
昨日会社のボスが「読む?」と2冊の文庫本を貸してくれました。
高村薫著『マークスの山』(上・下)
以前ボスが読んでいるのを見て「私、それ映画は観に行ったんですけどね・・・」と言ったのを覚えてくれていたのでしょう。読み終わったから、と貸してくれました。
映画は崔洋一監督が1995年に原作を映画化したものです。
帰宅してから昔の日記(4/21のブログで記述)を取り出してページを繰ってみたら・・・・有りました有りました。
1995年4月30日に友人と観に行っていたようです。因みにこの日の大阪・神戸方面の天気は


日記には「とても観たかった作品だが、犯人が犯行に至った心理が理解しがたい。原作を読むほうが良かったのかも・・・。ヘヴィーなシーンも多くてキツカッタ。」と記していました。
そうなのです。確かに、冒頭から重たいシーンが展開していたのを覚えています。
しかしこの記述を読んで、小説を読む前にどうしても再度映画を観直してみたくなったんです。
ダメモトでビデオテープ収納ケースを片っ端から探していくと・・・ナントあったんです!多分以前に深夜放送されていたのを録っておいたのでしょう・・・すっかり忘れていました。
点が線になったような高揚感を伴って早速PLAYボタンを。

彼はある権力者たちの「ある秘密」を握ることとなり、それを起点として残虐な殺人を繰り返していく。
その秘密とは・・・・・・政治思想運動で対立していた青年を殺害し、事件を闇に葬った有名大学の仲間5人。一人を除く(一人は後に精神病院で殺される)残りの4人は年を経て其々、地位や名誉や権力、財力を手中に収める人間となる。その5人の仲間の名前の頭文字が“MARKS”だった・・・・

崔監督は、これでもか、と言うふうにエグいシーンを見せつけて来ます。
まるで“痛み”を感じなければ“現実”なんて描けはしないのだ、と言いたげに。
人間の“狂気”が凄まじい。
名誉や権力のある人間も、一皮剥けばその心の奥に潜む“狂気”は異常者と何ら変わらないのかも知れない。
11年前の日記には「犯行に至った心理が・・・云々」と書いていましたが、昨夜、ラストの水沢の死のシーンでは、私は瞼が涙で滲みました。
水沢、恋人の真知子(名取裕子)、若き日の殺人という罪に苦悩する林原(小林稔侍)、そして事件を追う刑事・合田(中井貴一)・・・皆其々に違う形の“心の闇”を抱えていて、それが見えない哀しみの糸で繋がっているように感じました。
あれだけの複雑な要素が絡み合った内容を2時間十数分にまとめた監督はやはり凄いと思います。
警察内部のセクト意識による弊害や、権力による上層部からの圧力など、原作が「警察小説」と呼ばれるにふさわしいとされる背景も丁寧に描かれていたと思います。
確かに、不快で正視できないシーンは多かったです。
けれど、最後の南アルプスの俯瞰と、死んでいるはずの水沢の、凍傷でどす黒く変色した頬をつたう一筋の涙、それらはとても美しかったです。
これから小説を読んでいくのが楽しみです。
昨夜のVIDEOタイムのお供は我流ボイラ−メーカーです。
これはカクテルの一種なのですが、作り方は至って簡単。
ビールをウィスキーで、またはウィスキーをビールで割ります。
ウィスキーはバーボンでもいいですし、広義ではウィスキー以外の蒸留酒を使ってもOKらしいです。

名前が示す通り“ボイラーのように身体がメラメラ熱くなる”というカクテルで、手っ取り早く酔いたい時にお勧めです。
昔々の某日、これをオーダーして飲んでいた私は「あんまり女の子が飲むお酒じゃないよ。」と言われた事あります。
私にも“女の子”と呼ばれた時代があったんですね〜
↑
シミジミ・・・。
俺もこの映画・小説大好きです。
原作のストイックで淡々とした感覚を見事に表現していて、さい監督のすごさを思い知った映画です。
まさに「警察小説」ですね。その部分をシックに厳しく描いてて素晴らしいです。
中井貴一の背中の哀愁が、たまらないものがあります。
中井貴一って、やっぱり中々デキル!役者さんみたいですね。
コメントありがとうございます。
高村薫の中で、一番好きですね。
心理描写がなんとも・・・
小説もお楽しみくだされ〜〜〜(^_-)-☆
楽しみますね、ありがとう。(*^_^*)