
今日は神戸国際でフェルナンド・メイレレス監督の『ナイロビの蜂』を観てきました。
「壮大なラブストーリー」とのことでしたが、この作品はラブストーリーと言うほど甘々しくなく、社会派サスペンスと言い切るには余りに切なくて哀しい物語でした。
実はこの1、2日ほど非日常的な生活となっていたので、疲れもあって、正直言って2時間10分の時間に一度や二度の睡魔が襲ってくることは覚悟していました。でも、ずっと最後までスクリーンに引き付けてくれました、完璧に。
映像の繋ぎ方、構成、などなど・・・魅せられました。
アフリカを“食い物”にする利権と金権。
それに立ち向かう外交官の妻・テッサ(レイチェル・ワイズ)。そして妻は殺害され(冒頭はそのシーンから)、残された夫ジャスティン(レイフ・ファインズ)はその悪の闇を暴いていこうとするのですが・・・。
利権金権に群がる人々は“アフリカの命はチープだ”と言い切る・・・そういう命を犠牲にして成り立つ世の中がこちら側にある、と。
ここで一つ、厳しい現実を見せ付けられます。
我々は何も知らない、知らないままに文明の世を生きているのですね。
そして更に突然、部族間の殺戮シーンが描かれますが、ここでもう一つ、過酷な現実を見せられるのです。
文明国の魔の手が伸びることがなくとも、この国の人々は貧困と飢えと病と部族抗争で命を落とし生きる場所を奪われていくのです。
どうしようもない現実に押しつぶされるジャスティン。
「今ここであの(たった一人の)子を救えないのか!」と詰め寄るジャスティンに、奇しくも「今ここでどうしてあの親子を救えないの!」とジャスティンを問い詰めた生前のテッサがダブりました。
テッサは多分やり方が性急過ぎたのでしょう。
何より真っ直ぐ過ぎた。同じ立場にたっても何もできないかもしれない私が言うことではないかもしれませんが。
でも、一つだけ・・・・彼女は夫であるジャスティンに余りに口を閉ざしすぎた・・・愛していたのなら自分がやろうとしていることをジャスティンに打ち明けるべきだったと思います。
人間は神様じゃない・・・言葉にして告げられないと決して分からない事はあるのです。それをしないなら結婚なんてすべきじゃない・・・だって結果的にテッサのした事はジャスティンの人生を大きく巻き込んでしまったのだから。その点に於いて、テッサは多くの民を救おうと奔走したけれど、自分の傍にいるたった一人の夫を苦しめた・・・それがとても残念でなりません。
真実をしらず妻を疑うことまでしたジャスティンは、妻の死後に初めて本来の妻と対峙することになったのですが、その姿が余りに哀しい。だってその時にはもう妻はこの世にはいないのだから・・・。
ラストの一言、哀しすぎて席を立てません、あの一言に全てを集約させた監督、凄いです。
クールダウンという言葉がありますが、この映画を観た後はあまり急に明るい陽光の下に出て行かれず、地下のスタバでクールダウンならぬウォームアップをしました。
それで漸く帰途につけました。
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加えて・・・それで勢いつけて最後にアルコールの話を綴ります。
昨日・土曜は所用で終日姫路でしたが、暗くなりかけた帰り、JR姫路駅の地下にある龍力のアンテナショップにちょっとだけ立ち寄りました。
ここは販促を目的に龍力(本田酒造)の美酒各種が廉価で試飲できます。
購入したのは「龍力・神力特別純米・無濾過生原酒」です。
神力というのは兵庫・御津産の酒米。
同じ造りで「雄町」米使用のも試飲してみましたが、雄町のほうが少し優しい味わいになっていたと思います。その優しさが雄町米の特徴の一つなのでしょう。
無濾過原酒だからどんと重たい味わいです。
濃醇旨口というのが私の日本酒における好みの基準です。
ゆっくりお酒を飲めるのは、幸せなことです。
あんな映画を観た後は・・・・。
映画で言ってましたが、「痛ましい死を踏み台にして成り立っている」世界なんでしょうか・・・・・今のこの世界は。

今日見てきました。
正直、ここ2,3年で一番いい映画でした。
>映像の繋ぎ方、構成、などなど・・・魅せられました。
すごいですね。あそこまで緩急つけているのにダブつかない作品に仕上がっていて。
監督の力量が測り知れないです。
>「痛ましい死を踏み台にして成り立っている」
ブラジルのスラムを熟知している監督から見ればそれは疑問の余地のないことかもしれませんね。
この映画はいろんな意味で広い世界を感じさせる映画だと思います☆
ブラジルのスラムを熟知、とのこと。
早速明日にでも監督の背景を勉強して見ますね、私。
それを見るだけでは普通のラブストーリーかと思ってました(^_^;)
全くの平等はないにしても、がんばったぶんだけ生活が楽になるような世の中になれば・・・