ツタヤにDVDを返却しに行くでしょ? 折角来たからとちらっとディスプレイ棚とか見るだけでも見てみようかなと思ったりするでしょ? そしたらたまたま<お題>に挙げてる作品がパッと目に入ってしまったりするんです。
飲む時間を削って、いえ、それだけは削らずに頑張って鑑賞しました。<お題>作品の一本、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(ガス・ヴァン・サント監督)です。
story
深い心の傷を負った天才青年と、同じく失意の中にいた精神分析医がお互いにあらたな旅立ちを自覚して成長してゆく姿を描く。
ボストンに住む青年ウィル(マット・デイモン)は、貧しい生まれで幼い頃から養父に虐待を受け、心を閉ざした生活を送っていたが数学と記憶力に異様な才を放つ天才であった。だが、彼の才能に気付いた数学教授のランボー(ステラン・スカルスゲルド)は、ウィルに精神分析医のショーン(ロビン・ウィリアムス)を紹介する。ウィルはショーンにしだいに心を開いてゆくが、彼の才能に気付いた政府機関や大企業が接近してくる。(Yahoo!映画情報より)

これは主演のマット・デイモンと彼の友人役として共演しているベン・アフレックが共同で書き上げた物語なのですね、知らなかったので先ずそのことに驚きました。
そして、舞台は南ボストン、ハーバード大学も重要な舞台となっていますが、マット・デイモン自身もハーバード大中退というプロフィールを持つそうです、・・・秀才なんですね。
さて、映画は副題の「旅立ち」の言葉が清々しく心に響く良品です。
ラストのウィル、ショーン、そして親友であるチャック(ベン・アフレック)のそれぞれの穏やかな微笑みの表情を見るために、何度も観返す時間を惜しまない、そんな作品でした。
未来ある若き二人が書き上げた作品性によるものか、ラストに朝の陽光を浴びつつ西へ向けてただひた走る車を俯瞰する演出で爽やかさを残してくれたサント監督の手法によるものなのか・・・きっとその両方によるのでしょうね、心の中でそれぞれの旅立ちに静かに拍手を送りました。
ウィルを新たな旅立ちに向かわせたのは、ショーン一人の力ではないと思います。
ウィルの苦悩に自分の苦悩に重ね合わせ、「完全な人間などいない、怯えずに飛び込んで行けば変わることができる」と決して性急にならず穏やかに説いていくショーンの人間性に負うところが大きいのは勿論ですが、私が心を打たれたのは彼の親友チャックの言葉でした。
一生工事現場でレンガを積む仕事をしてたって構わないと自虐的にうそぶくウィルにと言い放つチャック。「誰もが欲しくてたまらない宝くじ(天才といわれる才能のことですね)をお前(ウィル)は持っている。それを使わないなんて俺は許せない。」
チャックは言います。「俺は50年先もここで働いていたっていい、でもお前は違う。」と。
これが親友なんだな、と今更ながら「友情」の二文字に胸が熱くなる思いでした。
ショーンの慈愛に満ちたカウンセリングだけでは、到底ラストのウィルはいなかったはず・・・ウィルはある意味すごく幸せな奴です。
それからもう一人の存在も忘れてはならないと思います。
彼の才能を見出し、ショーンという人間に巡り合わせたランボー教授(ステラン・スカルスゲルド)。
彼は数学界では著名な教授ながら、“天才”ではなかった・・・そして自分でそれをちゃんと知っていた・・・彼が嫉妬も激情も自分の内に飲み込んでウィルを光のあたる世界へ誘おうとしたその姿は、ほろ苦い涙さえ誘います。
恋人スカイラーの真っ直ぐな愛の言葉も、ウィルの心のドアを叩いたと言えますね。
・・・先ほど書きましたが、ウィルはそういう意味では幸福な、やはり“選ばれし”人間なのですね。
ウィルのような天才であったからこそ、周囲の人々がその存在に気付き、彼を見捨てなかったのだと思います。
手を差し伸べる人のいない凡庸な人間は、不幸にもがき、“(人に)捨てられる前に人を捨てる”悲しき防衛本能を持ったまま活路を見い出せずに負のスパイラルで埋もれてしまうしかないのでしょうね。
「捨てられる前に人を捨てる防衛本能」というのは、ウィルを称して言ったショーンの言葉なのですけれどね・・・。
ちょっとそう考えるとダークな気分にもなりますが・・・でもこれは結果的には活路を見いだせたウィルのお話としてその幸福を素直に分かち合いたいですね。
そして活路を見出したのは他ならぬショーンも、です。
彼の旅立ちはウィルのそれよりも幾分か哀愁を帯びた、“リセット”と呼んでもいいような、ゼロからの“原点に戻る”感じのものですが、それはそれで清らかな微風を感じるものでした。
マサチューセッツ工科大学の廊下に書き出された数学の超難題を誰もいない時にこっそりと、しかし完璧な解答をもって解いたウィルに小気味よさを感じ、ラストで用意された形とは違う形での旅立ちをキメた彼にも「cool!」の想いを抱きました。
でも最高だったのは、やっぱりチャック。
彼が最後にウィルの家のドアを叩いた後に見せた表情が、凄くいいです。あの表情がもう一度見たいです。

