2013年01月25日

『ドクトル・ジバゴ』 (久々の再鑑賞) に思う


  前レヴューの『灰とダイヤモンド』で昔日の名画を想起してか、もう随分前にNHK・BSで録画していた『ドクトル・ジバゴ』(デヴィッド・リーン監督)を久々に再鑑賞しました。

この映画にはちょっと懐かしい想い出もありまして。
初めてこの映画を観たのは大学生になりたての頃で、確か大阪か京都の映画館での「名画リバイバル上映」で、でした。二歳年上の男性(大学生、Iさん)に誘って頂いて行った、いわゆる私にとって“初めて異性と二人で観に行った映画”だったのです。
この映画は194分と長く、途中にインターミッションとして休憩タイムがあったのですが、その時にそのIさんが突然私の方を向いて「あなたは彼(主人公・ユーリー・ジバゴ)のような生き方をどう思いますか」って尋ねてきたのです。「えーっ! これって抜き打ちテスト!?」とか内心焦りながらも私は真剣に考えて「信念を貫く姿勢は、それが彼の意思によるものであるなら素晴らしいことだと思います」と答えたのを覚えています。(ステレオタイプ的でつまんない回答ですね、でもその時は真摯に考えて出した答えでした。)

インターミッションをはさんで、後半はユーリー・ジバゴとラーラの愛と別れを軸にした一大叙事詩が展開してゆくのですが、緊張しながらその後半の幕開けを待った私なのでした。

story
ロシアの文豪ボリス・パステルナークの同名小説を映画化した長編大作。時はロシア革命前後の動乱期。純真な心を持つ詩人でもある医者ジバゴ(オマー・シャリフ)を主人公に、ラーラ(ジュリ−・クリスティー)トーニャ(ジェラルディン・チャップリン)という2人の女性への愛を通して波瀾に満ちた生涯を描いてゆく。
  幼い頃両親を失い、科学者グロメーコにひきとられた彼は、その家の娘トーニャを愛していた。2人の婚約発表のパーティーの日、近所の仕立屋の娘ラーラは、弁護士コマロフスキーの誘惑から逃れるため、彼に発砲するという事件を起こした。彼女は帝政打倒の革命に情熱をもやす学生パーシャを
愛していた。1914年、ロシアは第1次大戦に突入し、ジバゴは医師として従軍した。戦場で看護婦として働らくラーラに再会した彼は・・・。

                       ジバゴ1.bmp
                 ※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。

    
 映画というのは実に、観た時の年齢や状況、心境によって「どこに一番心を掴まれるか」が変わるものなのですね・・・しみじみ。

初めて観た時は私が18歳かそこらで、男女の悲恋というより、ジバゴの「時代に翻弄されながらも自分の意思に従って生きたその生きざま」を真っ向からガチガチに受け止めていたと思います。
二度目に観た時は私もひと年を得てそれなりの経験もし、ジバゴとラーラの運命に涙したものでした。ジバゴがラーラを突き放し一度は彼女のもとを去ろうとしたことを少し責める思いや、ジバゴは信念を貫いたというより“愛に生きた”人だったのだなと改めて感じたことや、邪まな男と描かれているコマロフスキーも彼なりに真剣にラーラを愛したに違いなかったのだとか、歴史に翻弄された人々の運命を哀しく思ったものでした。
そして今回観て感じたことは、、、どうしようもなく、時(人生)は過ぎ去ってゆくものなのだなという非常に茫漠とした想いでした。
時代が悪かった、運も悪かった、確かにそうかもしれません。けれど何より、人の力ではどうすることもできないところで時は過ぎゆき、それを再び元に戻すことは決してできないのだ、そういうことを感じたのでした。

モーリス・ジャールの手による主題曲「ラーラのテーマ」は、明るい旋律からマイナーな曲調へと変化し、再びもとの心地よい旋律に回帰してゆく切なくも美しい曲です。ロシア民族楽器バラライカの奏でるこのメロディーをきっと皆さんも耳にされたことがあると思います。
もの哀しい想いに包まれながら、それでも、過ぎ去った日々の輝くような美しさが一瞬狂おしいまでに心を掻き立てる、、、この曲は本作には欠くことのできない大切な存在だと言えるでしょう。

そう、過酷だった日々の中にも輝く美しさがあった若き日のジバゴとラーラ、湧きいずるラーラへの想いを綴ったジバゴの詩。賢く健気だった妻トーニャ、聡明で心優しき義父、愛する息子サーシャ、彼らとの幸せだった日々。それらは確かにその時、ジバゴの人生を彩り、輝いていたのでした。

時(人生)は過ぎゆく。
しかし、過ぎし日の美しい輝きが心に去来する一瞬は、何にも代えがたい宝物なのだと思いました。

                       ジバゴ.bmp

ラーラの強さと女性としての魅力には改めて強く惹かれましたね。
私はこの女優さん、ジュリー・クリスティーが大好きです。
私が映画にハマる切っ掛けとなったのが彼女がウォーレン・ビーティーと共に主演した映画『天国から来たチャンピオン』でした。その映画との出会いも大学生の頃でした。勉強にもさほど勤しまず特に褒められた学生時代じゃなかったですが、それなりに輝いていたこともあったのだぁと、今ちょっぴりの感慨に浸るのでした。



                       チンザノドライ.bmp

日々のお酒も人生の彩り。いずれ心で蘇り輝くものだと・・・。ぴかぴか(新しい)
某酒場でのチンザノ・ドライ、オン・ザ・ロックで。



posted by ぺろんぱ at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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