2012年11月29日

人生の特等席


 大阪ステーションシティシネマで『人生の特等席』(ロバート・ロレンツ監督)観ました。
この監督は長年にわたりイーストウッド作品に製作や助監督として携わってきた御方で、本作が記念すべき長編監督デビューとか。

クリント・イーストウッドは『グラン・トリノ』で「もう俳優業は引退する」と宣言していたので、それなら次はイーストウッド監督としての次回作を楽しみにしていようと思っていたのでしたが、嬉しい前言撤回ですね、これは。
プロデュースも兼務していたようですが、とにかく、俳優・クリント・イーストウッドに心地よく酔えましたよ、本作。

story
 数々の名選手を発掘してきたメジャーリーグの伝説的スカウトマン、ガス・ロベル(クリント・イーストウッド)。しかし近年はパソコンを使ったデータ分析が主流でガスのような昔気質のスカウトマンはすっかり時代遅れに。視力も衰え、残り3ヵ月となった球団との契約の延長も望み薄。そんな中、ドラフトの目玉選手のスカウティングに向かったガスのもとに、弁護士としてキャリアの大事な時期を迎えていた一人娘のミッキー(エイミー・アダムス)がやって来る。すっかり疎遠になっていた2人は互いに素直になれずにギクシャクしたままだったが…。

                       人生の特等席.jpg                     
                    ※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。


 ノースカロライナの青空に金属バットの快音が響く、、、。
こんなに爽快な気分で劇場を後にできるとは思いもしませんでした。
予定調和的と言うなかれ。バシッとミットのど真ん中にボールが収まるような、そんなラストは実に小気味良いのでした。
いい意味での浪花節スピリッツが本作でも根底に流れていて、「俳優業は卒業と思っていたが脚本に惚れたから出る」と言ったらしい(某紙情報)クリント・イーストウッドの思い入れがひしと伝わってくるようでした。

序盤、成績不振のチーム打者に「お前は野球のことだけ考えてろ」のガスの台詞が、彼のスカウトマンとしての、いいえ人間としての歴史と厚みを感じさせてくれました。現役の選手にとってこれほど力強い言葉はないのではないでしょうか。

だけど生身の人間ですからねぇ、ガスには不完全な部分がたくさんあるし、その不器用さが何処かにしわ寄せを作りもします。
娘との長きに渡る確執。
家族ってもの凄く大切な存在ですが、時としてその大きすぎる存在が厄介なことも。見えない大きな壁にぶつかったり、もつれた糸が解けないで困惑したり、ね。
けれど、糸はいつかは解れます、互いを想う心があれば。
他人から見れば三等席でも、父娘互いが「自分にとってそれが特等席だ」と思えるのならば。


序盤の“ピーナッツBOY・リゴくん”のワンシーンから、今か今かと待っていた展開が最後にきます。
アメリカ映画らしいサクセス・ストーリーで、分かっていたはずなのにやっぱり涙がにじむのは何故でしょう。はい、リゴくんの台詞通りきっちりと「楽しませて」もらいました。

「ああ、空って美しいなあ」、、、なんの衒いもなくそんな言葉が言えそうな映画でした。ありがとう。
クリント・イーストウッド。
出演作も監督作もハズレはないですね。

                       人生の 1.bmp


 さてさて、劇中、ウィスキーをボトルのままラッパ飲みするミッキーがいました。
これはあるコトが一つの区切りを迎えたことによるミッキーなりのある種のパフォーマンスでもあったと思いますし、ほんのり心を寄せる男性・ジョニー( ジャスティン・ティンバーレイク)が傍に居てくれもしたから、ちっともイタイ呑み方なんかじゃなくて悲壮感も漂っていません。
それどころか、ウィスキーのボトルのラッパ飲みって、観方によればちょっと“cool!”でもあったりしませんか。
これが日本酒の4合瓶じゃそうはいきません。全く別の空気が漂いますよね。まあね、ラッパ飲みするお酒じゃありませんからね日本酒は。

  
         ある日の地酒冷 YTOにて .bmp   ある日の焼酎 YTOにて.bmp                          

 日本酒もウィスキーも、取り敢えずはグラスに注いでいただきましょう。(^_^)
ということで、ある日の、某酒場での冷酒と焼酎水割りです。幸せのひととき。ぴかぴか(新しい)




posted by ぺろんぱ at 20:38| Comment(8) | TrackBack(1) | 日記
この記事へのコメント
分かってはいるけど、最後にキッチリ落とし所を決めるのは流石ですね。
ピーナッツくんの最後の登場もしっかり待たされた分、涙腺が緩むんですよね^^
ワタシもカーブを連投するところ涙が止まらなかったです。
↑これ、ミッキーに見出されたシーンのところからずっと(笑)

見終わってこんなに爽やか気分になれたの草gくんの映画以来(って先日の観たばっかりか)^^;
Posted by ituka at 2012年11月29日 21:36

itukaさん、こんばんは。

>ミッキーに見出されたシーンのところからずっと

そうですよね〜。
荷物をまとめるミッキーの耳にボールの音が聞こえ始めた時からウルウル秒読み、、、だったのではないでしょうか。(*^_^*)

草gくんの映画って『任侠ヘルパー』ですよね??
itukaさんのブログにお邪魔して、評価点を拝見して「おお!」とPCを前に声を挙げておりましたよ。
草gくんは応援したいのですが、きっと観にいけないと思いますのでitukaさんのレヴューを拝読してDVDなりTVなり、いつかの出会いに備えたいと思います!

