少し前まで通勤電車の携行本は、かなり久々の再読本、『理由』(宮部みゆき著)でした。
(因みに今は江國香織さんの連作短編集です。もうこちらも読了間近です。)
『理由』は単行本(朝日新聞社)が出た時に購入し一気読み。その後、持ち歩いての再読用に文庫本(朝日文庫)も購入したものの、実はなかなか手に取ることのないままだった一冊でした。
抒情的表現が排除された、(ある事件を)客観的に叙述した報道的文体が延々と続くので、再び手を出すのには「読むぞ」という気概めいたものを要したからだと思います。また読むのはちょっとしんどいかな…っていう気持ちになってしまって。それに、、、重い。文庫本でもこれは重かった。些事ですが私は会社には毎日お弁当を持っていってるので、細々とした荷物に加えてこのぶ厚い文庫本は少々キツかったです。しかしあることが切っ掛けで再び手に取りまして、読み始めるとやっぱりぐいぐい引き込まれてつい先日に晴れて再読了。

単行本で読んだ時も同様のことを感じましたが、やっぱりこの小説には作家・宮部みゆきさんの圧倒的な取材力を感じましたね。勿論、本作はフィクションですから「取材力」というのは「取材を構築する力」ということです。
至極冷静な眼差しと、ご執筆時のご年齢-30代後半-にしてまるで老成人を思わせるような筆致に唸る思いでした。
どのような事件にも「理由」があると思うのです。
人々がふとしたことでその大きな波に飲み込まれてゆく、背景と理由が。
事件を通じて実に多くの人々が細い(時には太い)線でつながっているのですね。そして複雑な、或いは誰でもが抱えているであろうごく普通の「事情」が幾重にも絡み合っているのであろうこと、そして誰もが気がついたらどうしようもない深みにはまってしまっているのであろうこと、更には「家族」というものの成り立ちの、ある意味“不確かさ”みたいなものも、この小説にはこれでもかというくらいに描かれていたように思います。読んでいて、普通に暮らしているつもりでも「ある日どこかにポッカリあいた穴に足をとられてしまう」かもしれない怖さを少なからず感じました。
映画化された時に観に行こうかとチラシは持っていたのですが、結局劇場には向わずじまいでした。
映画情報サイトで見てみて「ああ、なるほどなぁ」って思えた俳優さんは「八代祐司役の加瀬亮さん」と「宝井綾子役の伊藤歩さん」、それからちょっと別の意味でなるほどと思えたのが「イーストタワーの住人・B子役の裕木奈江さん」。配役の妙とやらを(何となく)感じます、やはりいつかDVDででも観てみたいですね。



こちらは、とある日の姫路のタツリキ(本田酒造)アンテナショップでの(有料)試飲です。
先ずは<龍力・特別純米の神力、無濾過生原酒>と<純米吟醸・美酔香泉、生原酒>をおつまみと共に。 そして大好きな酒米・雄町で作られた<龍力・特別純米の雄町、無濾過生原酒>も追加。
滞在時間は約30分。 こういう「独りサク呑み」もなかなかよいものです。
本日、悲しい報せが届きました。東の方を向いて偲ぶ盃を掲げます。
みなさんにとっての明日が、どうぞ佳い一日でありますように。
アンテナショップ、姫路駅新地下街ですよね。
「独りサク呑み」カッコいい!
だめたけさん、こんばんは、ようこそです。
龍力、だめたけさんもお好きなのですね〜、美酒ですよね。(*^_^*)
仰る通り、地下グランフェスタのお店です。
程よい狭さ??(^^)が独りサク呑みには快適です。
私の独り呑みは決してカッコイイわけではなくて、単に呑んべえなだけです、、、しゅん太郎(ああ悲しや)。
本作は、文庫版を購入したんですが、読み始めるや
(正直)面白いとは思えず、そのままどっかに行っちゃいました(=^_^=)
その後、民放で放送された映画版を観て、大体の流れが掴めた感じでした。今なら、気合を入れて読めるんかなぁ・・
物語の舞台となる施設の名「ヴァンダール千住北」だけは良く覚えてます(=^_^=)
ちょっとホラーっぽいテイスト(表現)があってゾクゾクしましたっけ。
「室内に誰かいたようでした」みたいな・・
そうですか・・・ご購入されたのに行方不明状態なのですね。
確かに、それまでの宮部作品とはテイストの違う感じで、心掻き立てられるというような面白さは無いかもしれませんね。私の場合は、冒頭の片倉ハウスの高校生の女の子の涙と「あのひと、ちっとも悪くないんだよ」という台詞で、起こった事件の全容を知りたいと思う気持ちが働いたのだと思います。
>今なら、気合を入れて読めるんかなぁ・・
そうですね、もしも無事に本が出てきたら(^^)是非トライなさってみてくださいね。
>「室内に誰かいたようでした」みたいな・・
はい。
あのやや不確かな目撃証言が、結果的には事件の核に迫る一つのポイントになり得た…とでも言えましょうか・・・。
「ヴァンダール」って名のマンション、探したら何処かにありそうですね。