2007年11月25日

転々

  三連休の中日、24日(土)は梅田ガーデンシネマに『転々』(三木聡監督)を観て来ました。
甘〜いパイとキュートなヒロインが登場する映画と迷ったのですが、むさ苦しい髪型のオッサン&オニーサンの登場するこっちの映画に決めました。

基本的にロードムービーが好きですし、むさ苦しいオッサン(友和さん)&オニーサン(オダジョ)も好きな俳優さんですし、あっ!こっちにだって甘い物は出て来ましたよ。愛玉子(オーギョーチィ)なる得体の知れないものが・・・。愛玉子、レモン味だそうです(^_^)。

story
借金を抱えた主人公が100万円の謝礼と引き換えに借金取りの散歩に付きあうコミカルな味わいの人間ドラマ。“脱力系”の代名詞で独自の映像世界を築いている三木聡監督が脚本も務め、直木賞作家・藤田宜永の同名小説を映像化
 幼いころに両親に捨てられた孤独な大学8年生の竹村文哉(オダギリジョー)は、いつの間にか84万円もの借金をこしらえ、返済の期限があと3日に迫っていた。しかし、その期限の前日、文哉は借金取りの福原(三浦友和)から借金をチャラにする方法を提案される。それは、吉祥寺から霞か関まで歩く“東京散歩”に付き合うことだった。(シネマトゥデイより)

               転々チラシ.jpg

 よく笑いましたぁ。そして笑った後で“しみじみ”しちゃいました。
くすくすっといつまでも偲び笑いしていたいような、そして温かいお茶をずずずっと飲んでしみじみしたいような、そんな映画です。

人は誰かとコミットしてないと結局は生きていけないのかぁ・・・。
人と人との関わり合いは、面倒も生むけれど優しさも生まれますよね。

「(仕事より)もっと大切なものを“辞めて”来た」と言って放浪散歩に出る福原も、結局は辞めてきたものを拾い集めに来たのでした。
そして「一人じゃ淋しいだろ」って言って文哉を散歩につき合わせる彼も、しぶしぶ付き合う文哉も、どっちも温かい拾い物をちょっとづつ心の中に積んでいくのです。

 二人が歩いているその周囲には、実に色々なものが見えてきます。歩くと見えなかったものが見えてくるのですね。
世の中にはなんて奇妙な人達が居て、なんて奇天烈な看板やオブジェがあって、その一つ一つにドラマがあったりするんだなぁと思うと散歩というのは実に奥深い行為だったのだと突然悟ったりしてしまった私です。
                転々2.jpg

 この作品には擬似家族なるものが登場します。
本当の血の繋がった家族でも仮面家族はあるように、全く赤の他人同士でも同じ屋根の下に住み、時間を共有し、同じものを食べて同じものに笑ったり泣いたりしてると、それは「家族」になるのかもしれません。
ちょっとお尻のモゾモゾする思いがあろうとそこには凄く大切なものがあって、何処でどう道を誤ったかそれを失ってしまった福原が一つ一つ「これだったんだ」と確認しているような切なさがあって、一方それを知らずに育った文哉には「こんなのって何だかいいよなぁ」と頬を緩ませる愛しさを感じさせて、観ていて突然ぐっときました。

 もう一つの擬似家族(私にはそう見えた)も描かれています。
福原さんの奥さんが勤めていたスーパーの同僚三人。
笑いの小ネタが一杯の彼らの登場シーン(松重豊さん、いい味出してます!)
一緒に昼食を取ったり、欠勤が続く福原の妻(物理的にって言うか原理的に言って出勤は不可能状態)を見舞いに行こうと出かけたり、とにかく行動を共にして楽しんでいます。ふと、この人達って「職場」という別次元の世界で「家族」を作ってるんだなぁと感じました。
誰か一人が欠けても成立し得ない不思議な関係。互いのことを茶化したり小バカにしたりしながらも、実は凄く“依存”しあっている三人。多分新入社員が入ってきたとしても、その三人には入り込めない絆を感じるはずです。
                 転々3.jpg

 この散歩で、文哉と福原にもある意味“絆”が生まれたのかも知れません。
ふわふわ軽く生きてるような文哉の、心のうちを明かしたナレーション(オダギリ・ジョー)がしみじみ心に迫り来ます。
オダギリジョーはハマリ役です。特に、彼の「笑いを引き出すセンス」は凄いなと感じました。
三浦友和さんはとにかく昔のイメージでどんな格好をしていてもどんな台詞(友和さんの口から○○○○の4文字が出るなんて・・・“赤い”衝撃でした)を吐こうとも「好青年」の印象は拭えないのですが、今作での役柄は職業や見た目こそチンピラながらモノゴトを真面目に考える一本気な人間だったと思うので彼も適役だったと言えるのではないでしょうか。

                 転々.jpg

 ラストは唐突に終わります。
特に泣かせるようなキメ台詞もなく。
けれど、あれが福原らしき消え方なのでしょうし、オダジョの飄々さが活かされてる感じです。
そして、あの後、「おじさんも文哉も遅いね。」とか言いながら食事を並べて待っているかもしれない擬似家族の二人(小泉今日子、吉高由里子)を思うとやっぱり凄く切なくて後から泣けてくるんです。


 昨日は映画の後、友人等と合流して三人で“転々転々”の大阪散歩。
梅田から扇町、そして天満へと・・・転々転々、勿論、途中で“赤提灯”や“縄のれん”の風情も楽しみながら。
                 冷酒.jpg 転々の一店?

