今は亡き伝説のJazz Man マイルス・デイヴィスの名前が何故か会話の俎上に続いて登場した時期があって、彼の演奏が効果的に使われている、これまた伝説のフィルム・ノアール『死刑台のエレベ−ター』が私の<お題>映画の一つになっていたのです。
思い始めて早ふた月・・・やっとこさレンタルしてきたわけです。
story
土地開発会社に勤める技師ジュリアン(モーリス・ロネ)は社長夫人フロランス(ジャンヌ・モロー)と通じており、彼女の夫であり邪魔な社長を殺す完全犯罪を目論んでいた。だが社内で社長を殺した帰途、残してきた証拠に気づいたジュリアンは現場へ戻ろうとするが、週末で電源を落とされたエレベーター内に閉じ込められてしまう。しかも会社の前に置いてあった車は、若いカップルに無断で使われており、彼らは彼らで別の犯罪を引き起こしていた……(Yahoo!映画情報より)。

オープニングからマイルスの哀切感溢れるトランペットの音色が、二人の主人公の台詞や視線、唇の動きにまで絡み付くように響き、臨場感を盛り上げていきます。
ウェットなようでドライ、なんかこう・・・喉の渇きを感じさせるような一種の苦しさ?を伴うような音色と言えば、Jazz通の方から「そんなの違うよ」って笑われるでしょうか。
エレベーターが止まった事で二人のみならず少なくとも6人の男女の運命が大きく狂うというストーリーは非常に興味深いのですが、映像に関して言えばサスペンスとしての高揚感はさほど感じられません。
むしろ映像の上で惹かれた事は、この作品のモノ・クローム映像が醸す神秘性のようなものでしょうか。
殺人の場面、例えば隠蔽工作の仕方とかは「これでいいのか!?」と思う程おざなり感も拭えないのですが、閉じ込められたエレベーター内でのライターの炎とそこに浮かび上がるジュリアンの顔や、ジュリアンを見失って街を彷徨い歩くフロランスの表情を、とても丁寧に、と言うより執拗に撮っているのが印象に残りました。“夫殺し”という背徳を背負いながら、それらのシーンは美しくもあるのです。

特に魅入られたのは、ジュリアンがエレベーターの床板を外し、何処までも続く深い闇の底に向かって、ライターで火をつけた煙草の空き箱を放り落とすところです。
ハラハラと燃えながら闇の空気の中を舞うように落下していく様は、まるで死という闇の世界に向けて吸い寄せられていく蝶々のようでした。その蝶は他ならぬ背徳の罪を背負ったジュリアンそのものだったのでしょうか。
そして魅入られた点もう一つ。それはやはり、ジャンヌ・モローでしょう。
ジャンヌ・モローと聞いて先ず思い浮かぶのはずっと昔にTVで観た『黒衣の花嫁』という映画です。あのラストは印象的でした。
美しい造作なのに、ジャンヌの顔はどこか物憂げで時には怒っているように怖く見えたりします。
口角が下がっていて、ぽったりと決して自己主張の少なくはない唇が、ともすれば威圧感を与えるのではないでしょうか。
しかし魅力的な女優さんであることは確かです。

彼女・フロランスが物憂げに街を彷徨う一連のシーンはこの映画の中の“動”(ジュリアンの車を盗み無軌道な行為を繰り返す若きカップル) と“静”の「静の部分」として重厚なトーンを醸していると思います。
考えてみればこの映画にはその無軌道なカップルの他に殺害される年嵩の夫婦も登場し、三者三様の愛の形が映し出されています。
いずれも片方が精神的暴走をし、もう片方がそれに引きずられる形で悲劇を迎えることになります。
若きカップルは男性の自己破滅的幼児性が、年嵩の夫婦は夫の高慢ちきな態度が、そしてジュリアンとフロランスはフロランスの
魔性が・・・それぞれの運命の死刑台へと導いて行ってしまうのですね。
しかし「悲劇」とも言い切れないものをラストから感じたのも確かです。
フロランスはジュリアンへの揺るぎない愛を確信したはずですから・・・現世で報われることはないかもしれないにせよ。
現像液の中に昔日の二人が浮かび上がり、フロランスの手がそれをなぞっていく、あのラストシーンがとてもいいです。
勿論、マイルスのトランペットがこの映画を数倍佳きものに引き上げてくれていることは私が言うまでもないことです。

今日、このブログをアップする前に、Jazz の雰囲気を高めるべく?(いえ、実のところはママさんに長くお借りしていた映画関係の本をお返しすべく)Jazz Bar Wishy-Washy に伺いましたので少しそのお話をします。
お店の向かうと、もう既にJazzのいい音が路に響いていました。
昨夜から体調を崩していたので、先ずは身体に優しく<ターキー>のお湯割りを。
(体調悪いんならお酒飲むなよ!・・・ですか?^^; それに「先ずは」って飲む気満々やんか!・・・ですか??^^;)
でもお湯割りでジンワリ身体が温もってきましたよ。

店内に「本日はミントジュレップ作れます」との案内が貼ってあったので、二杯目はそれにしました。
これは、ボブ・ジェームズの「Three」というアルバムに「One Mint Julep 」という曲

作るのに手間がかかり新鮮なミントの葉が必須な為、メニューに挙げていないお店も多いそうです。
ここのMint Julepのミントの葉はマスター氏の自家栽培との事・・・とても綺麗なミントです。
※グラスの底には細かく切って香出ししたミントの葉が・・・・。


見た目は可愛いですが、クラッシュアイスが溶けない限りはバーボンのロックと同じなので、ストローから一気に飲むのは危険みたい^^;。
ゆっくりミントの香を楽しみつついただくのがよろしいかと思います。ほのかな甘味とミントの香、そしてバーボンのコクが相まってniceなカクテルでした。
帰宅後は一気にブログを書きあげてアップできました。楽しい会話と美味しいお酒で勢いが付いたんですね、きっと。
今回の作品は未見ですが、評価は高いですよね。
衛星での登場を待ってみようと思います(=^_^=)
あ、バーボンにクラッシュアイスって面白そうですね。
お酒は安くてイイから、楽しい会話の出来る相手が欲しいトコですねぇ・・(・ω・)
記入してしまいました・・(×_×)
そんなこんなで(←どんなあんなだ)明晩より数日間、
ノートPCが修理に出されます・・
うー・・つらいです(×_×)
私もこれはマイルスの話題がキッカケではあったものの、未見でしたので気になっていたのです。ジュリアン役のモーリス・ロネも、『太陽がいっぱい』のモーリス・ロネという感じでしたし・・・。
機会がございましたら是非に。
お酒は、楽しい会話有りなら勿論私もどんなお酒でもイイです!(^_^)
ノートPC、早く戻ってくるといいですね。
今週は冒頭の月&火曜に衛星第2で放送された、
アジアン系の作品がなかなかいい感じでした☆
恋愛映画を観ると、恋愛がしたくなりますね。
(↑おっさんが何をほざいとるか!(⌒〜⌒ι))
PCの無事の帰還、おめでとうございます!!
恋愛映画を観て恋愛がしたくなる、というのは“おっさん”でない証拠です。
その一連のアジアン系作品はTiM3さんの恋愛感情をくすぐるものだったのでしょうか・・・・どんな作品だったのでしょうか・・・また貴ブログにお邪魔して拝読しますね!
またブログってみますん。