2013年03月05日

よりよき人生


  シネリーブル梅田で『よりよき人生』(セドリック・カーン監督)観ました。

タイトルとギョーム・カネが主演ということで、「いろいろあってもハートウォーミング・ストーリーなのよね?」的な世界を想像(私的に、ギョーム・カネには捉えどころのない?ふわふわした優しい感じのイメージが付いているので)していたら、ものの見事に裏切られることになりました。

しかしながら、ラストのカナダの大雪原が不思議な癒しと明日への力を与えてくれる、これはなかなかに手応えの大きかった一作でしたよ。

story
   自分のレストランを持つことを夢見るヤン(ギョーム・カネ)は、9歳の息子がいるシングルマザーのナディア(レイラ・ベクティ)と出会い恋に落ちる。ある日、湖畔で理想的な物件を見つけた彼はすぐに買い取り開店を目指すが、資金繰りに行き詰まり多額の借金を抱え込む。そんな状況から抜け出すため好条件の職場を探すナディアは、息子スリマン(スリマン・ケタビ)をヤンに託して一人カナダへ旅立つが・・・。

                      よりよき人生1.bmp

                    ※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。


  とにかくつらい。 負のスパイラルが怖い。
ヤンは粗暴なところもあって「いい人」っていうわけでは決してないし、人生設計かなり甘く見ていたところもあって自業自得と言えなくもないです。
しかしとにかく夢を実現させたいという想いが痛いほど感じられて、中盤以降はもういい加減に救ってあげてもいいんじゃないかと思えて仕方がなかったです。

ヤンと出会ってしまったナディアには、彼女が抱える移民問題も絡んで来て更に複雑な悲劇をもたらしてしまいます。惚れたはれたのナディアは仕方ないとしても、彼女の息子スリマンには自らの選択肢はなかったわけで、物事が悪い方向へ進み始めてからは彼が一番不憫に感じられました。

でもこのスリマンこそが、ヤンをろくでもない状況から救い上げてくれる存在になっていったのだと言えます。
思いっきりの不協和音を奏でながらも二人の間には、決して「絆」という一言だけでは言い尽くせない不思議な感情が芽生えていった気がするのです。

後半の二人の笑顔には、親子というより同士的なものさえ感じられました。
落ちるところまで落ちているような状況の中で彼らはとにかく生きていかなきゃならない・・・日々の安定を求め、しかしその先に真に二人が求めていたものは、今は欠けてしまったもの=愛する人の存在、だったのではないでしょうか。

どん底にいながら誰かのイビキを笑いあえるヤンとスリマンっていったい何なのでしょう。
問題は山積で(多額の負債や命の危険は何も解決されていないまま)明日が見えないというのに、眼前に広がる大雪原で思いっきり遊びあえる二人っていったい何なのでしょう。
人間の、「それでも生きて行こう」とする力って本当に凄いんだなぁーって、そんなふうに思えたのでした。
「よりよき人生」を、人は本能的に求めてゆくものなのですね。
ヤンとスリマン、ナディアにも、いつか本当のよりよき人生がやってくることを祈りたいです。


やっぱり、ギョーム・カネってイイですね。ぴかぴか(新しい)

 

                米ささ 大吟醸.bmp   無 純米吟醸.bmp

  Yさん、長期にわたるプロジェクト、お疲れ様でした。
美酒での乾杯は心に染みました。ありがとう。次なるミッションにも、よりよき人生を求めて力強く挑んで下さいね。








posted by ぺろんぱ at 20:05| Comment(4) | TrackBack(1) | 日記
この記事へのコメント
>負のスパイラルが怖い
ほんとに。
始まってすぐに気が重くなって(ヤンの行動というか考え方に)、
救いようないなぁと思いましたが、最期まで見ると、
結局そのヤンに感動させられてる自分がいて、不思議なものですね。

実の親を知らない孤独な生い立ちのヤンは、
スリマンをほおっておけない気持ちが強かったのかなぁ。

ギョーム・カネ、良いですよね。
演じる役によってかなり違って見える役者さんて、好きです。
Posted by ゆるり at 2013年03月05日 22:30

ゆるりさん、こんばんは。

そうですよね〜、最初の頃は随分ヤンは全ての物事に場当たり的でしたものね〜。会ってすぐのナディアに対しての行為も然り、でしたし。
でもそんな直情的な部分が「スリマンをなんとかしてやらねば」という必死の態度に繋がったんだと思うと、私も心を動かされてしまったと言わざるを得ません。

>実の親を知らない孤独な生い立ちのヤンは、スリマンをほおっておけない

そっか〜、そういうのがきっと「とにかく自分の店を持ちたい」っていう執念になったのかもしれませんね。あと、ナディアが去ろうとした時の自失ぶりも凄かったですし。
そう考えると、益々ギョーム・カネ演じるヤンという不完全な男性が、なんだかより一層いじらしく感じられてきました。

>演じる役によってかなり違って見える役者さんて、好きです。

なるほど、そうですね。
変わりどころではサスペンス映画『フェアウェル、さらば哀しみのスパイ』とか観てみたいです。


Posted by ぺろんぱ ぱ at 2013年03月06日 19:17
再び、こんばんは。

「フェアウェル〜」出てましたね、ギョーム・カネ。
あの映画では、エミール・クストリッツァの存在感にちょっと隠れた印象の彼でしたが、
カメレオン俳優(?)らしく、また違った表情を見せてくれてました。
繊細な演技が出来る俳優さんて素敵だと思います。

それにしてもギョームって、ダイアン・クルーガーとか、
マリオン・コティヤールとか
タイプは違えど素敵な人をパートナーに選んでるなぁと
ワイドショー的感想を持たずにはいられません。
作品を選ぶ目と同じで、女性を見る目も確かなのかも。
Posted by ゆるり at 2013年03月10日 21:48
 ゆるりさん、こんばんは。

フェアウェル、ゆるりさんはご覧になっていたのですよね。なるほど、ギョーム・カネの魅力が違う麺で際立った一作だったのですね。鑑賞を 楽しみにします。(*^_^*)

>ダイアン・クルーガーとか、マリオン・コティヤールとか

シブイですね。
パートナーのイメージも結構本人のイメージを左右したりしますよね。
マリオンさんとのお子さんはご誕生されたのでしょうか・・・どっちに似るかで随分違うベイビーのような気も。(*^_^*)

Posted by ぺろんぱ at 2013年03月11日 22:20
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「よりよき人生」 〜愚かさは罪だ〜
Excerpt: 公式サイト:http://yoriyoki.net/ 監督:セドリック・カーン 脚本:カトリーヌ・パイエ、セドリック・カーン 撮影監督:パスカル・マルティ 編集:シモン・ジャケ ..
Weblog: ゆるり鑑賞 Yururi kansho
Tracked: 2013-03-05 22:32