シネ・リーブル神戸で『ハッシュパピー バスタブ島の少女』(ベン・ザイトリン監督)を観ました。
こんなにワイルドで、こんなに強く揺さぶられる作品とは思っていませんでした。
少女の目で捉えた世界はいくつもの神秘的なルールに満ちていて、「生きる」ことの原点をこの小さな少女から教えられたようでした。
story
6歳の少女ハッシュパピー(クヮヴェンジャネ・ウォレス)は、“バスタブ”と呼ばれるコミュニティーで、父親のウィンク(ドワイト・ヘンリー)と暮らしている。閉鎖的な場所であったものの穏やかな日々を送っていたが、ある晩、嵐が全てを奪い去る。突然大好きな場所や仲間を失ったハッシュパピー。途方に暮れる状況の中、ウィンクが重病であることを彼女は察知し…。

※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。
大地に踏ん張り、風の声を聴くハッシュパピー。 「ここで地球と仲良く暮らすの」と言った彼女の言葉。
仲良く暮らし続けるには自然の驚異は大き過ぎ、バスタブ島を見下ろす他の世界はあまりに文明優先で現実的且つ実利的過ぎ、ハッシュパピーやウィンクたちはを打ちのめされ孤立してしまう・・・「感じて生きろ!それがオレたちだ!」と言うウィンクたちには、バスタブ島だけが生きる場所なのです。
他の世界はバスタブ島には無いもので満ちている。けれど彼らにとって一番大切なものが、他の世界には無い。
しかし本当は、世界はこうではなかったか。
バスタブ島に生きる彼らのように、認識や理論を超えて地球の鼓動を“感じる”ことで生きてきたのではなかったか。
「あまりに文明優先で現実的 且つ実利的過ぎ」なこの世界ももしも地球規模の大災害が起これば一瞬にして壊れてしまうかもしれないのだとすれば、多くの生きる術を失くしてきた私たちはなんて無力なのだろうか。

感じることでハッシュパピーは大地の声を聴くことができ、おそらくは彼女にしか見えていないであろうビースト(beast 獣)の群れを見、恐れます。ビーストは 絶滅した野獣オーロックスか? 彼女は言います、「弱いところを見つけてビーストはやってくる」と。
だから、渾身の力で重病の父を救い出し島で彼を看取った彼女はもうビーストを恐れることはなかった。
強さをまとえば、ビーストはそれを勇者とみなしてくれる。ハッシュパピーは「家族を守る」という真の強さをまとったのです。小さな彼女が雄々しく見え、 ビーストとじっと向き合う姿は感動的でした。
ワイルドで力強さが漲る作品でありながら非常に幻想的で不思議な魅力に満ちています。
巨大なビーストの姿には、神との融合を感じさせるような神々しささえ感じました。母親との再会を匂わせるようなシーンには夢現のような優しさを感じさせますが、そこから間違いなくハッシュパピーは更なる強さ(独りでも生きてゆくという強さ)を身にまとったとも言えます。
「強く生きろ」という叫びが、この作品の“すべて”から聞こえてきた気がしました。

さて、久しぶりにお伺いしたJazz Bar Wishy-Washy さんで。 デジカメでないと上手く撮れないと思っていましたが、この日はデジカメを持参していなかったので仕方なく携帯のスマホでパチリ。 オートのフラッシュを外して撮ってみたのですが、ちょっと暗いですが意外とイイ感じで撮れました、よかった。
美しい姿のカクテルです。このお店のオリジナルカクテル(拙ブログには何度か登場)で、その名も Wishy-Washy です。 ロングカクテルですが、結構アルコール度数は高く酔えます。
美しい姿のカクテルを呑んで、酔っ払って美しくない姿で帰途につく私、、、千鳥足は危険です。
うわ〜!そういうことだったのですね!
鑑賞前にぺろんぱさんの記事を先に見ておくべきでした。
書かれていること一語一句納得ですよ!
文明に取り残された彼らこそ、実はいちばん強い存在であったという、私達が忘れかけていた核の部分すごく分かります。
この父子を演じたお二人、それまでまったくの素人ってびっくりな演技力でしたね。
itukaさん、こちらこそ “うわ〜!”の今です!
コメントくださっていたのですね、ありがとうございます!
拙ブログ、時々不具合が生じるのかitukaさんのコメントが<最近のコメント>欄に反映されていなくて気付くのが遅くなってしまいました、すみません!
それで、「一語一句納得」などと書いて下さって更に恐縮です。私の一人勝手な解釈なので。しかしサバイバルには絶対に弱い私だからこそ?感じたことだったりして…(^_^;)。
でも「感じる」生き方っていうの、今の日本に生きる我々には難しそうですよね。
>それまでまったくの素人ってびっくりな
そうなのですってね!私も鑑賞後にネットで知りました。
そういうのも、ある意味“生きる力”のなせる業なのでしょうか。とにかく凄かったですよね。