久々の「処前観シリーズ(処分する前にもう一回観ておこう)」の第13弾は『華麗なるギャッツビー』(1974年製作 ジャック・クレイトン監督、脚本はフランシス・フォード・コッポラ)。かなり前にBS放送を録画撮りしたVHSです。
村上春樹が愛する作家 F・スコット・フィッツジェラルドの同名小説(The Great Gatsby)を映画化した作品ですね。
story
1920年代のアメリカ。ニューヨーク郊外のロングアイランドの大邸宅で、夜ごとパーティを催している金持ちの美青年ギャツビー(ロバート・レッドフォード)。彼は他の男と結婚し、社交界の花形となった元恋人デイジー(ミア・ファロー )への思いを断ち切れずにいた。やがてデイジーとの再会を果たしたギャツビーは、彼女の心を取り戻しかけるが…。

※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。
ここまで“根源的に”“成り立ちが違う”女性をどうしてこんなにも深く愛してしまったのか、、、ジェイ・ギャッツビーの人生を第三者として見るとき、それは苦しいほどに切なく哀しいのでした。
デイジーは何より自分自身を愛する(自分自身しか愛せない)女。
その自分自身を、最大級に愛し、守り、最高の暮らしを与えてくれる相手しか愛せない女でした。いいえ、愛していると思いこむだけ、本当に愛しているのは相手ではなく自分自身なのですから。
貧農のもとに生まれ、やがては巨万の富を築きながらも自身の真髄は変わることのなかったJ・ギャッツビーと、終始“今以上の”幸福を求め、他者に与えられ他者に守られることに慣れ切ったデイジー。これは始まりから既に目に見えていた破局、そしてJ・ギャッツビー自身の人生の破滅の道程なのでした。
しかし「破滅」と捉えるのは第三者である我々であって、J・ギャッツビーはひたすら一心不乱にデイジーへの愛に一途であり続けている(常軌を逸するほどに)のですね。デイジーの従弟であり、物語の語り部的な役割として登場するニックがいみじくも「J・ギャッツビー、彼ほど愛を準備し続けた人はいない」とも言っているように、J・ギャッツビーにとって彼の人生は、最後のあの瞬間まで「求め続けたものに手が届く瞬間」であったのかもしれません。
冒頭から常に登場していたニック(サム・ウォーターストン)ですが、彼が地に足のついた“こちら側”の世界に身を置く、真っ当な視点を持ち得る青年であったことがせめてもの救いでした。
でなければ、誰があのロングアイランドでJ・ギャッツビーの死を悼んでくれたでしょう。誰が彼の長い長い闘いを意味あるものとして掬い取ってくれたでしょう。泡沫のごとく消え去ったJ・ギャッツビーの想いの、美しくも哀しい物語として。

主演のロバート・レッドフォードは、映画『追憶』では逆に、バーブラ・ストライサンド演じるプロレタリアートの女学生と別れゆく、裕福な家庭の男子学生を演じていました。(拙ブログでも感想を挙げています。)
ロバート・レッドフォードはどちらかというとそういう役の方が似合うような、、、私的にもお坊っちゃま的なイメージが拭えず、目的のために手段を選ばず成り上がってきた裏の顔を持つ執念の男・ギャッツビーを演じるには少し線が柔らかい(細いのじゃなくて)のじゃないかとも感じました。
実はつい今しがた知ったことですが、これって来年(2013年)にレオナルド・ディカプリオ主演でリメイクされるとか!
なるほど、私としてはディカプリオのJ・ギャッツビーに更なる期待をしたいです。
デイジーを演じたミア・ファロー。これ以上ないというほどの適役だったと感じます。
儚げで美しく、いつも心が浮足立っている、そして愚かで残酷な女。そんな役を完璧に演じているのに、決して嫌いな女優さんにはならない(少なくとも私は好きです)のは、女優ミア・ファローの魅力なのでしょうね。
140分強はフィルムとしては長いかもしれませんが、この作品を映画化するとしたら時間が足りなかったくらいではないでしょうか。
J・ギャッツビーの陰の部分をもう少し丁寧に見せてほしかった気がします。
2013年の『華麗なるギャッツビー』に新たな期待をしたいです。
この映画にはミントジュレップが出てきます。
バーボンベースのカクテルですね。 時々お伺いするBar,Wishy-Washyさんで私も一度だけ戴いたことがあります。ミントの香りが爽やかなロングカクテルですよ。
原作小説しか読んだ事ないんですが、ラストは「プールでぷかり」だったんでしたかね? 『サンセット大通り』とヴィジュアルイメージがこんがらがったりしてます。
昔のレッドフォード作品をまとめて鑑賞したいモノですね〜(・ω・)
こちらの方に先にコメントくださっていたのですね、気付かずゴメンナサイです。
はい、原作通り、ラストは「プールでぷかり」です。やりきれません・・・(涙)。
>昔のレッドフォード作品をまとめて鑑賞したい
あ、そういうの、イイかも知れませんね!
レッドフォードに限らずとも、誰か特定のアクターさんの変遷を辿るっていうの。
レッドフォードさんなら、、、やっぱり『追憶』と共に印象深い『明日に向かって撃て』ですかねえ。あ、『スティング』も。私の中ではやっぱりレッドフォードさんのイメージは本作よりもこういう作品かなぁ・・・。