本作・人生の特等席、若かりし頃にスカウトマンとして活躍したガスの写真でかつてのクリントの画像がいろいろ使われてて、懐かしくて微笑んじゃいました。



Posted by ぺろんぱ at 2012年11月30日 19:41
>いい意味での浪花節スピリッツ
やはり、イーストウッドの監督作品にも通じるものがあるんですね。

それなりに楽しいけれど、これだ!と思える映画に
ここ1ヶ月くらい巡り会っていない状況です。
来週の水曜日、できれば劇場に足を運んでみたいと思いました。
その際はまた訪問させていただきますね!
Posted by ゆるり at 2012年12月14日 21:37

ゆるりさん、こんばんは。

水曜にご鑑賞が叶ったら、どうぞ是非またいらしてください!楽しみにしています。

そうですか。。。興味深い作品を次々にご覧になっていらっしゃるゆるりさんでも、「これだ!」っていう作品にはなかなか出会えないものなのですね。
でも逆に、「これだ!」そして「これも!」っていう時期がまたやって来るかもしれませんよ。(*^_^*)

あ〜、そういえば私の今年の「これだ!」の映画はどれだったろう…と、ふとこんなこと考えるのも師走らしさですよね。(^_^)

Posted by ぺろんぱ at 2012年12月15日 21:03
>私の今年の「これだ!」の映画はどれだったろう…と
本当に。早いものでもうそんな時期になりましたね。
今年一年読んだ本や映画を振り返る楽しみは、もう少し先にとっておこうかな。

ところで本作ですが、私の好きなエイミー・アダムスが
出てたなんて知らなくて嬉しい驚きでした。
ぺろんぱさんのレビューはあまり詳しく見ないように
斜め読みしていたのが幸いしたというか。

リゴくんの存在と出逢いは、都合が良いと言ってしまえばそれまでなんですが、
夢を見せてくれる楽しさ!がある映画らしい良い映画やなぁと思いました。
泣くのを堪えて笑うようなエイミーのあの表情を見るだけでも
私ももうちょっと頑張ろうと思えるし♪

ダニエル・クレイグの映画には、そろそろ足を運べそうですか?
Posted by ゆるり at 2012年12月20日 20:33
ゆるりさん、こんばんは。
そうですね、私も今年の述懐はもうちょっと先にとっておきます。(^-^)

エイミー・アダムス、お好きなんですね。
私も『サンシャイン・・・・』に続き本作でファンになりました。

>泣くのを堪えて笑うようなエイミーのあの表情

なるほどなぁ、、、そういう、不運さを懸命に堪えるところが(そしてそういうところを巧く演じてくれるところが)彼女の魅力なんですかねー。
はい、お互いにもうちょっと頑張りましょうね!(*^_^*)

>ダニエル・クレイグの映画には、そろそろ足を運べそうですか?

やっと観てきました!
そして今からレヴューアップの予定です。よければそちらにもいらしてくださいね。
ご鑑賞予定なら(ネタバレもあるので)斜め読み&飛ばし読みでお願いしますね。

Posted by ぺろんぱ at 2012年12月21日 19:30
ばんはです。

ようやく鑑賞、記事アップ、そしてコメントにお邪魔出来て嬉しいです(=^_^=)

『グラン・トリノ』以上に、優しいテイストの物語だったので、爽やかな気分で劇場を後に出来ました。

リゴ君の件は、フリが長過ぎて、忘れかけてました(=^_^=)>

ぺろんぱさんもゴミ箱に携帯をポイしたりされるんでしょうか?
だとしたら、かっこええ〜(憧)
Posted by TiM3 at 2013年01月08日 01:41

TiM3さん、こんばんは。

お忙しいようですねぇ、でも何だかTiM3さんの文章からは充実感を感じます。(*^_^*)
時間を割いてお越しくださり本当にありがとうございます。

そうですね、グラトリ(TiM3さんの真似して略してみましたが、7文字→4文字ってあんまり意味ないですね(^_^;) )は人生の厳しさと共にやっぱり最後には「死」がありますものね。
ラストの風を受けてのドライヴは気持ちよさそうでしたけど。(;_;)

リゴ君、忘れんといたげてください。
それにしても、最初スカウトマンに囲まれてた男の子っていかにも“憎まれ役”的なお顔で、リゴ君の男気のある??誠実そうな顔立ちとの対比もホントに「分かり易い」演出でしたね。

>ゴミ箱に携帯をポイ

片手にゴミ袋、片手に携帯を持ってて、つい反対の方をポイしそうになったことがあったような・・・。
もしもホンマにそうしてしまってたとしたら・・・かっこわる〜(涙)ですよね。
 

Posted by ぺろんぱ at 2013年01月08日 20:09
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Excerpt: 公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/troublewiththecurve/(音が出ます!) 監督:ロバート・ロレンツ 製作:クリント・イーストウッド..
Weblog: ゆるり鑑賞 Yururi kansho
Tracked: 2012-12-20 20:34