更新が大幅に遅れてしまいました。
劇場での映画鑑賞も叶っていませんので、今日は先日BS録画していた『この愛のために撃て』(フレッド・カヴァイエ監督)のお話を。
2011年夏の日本公開時には、もともとヴァイオレンスタッチのものが苦手なのと物々しい感じの邦題に引けて劇場鑑賞を見送ってしまったものでしたが、本作、なかなかの見応えでした。
母の病の現実に向き合って少なからず疲弊した脳に、この映画はいいカンフル剤となりました。
story
パリ市内の病院に勤務する看護助手のサミュエル(ジル・ルルーシュ)は、出産を間近に控えた妻ナディア(エレナ・アナヤ)と幸せな日々を送っていた。ところがある日、帰宅した彼は暴漢に襲われ妻を誘拐されてしまう。やがて誘拐犯から「3時間以内に一人の入院患者を病院から連れ出せ」との有無を言わさぬ指示が入る。その患者とは、昨夜、交通事故で重体のまま運び込まれた重要事件の容疑者サルテ(ロシュデイ・ゼム)だった。腹をくくり、サルテをどうにか連れ出したものの、これによって警察からも追われる身となってしまうサミュエルだったが…。

※story、画像とも、映画情報サイトより転載させて頂きました。
ノンストップな展開に、ただもうサミュエルとナディアの運命や如何に、と。
作品の良し悪しを測る以前に、ナディアは無事に出産できるのだろうかって、それがとにかく気になって。
そこはまあ迎えるべき結末を迎えるのですが、それにしても夫サミュエルの、常人でありながら常軌を逸したかのような“最大級のアドレナリン放出振り”ったら半端じゃないです! (先ず最初の決断が、凄い。)
原題の「A Bout Portant」は、調べてみると「至近距離で銃口を」というような意味らしく、それも臨場感たっぷりの本作にふさわしいタイトルなのですが、大仰と感じたこの邦題「この愛のために撃て」も、まさしく“その通り!”のタイトルだったのですよね。
「愛のために」銃口を突き付けるサミュエルの姿は、勇ましくも痛々しくて。
観終わって本作を静かに振り返ってみると、悪役には悪役の美学が必要で、本作はそこが際立っていてよかったと思いました。
犯罪組織のメンバーですが結果的にはサミュエルを救うことになるサルテ(ロシュデイ・ゼム)が私的には本作で一番の存在感でした。その孤高な眼差しにシビレます。
端正な顔立ちに憂いを秘めた優しい眼差しが最後まで“最も悪いヤツなのに”そうは見えなかったヴェルネール(ジェラール・ランヴァン)も、最後の最後、ホテルの一室でのシーンで彼なりの美学(もたらされる死を宿命と受け入れる)が光り、ああ、この役者さんの憂い顔は決してミスキャストじゃなかったのだと理解しました。

物語の展開は、途中からは“その背景にあるもの”が何となく見えてくるので「どんでん返し」というものはありません。
むしろ本作は、事件に関わる一人一人の其々のキャラが浮き彫りにされていてそれが面白いです。
“こっち派”の女刑事ファーブル(ミレーユ・ペリエ)と彼女の筋金入りの部下・スジール(クレール・ペロ)とか、“こっち派”的精神を秘めていたように思えた“あっち派”のスキンヘッド刑事、とかね。
主人公サミュエル役のジル・ルルーシュは序盤はオーラの出具合が地味に感じられたものの、その無骨で真面目さ以外に取り柄のないような男性が愛する女性のために(ためだけに)ここまでのことをやってのけるという過程こそが本作の「骨」なのであることを鑑みるに、ジル・ルルーシュもまた、決してミスキャストなどではなかったのだと深く納得しました。
85分という潔いフィルムの時間も魅力的。きっちりと楽しませてくれました。
ロシュデイ・ゼム、他の出演作も観てみたいです。
『あるいは裏切りという名の犬』(2004年フランス映画)にもご出演だったらしい・・・これは本作と同じ理由で劇場鑑賞を見送った一作でしたが、今となっては観てみたいですね、是非。

