大過なくほぼ順調な滑り出しを迎えたかに思えた今年でしたが、今月後半は風邪で寝込み(インフルエンザではありません)、ウチ猫があちらの世界に行きかけました(戻って来てくれましたが、私にとって驚天動地の出来事でした)。
今年は何やら波乱含みの気配?と不安も抱きつつ、いやいや「災い転じて福となす」の心意気で2月を迎えようと思っている次第です。
結果的にまだ新作映画を観に行けていなくて、2月こそは劇場に行って目指す新作映画を観るぞと意気込みつつ、今日もまた懐古談のようなレヴューで恐縮です。
『オルランド』(サリー・ポッター監督 1992年制作)は、日本公開となった1993年に大阪・日本橋の今は無き「国名小劇(くにめいしょうげき)」というミニシアターに観に行って、心魅かれたあまりそのまま続けて2回鑑賞した想い出深い作品です。当時は未だ「入れ替え制」ではなかったのでした。
この一作で主演女優ティルダ・スウィントンの大ファンになったのでしたが、観に行ったあとで「大絶賛!」と友人女性に伝えたところ早速観に行ってくれたらしいその友人から「・・・それほどでもなかったけど。」と柔らかい非難が込められたような感想を聞いたのでありました(^_^;)。いやはや、その節はごめんなさいいね〜J子さん、でも観に行ってくれて嬉しかった、ありがとう(*^_^*)。
story
男性から女性に不思議な変身を遂げたエリザベス朝の貴族オルランドの四百年にわたる時空を越えた旅の物語。原作は二〇世紀イギリス文学を代表する女流作家ヴァージニア・ウルフの長編小説。
青年たちが女性的な装いを好んだ一六世紀末エリザベス一世(クェンティン・クリスプ)の治下、晩餐の宴で青年貴族オルランド(ティルダ・スウィントン)は女王に詩を捧げた。女王はオルランドの若さを愛し「決して老いてはならぬ」という条件つきで屋敷を与えた。まもなく女王は崩御、次いで父親も亡くなり、オルランドはユーフロジニと婚約する。大寒波で氷の都となったロンドンで、新国王ジェームズ一世に挨拶するロシア大使一行の中に美少女サーシャ(シャルロット・ヴァランドレイ)を見たオルランドは、ひと目で虜となり愛を誓うが・・・。

※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。
幻想的で、シーケンスごとに時代が変わる(性別まで変わる!)小気味よい展開に胸躍り、16世紀末から近代のヨーロッパ様式美をあますことなく再現した映像美にも耽溺する世界。
性や地位、夢と挫折、ロマンスと苦悩、それらを超越してこの世の全ての猥雑さから開放されて自由を手に入れるオルランド。ティルダ・スウィントンの魅力もあいまってひたすら魅せられます。
オルランドが時折スクリーンのこちら側に語りかけてくる瞬間(この演出がとても素敵!)、ドキッとして心を捕らえられてしまうのです。
改めて観返してみて、やっぱり、オルランドが長い眠りから目覚めて男性から女性に変化していることをごく自然に受け止めるあの一連のシーンは感動的です。
長く美しいブロンドをまとって顔を洗い、丸みのある裸身を鏡に晒す。(自分という人間は)何も変わらない、、、ただ性別が変わっただけ、と語るオルランド。この変化でオルランドはそれまでずっと囚われていたものを全て捨てられたのだという気がしました。「両性具有」というよりも、「何ものにも従属しない」新しいオルランドが生まれたのだと思いました。
今の感覚で言わせて頂ければ、本作はティルダ・スウィントンの時にマニッシュ、時に淑女な魅力が200%活かされた作品と思いますが、当時は未だティルダ・スウィントンという女優さんを知らなかった私、「この素敵な俳優さんはいったい誰!」とただただ溜息をもってスクリーンを見つめていたのでした。
これだけの世界(400年にわたる!)を95分のフィルムで描いてくれたポッター監督のセンスに大拍手です。とてつもない大作風に仕上げることもできそうな本作をコンパクトな(でも充実の)佳品として見せてくれたことに「ありがとう」の思いです。
映像も音楽も全てイイです。何度観返しても素敵な作品です。

原作小説もきっと心躍る世界に違いないですよね。
恥ずかしながらヴァージニア・ウルフ作品はどれも未読の私でした。
会社帰りにジュンク堂書店に寄って見てみたら短編集なる一冊に出会いました。シンプルだけど美しい装丁ですね、通勤電車で軽く楽しめそうだなと購入しました。ワクワクです。

さてこちらはヒューガルデン・ホワイト。ベルギービールで、オレンジピールの香が華やかなビールです。
華やかな香のお酒で元気出していこう。
おお、ご覧になられたんですね本作。
ワタシはとある事情から、随分昔にヴァージニア・ウルフにハマリ(?)
当時は全くソフト化の目処が経ってなかった映像版を輸入盤LDで
注文、購入したものでした(=^_^=)
無事に観られたけど、当然日本語字幕がないので、そこは「分かったつもり」で観てましたっけ(=^_^=)
ティルダさんの裸体に当時の青年はドキをムネムネさせてたワケでもありまして(⌒〜⌒ι)
サントラCDを購入したりもし、ホンマにハマってましたです。
「スケート」「濃ゅい感じの恋人」「母子でサイドカー」「宙を舞う天使」なんかを覚えてます。
TiM3さん、こんばんは。
いえいえ、私も20年前の公開時に観に行って以来ハマりまして何度か観返してるお気に入りの一作ですよ〜。(*^_^*)
LDやサントラは購入しませんでしたが^_^;、でも映画のパンフは購入して今も取ってあります。
そうそう、当時は“あの映像”が随分と話題を呼んだのでしたっけね。勿論日本公開版はボカシが入っていましたけれどね。
>濃ゅい感じの恋人
ビリー・ゼインさんですね。
その後の『タイタニック』でのローズのフィアンセ役は印象深かったですよね。
>宙を舞う天使
主題曲を歌ったアーティストさんでしたっけ??
私は当時知らなかった人ですが。
とにかく映像も凄くよかった〜!ですね。
猫さまはその後お元気でしょうかー。
ああ、サリー・ポッターの映画大好きです。
『オルランド』は実はスクリーンでは観ていないんですけど、友達にソフトを借りた際に、何度も何度も観た記憶があります。
いまじゃ、めっきりハリウッドで活躍中のティルダですが、やはりこの作品の印象が強いです。それと、デレク・ジャーマン作品。
ウルフはそんなに読んでないけど、『灯台へ』が好きです。映画の『ダロウェイ夫人』も好きで。
かえるさん、こんばんは。
猫は、何とか持ちこたえてくれましたが持病の方は相変わらずで。でもご心配下さりありがとうございます。(*^_^*)
そうですか、かえるさんも何度もご覧になっておられるのですね〜。私もやっぱりティルダさんと言うとこの作品を真っ先に思い出します。
しかし大ファンになったというほどには実はあまり出演作も押さえていないんですが(汗)。デレク・ジャーマン作品、チェックしてみます。
購入したこの短編集は結構“難解”でした。
サクッと通勤電車で楽しめると思っていましたが、途中で最初に戻って読み返すことになる作品もありました。でもそうじゃなくて“感覚で”さらっと読み進めるのが本当はイイのかもしれません。
『灯台へ』ですね、書店で見てみますね。ありがとうございます。
映画の『ダロウェイ夫人』も未見です。
二コールがバージニア・ウルフを演じた映画『めぐりあう時間たち』には小説『ダロウェイ夫人』がキーとなっていましたよね。
映画の『ダロウェイ夫人』もいつか挑戦してみます。