そしてそして、今夜の、これだけは削らなかった“自分にお疲れ様”の一杯。仕事とのスイッチ切り替えに、久々に訪れた新地<幸梅・めがねや>さんでの和酒。

マスターお勧めのお酒、<美和桜・大吟醸>と<宗弦 ひやおろし>
ブログアップ前の景気付けです、ということで・・・。
これ公開時に観に行きました。で、観終わって内容よりも先に思ったのがステラン・スカルスゲールドの存在!”存在の耐えられない軽さ”でジュリエット・ビノシュをだまくらかす役やったんで、−今回ええ役やってんねんやんーと。ぺろんぱさんのおかげで始めて名前を覚えるに至りました。おおきに!
ついにご覧になられましたか!
ワタシもしっかりDVD版を購入しながら・・まだ開封すら出来てまへん(×_×)
私的にはショーンの言ってた
「君は100の言葉を駆使して、愛を語り尽くすことが出来るだろうが・・1つの真の愛の姿すら実際に知りはすまい」みたいなセリフ(ちょっと表現は違うかも・・)にぐっと来ましたね。
あと面接のシーンでの「てつけき〜ん」と言う字幕にも笑えました。しっかりカタカナでしたからね☆
日常の殻が破られる瞬間、
大いなる旅立ちの始まる朝、
残された人々の寂しくも温かい表情、
そういった演出面で本作を超える作品は・・なかなか現れないんじゃないでしょうかね。
追記:邦画『ピンポン』でも“凡人”が“天才”に食って掛かる印象的なシーンがありました。未見でしたらどーぞ(・ω・)
今夜、衛星第2で、深夜に『死刑エレ』が放送されるんですよね〜
楽しみですわ〜
ではでは。
>”存在の耐えられない軽さ”でジュリエット・ビノシュをだまくらかす役
そうなのですか、その作品は観ていないのですが「ビノシュをだまくらかす」ってことで何だか凄く観たくなりました。
<お題>に加えたいです。
観にいったものでは『ドッグヴィル』に出ていたようですが、この人の名前は、私もこのブログにコメントくださっているTiM3さんのブルグでちゃんと認識するに至ったのです。
アブな顔立ちの、妖しい魅力の俳優さんですね。
「返しにいって又つい借りてしまう」・・・
ツタヤの術中にハマリゆく私。ビイルネンさんも同じなのですね・・・。(^_^)
はい、ついに観ました!
気になりだすと(何気なくT-タヤ店内を歩いているつもりでも)目がタイトルを探してしまうのでしょうか。見つけてしまいまして・・・。
>日常の殻が破られる瞬間、
>大いなる旅立ちの始まる朝、
>残された人々の寂しくも温かい表情、
そうそう、そうですね・・・、本当にいつも的確に表現されていて恐れ入ります。
私は今作では特に「残された人々」に深く感情移入してしまったわけですが。
>邦画『ピンポン』でも“凡人”が“天才”>に食って掛かる
TiM3さん、罪ですわぁ〜、また<お題>が増えてしまいましたぁ〜。(^_^)
『死刑台の・・・』、、、もしもご覧になられるならばご感想の程が楽しみです。
ばっちり録画予定です☆ 少しお待ちあれ・・
>また<お題>が増えてしまいましたぁ〜。(^_^)
必須ではありませんが、サント監督には『小説家を見つけたら』って言う佳作もありますよ。
こっちでは「文学」が軸となってます。
終盤の展開が『セント・オヴ・ウーマン』に何処となく似てますが、これはこれで嬉しい演出なんですよね。
またお時間が赦せば・・(必須ではありませんので)
『小説家を見つけたら』は公開時に劇場へ観に行きました。今にして思えばサント監督と最初に出会った作品だったといえます。
サント監督の作品を続けて観ている今、改めて観返してみたい作品ではあります。
『セント・オブ・ウーマン』も観に行きましたよ(*^_^*)。←私は一人で観に行ったのですが、隣に座っていたカップルの女の子が上映途中“トンデモナイ一言”を放ち、その衝撃??と共に強烈に印象に残っている作品です。(^−^)その一言とは・・・秘密ですがご想像にお任せします。
>お時間が赦せば・・(必須ではありませんので
お気遣いありがとうございます。
いろいろと勉強になる<お題>です!