても似合うアルコールです。濃いお酒もそれなりに。
Jupiさんもたまには如何でしょうか。(*^_^*)