外呑みにもなかなかゆっくりと行けていませんが、それでもアルコールは日々欠かせぬ癒しの水です。
少し前の画ですが、芋焼酎<天使の誘惑>。これはやっぱりオン・ザ・ロックで。
この映画、小粒ですがなかなか面白いですよね。
放送時に「BSで放送しますよー!」と思わず、お勧めツイートしたくらいです。
以前、稚ブログにも記したのですが、主演のジル・ルルーシュは、
確かぺろんぱさんもご覧になっていた、ギョーム・カネ主演の「ナルコ」(2004年)の
脚本を書き、共同監督した人でもあるんですね。
とはいえ、私も一昨年カネの監督作品「唇を閉ざせ (2006)」にルルーシュさんが
出ていたので、それをきっかけに知ったんですけど。
サルテ、やっぱりカッコ良いですよね。
「あるいは裏切りという名の犬」見たけど、彼は全く記憶にないです(汗)
あの映画は結構重かった記憶があるのでまた見たい作品でもないんですが、
ロシュデイ・ゼムさん気になりますわー。
他の出演作品も、ノワールものとかアクション系とか結構男臭い感じが多いようですね。
やはりあの雰囲気ですから「なるほど」という感じです。
そうだったのですね、『ナルコ』の監督を(トリスタン・オリエ監督と共同で)された御方だったのでしたね。
さっき自分のレヴューを見返してみたら私もそのように記してました・・・ああ、自分の記憶力のなさを嘆きます。(^_^;)
「無骨」とか書いちゃったけど実生活では才のある御方なのですね〜。・・・ってか、『世界でいちばん不運で幸せな私』にもご出演されていたのですね〜、あれ、観に行ったんですけど・・・(-_-)ジルさん、全く記憶にございません。(^_^;)
ゆるりさんもサルテをカッコイイと思われましたか!(*^_^*)
でも、そうですか、『あるいは裏切り…』はやっぱり重たい作品なのですね、、、しかし機会を作って観てみますね。
ところで、ゆるりさん、ツイッターされていらっしゃるのですね(*^_^*)。私の周囲にも何人か「ツイリ」を楽しんでいる友人知人がいます。私はデヴュー未、です。見てると楽しそうなんですけどね〜。(^O^)
これ、期待以上に面白かったです☆
そうそう、
>悪役には悪役の美学
それがあってこそ、こういう犯罪サスペンスも
ただ単に展開を追うだけでなく、男2人にキモチを持っていかれて
犯罪者であるにも拘らず、カッコイイ〜と心に刻まれるのですよね〜。
全く好みとは程遠い(失礼^^)彼らに惹かれてしまう作品でした♪
ところで、"天使の誘惑"・・・ナンというイケナイぺろんぱさん(笑)
ああ、、、もう味すら忘れてしまいました(T-T。
TBもありがとうございます。コメントのお返しが遅くなってしまってすみません!
はい、私も好みとは程遠いのに(^_^;)惹かれてしまいました〜!(*^_^*)
やっぱり、例えどんな名作と呼ばれる作品でも登場人物に魅力を感じたり感情移入ができないとつまらないですよね。
天使の誘惑、考えてみたら「ええっ!?」な命名ですけど、あの香は確かに“誘惑”です(^_^)。是非思い出して頂くために、どこかでお品書きにあればオーダーしてみてくださいね〜。(*^_^*)
更新されていらして嬉しいです。
冒頭に書いていらっしゃるご母堂様のこと、
以前から文面などからもしやと思ってはおりましたがやはりでしたか。
察しが悪くて申し訳ありません。
ぺろんぱさんも介抱のお疲れが出ませんように、ご自愛くださいね。
今作はフレンチ・フィルム・ノワールの一作なのでしょうか?
『あるいは裏切り…』は実話に基づいた作品だったらしいですが、男たちばかりでなく女たちも格好良かったですよ。
機会があれば楽しんでみてくださいね。
またお邪魔させてください♪
温かいお言葉をありがとうございます。
普段は離れて暮らしているので何処まで手助けできているかは分かりませんが、あぶくさんの優しいお心遣いと日々のお酒(飲み過ぎ!!(>_<))に癒されて、これからも自分なりに頑張っていこうと思えます。
本当にありがとうございます。
本作は、仰る通り「フレンチ・フィルム・ノワールの一作」です。しかしイイ意味で王道的作品でないと言えます。
>『あるいは裏切り…』
あぶくさん、ご覧になっていたのでしたね。
いつか(できれば近いうちに)観てみたいと思います。その時は訪問させて頂きます!(*^_^*)
ありがとうございます。♪
旧作の棚をウロウロしていたら出会いました(´艸`)
これは!=ぺろんぱさんの…と、借りて来て観ましたよ。
観ておいて良かった♪
フレンチでサスペンスなのにタバコ臭くなさそうな処も嬉しかったポイントです(´艸`)
また、ベテラン女刑事役のミレーユ・ペリエさんが渋くてカッコ良かったので見取れていたら、わわっと驚きました(笑)
>事件に関わる一人一人の其々のキャラが浮き彫りに
納得でした。その点にも見応えありましたよね。
大仰な作り方でない処も良かったでした。
あぶくさん、こんばんは。
拙い私のレヴューを思い出して手にとって下さり嬉しいです。
ホントですね!なるほど仰る通り、タバコ臭くない(イメージでも)ですね〜。そして、重ねて仰る通り、ミレーユ・ペリエさんのあの突然の“去り方”といったら…わわわっ!でしたね。
>『あるいは裏切り…』
私は未だ「(私的)課題作」の棚の中です。(T ^ T)
いつかきっと、と思っています!