『ローマ法王の休日』鑑賞を受けて、ミシェル・ピッコリ繋がりで『五月のミル』(ルイ・マル監督 1989年作品)を観ました。少し前にBSプレミアムで放送していたものを録画しての鑑賞です。
「五月のミル」、八月に観る。(←こういうつまらないことを考えていると、人生ちょっとだけ楽しくなります。)
story
1968年5月、南仏ジェールのブルジョア、ヴューザック家。時は五月革命のさなか。老母(ポーレット・デュボー)が死に、長男のミル(ミシェル・ピッコリ)は彼女の死を弟妹や娘たちに伝える。ミルは娘一家や親族との再会を喜ぶが、遺産相続をきっかけに互いのエゴがぶつかり合いはじめる……。

※story、画像とも映画情報サイトよりの転載です。
この映画の内容を全く知らなかった時、ミルという名前から、草原を行く5月の爽やかな風の中に立つ多感な少女の物語を思い浮かべたものでしたが、これは五月革命のさなか、老母の死で久々に顔を合わせた親族たちによって右往左往させられる初老のオジサンの物語なのでした。
五月革命というのがキーになっています。
反権力、反資本主義、フリーセックスなどを謳った、一般民衆や学生によるストライキを主としたこの反体制運動を熟知していないと、ここに集った面々の妙ちくりんな言動にかなり違和感を覚えることになるかもしれません。(私は覚えました。)
「退廃」と紙一重のような生活を送りながらも遺産の分配には非常に現実的で、そして「革命」について論じ合うスノッブさを身にまとうのも忘れない彼らに、観ていて少し苛立つ思いも。
そんな中、ミルと子ども(特にミルの孫娘)は変わらぬ風情に見えます。
子どもはすごいです。大人たちの間にくり拡げられる難儀でタブーな問題も、全て興味の対象として捉えて吸収してゆく逞しさといったらありません。ミルと孫娘の浮世離れしたような会話が可笑しくて、さっぱりとした気分にさせてくれたりします。
ドタバタとも思えるような数日間の親族たちとの道行の中でそれぞれが潜在的に抱えていた問題が浮き彫りになり、傷となって膿を出し、しかし不思議なことにやがては治癒してゆくという感じだったのが興味深かったです。
家族、親族というのは厄介で、しかし面白いものですね。
穏やかだったミルの日常にある日突然大嵐がやって来て家中の全てを吹き飛ばし、嵐が去って再び、田舎町ののどかな自然の中にミルと家だけが残される、そんな感じのラストです。
ちゃっかり手を出していたメイドの女性にも俄かに出来たオトナな恋人にも、どっちにも去られてしまったけれど、きっとミルの残りの人生は変わらずあの南仏の田舎町で続いてゆくのでしょう。
食事のシーンが多いという点で日本映画とフランス映画は似ているという話をかなり昔に聞いたことがありましたが、本作も食事のシーン(調理段階からの)がかなり多く、その描写もかなり丁寧です。「家族を描く=食を描く」っていうこともあるのかもしれませんね。
また、(こちらは)生々しくはないけれど性(セックス)に言及するくだりも多く出てきます。性を大らかに捉えているところもあれば究極の真理に迫ろうとするかのようなところもあり、タイトルだけで爽やかで瑞々しい物語を想像しているとかなり手痛い目にあいます(苦笑)が、終わってみれば中々チャーミングな作品だったと言えなくもない?でしょうか。
ミルの娘カミーユをミュウ=ミュウが演じています。この人は美人というのじゃないけれど強さを漲らせた独特の風貌が存在感ありますね。
私的には弟の後妻リリー(演じるはハリエット・ウォルター)が良かったです。

さてさて、先のお盆休みだった休日、久々に再会のMッチーさんに御案内してもらって天満のモツ鍋屋さん「福福福屋(ふくみや)」さんに行きました。猫事情で他の友人達より早帰りせねばならず私はほんの数口しか味わえなかったものの、その美味しさにビックリ!叶うならもう一度ゆっくり味わいたいものです。
その時にいただいた焼酎<薩摩維新>がこれまた芋焼酎の概念を覆すような爽やかなミントのような香でした。ホント、世の中にはまだまだたくさんの未経験のお酒アイテムがあるのですね。
ついでにもう一枚。 残暑厳しき折、家中の避暑地を求めて彷徨う我が家猫・a です。

『五月のミル』実は未見なんですが、ルイ・マルの比較的新しい作品、五月革命がらみの作品、
ミシェル・ピッコリが出てる作品という事で、ずーっとチラチラ気にしてる映画です。
こういう映画が何本もあるうちは、退屈なんかとは無縁やなぁと嬉しい気持ちもある反面、
「いつか」と思ってるだけではアカン気もしますが。
いろんな角度からの視点での印象が語られていて、興味深く拝読しました。
ハリエット・ウォルターさん、おそらくイギリスの女優さんだと思うのですが、
フランス映画でも活躍されてるんですね。
ちょっとイジワルでしっかりモノの役が多いイメージですが、
はたしてこの映画ではどんな役で、ぺろんぱさんの興味を引いたのか気になるところです。
『カミーユ・ピサロと印象派』展を満喫されたご様子も、楽しく拝読しました。
残念ながら19日で終了したようですが、ピサロの絵に触れてみたいという気持ちになりました。
農村の人たちの生活が伺えるような絵画からは、ある種のパワーが感じられる気がします。
ところで、“兵庫県立美術館”=“兵庫県立近代美術館”だとばかり思いこんでいて、
いかに長い間、神戸の美術館に足を運んでいないかという事に自分でもハッとしました(汗)
さっき貴ブログにお邪魔しましたら少しの間お休みされるとか・・・。
(私的に)気になる作品ばかり、どんどん観に行っていらっしゃるのだなぁと嬉しく拝見しておりました。コメだけ投稿させて頂いておきますね。(*^_^*)
本作、いつかご覧になって下さい。私はあまり五月革命のことを熟知できていなかったので肝心なところをしっかり味わえていなかったかもしれません。御鑑賞後のゆるりさんの御感想に期待します!(^^)
ハリエット・ウォルターさんは、役柄のリリーさんが心の奥の心情を吐くところがあってそこがなかなか好感が持てたかな、と。
そうそう、ピサロ展、終わっちゃったんですよね。
また何処かで機会がございましたら是非に。
そうですね、幸せ感と、「パワー」ですね。
農業は労働の、ひいては生きることの“原点”ですものね。
県美も近美も、似ていて美術館にはよくある名ですよね〜。大阪にも紛らわしい名の美術館が幾つか・・・そういえば大阪の美術館にも私は暫く足を運べてないです〜。(T_T)