最後にもう一つかわいい
昨日の大阪散歩では岸部一徳に出会いませんでした。
残念・・・
(映画を観た人のみ納得して下さい)。



posted by ぺろんぱ at 12:15| Comment(12) | TrackBack(2) | 日記
この記事へのコメント
”ちりとてちん”のお父さんが出てはったんですね!(毎日観てるもんで、ついそこに反応・・)

で、次に反応したのが”岸辺一徳”。何でかというとーすまん、言わせて下されーこの間TVでオンエアされてた”いつか読書する日”(監督ー緒方明)観て、”うまいなぁ”と改めて実感したんです。(この映画ずっと気になってた映画で期待どおり深いいい映画でしたわぁ。ベッド・インに突入するシーンでは、なななんと涙ちょちょぎれたりなんかして)まあ、”田中裕子”もうますぎるっ!

てなわけで、いつも本編からぐぐぅっと離れたコメントしてゴメント・・。

うっ、自分でもさっぶぅ、てほんま寒なりましたわ。ところで、”岸辺一徳”て”タイガース”の時代は”岸辺おさみ”やったっけ?と記憶が曖昧になってる程”岸辺一徳”という存在が不動のものにー。(”サリー”て愛称は忘れてまへん!)

ここらへん、お若い方らには何のこっちゃさっぱりわからん?のでしょうか。(もしそうなら許してちゃぶ台)

Posted by ビイルネン at 2007年11月25日 23:29
赤いシリーズ・・ぎゃふん!

また、三浦さんもご本人忘れたいよーなことを(=^_^=)

「のぅはまだ、真の演技に目覚めとらん!」
とか、帰宅してから奥さまに叱られてたりして・・(⌒〜⌒ι)
Posted by TiM3 at 2007年11月26日 00:54
ビイルネンさん、こんばんは。

いかにも!
ちりとて・・・のおとーちゃんが出ていらっしゃいました。絶妙の「間」が笑わせてくれます(*^_^*)。

岸部さん、最初は“おさみ”さんやったのはさっき<wikipedia>で調べて頷いていました(^_^)。
<wikipedia>によれば、タイガース時代から彼は今の「俳優・岸部」としての片鱗を見せていたらしく、ベトナム戦争激化の中「世の中で一番怖い物は?」のインタビューに、他のメンバーはみな「戦争」「武器」とか答えていたのに対して、岸部さんだけは「人の心」と答えて一種独特の“深みのある人間”という印象を与えていたというような話が記されていました。

私も先日『いつか読書する日』を観ていい映画だなぁと思っていました。
岸部さんが泊まった日の明け方??岸部さん扮するカイタがおびただしい書物に囲まれた彼女の部屋を見上げるシーン・・・私はあれに泣いてしまいました。

「コメントでゴメント」も「許してちゃぶ台」も笑ってしまくら千代子です。←うぅっ、これこそ寒いですかっ!?
今後ともどんどんコメントを期待させて頂いておりますね!宜しくお願いします!



Posted by ぺろんぱ at 2007年11月26日 23:13
TiM3さん、こんばんは。

そうですかぁ、やっぱりご本人も忘れたい過去なのでしょうか、「赤いシリーズ」は。(^_^;)

私は百恵ファンでしたが実はさほど友和さんファンではなかったので、友和さんの良さを感じるようになったのはむしろ百恵ちゃんが引退してから後です。
百恵ちゃんも女優としてよりシンガー・山口百恵として好きでした・・・あぁ懐かしい(*^_^*)。

友和さんも撮影とか終わって帰宅してから「オダギリジョーとの絡み、俺イケてるかなぁ?」とか奥様に言ってるのでしょうか。
それはそれで素敵なドラマな気がします(*^_^*)。
Posted by ぺろんぱ at 2007年11月26日 23:23
私も歩くってのが好きでこの映画には期待しています。ロードムービーって見ているだけでも面白いですよね。
歩く時だって実は孤独より、友があれば楽しいですから、歩いているうちに友と強いつながりが出来てきます。この映画もそんなんだろうなぁ。

機会を探って劇場上映中に観に行きたいものです。

PS この映画の友和さんは、なんかブルシートのおじさんのような感じですね。むさくるしいが、あの歳であれだけ髪があればすごいじゃないですか!!

Posted by west32 at 2007年11月27日 21:28
west32さん、こんばんは。
私も歩くのが好きです。時間があってお日さんが出てれば一駅二駅くらいは歩いて移動します。
もし一緒に歩くとしたら、(何事もそうかもしれませんが)急がないヒトがいいですね。

友和さんの髪型は確かに凄かったです。
それと今回のあの福原ファッション、練りに練られた“ダサさ”ですよ(^_^)、もしもご覧になることになればそれもお楽しみ下さいね。
Posted by ぺろんぱ at 2007年11月27日 21:52
観てきました。確かにスゴイ友和さんの髪型、オダギリ・ジョーもスゴ変でしたね。昔のヤンキーの寝起きのようなスゴサ!!(意味不明)

私も散歩の時には是非とも観たいですね、岸部一徳さん。大阪辺りには居そうな気がするんですが....
Posted by west32@転々 at 2007年12月01日 00:19
west32さん、こんにちは。
ご覧になったのですね。

「スゴ変」・・・面白いですね、その表現(^_^)。あのスゴ変コンビが歩いてたら目を合わさんとこって思いそうです。

岸部一徳さん、映画のオプションで全国各地に出没してくれたら楽しいですね。
Posted by ぺろんぱ at 2007年12月01日 13:14
どもども┌|∵|┘
ご無沙汰しています。

この映画、めちゃくちゃ見たいけどまだ高松には来てなくていけてないのです。来年に高松にミニシアターで上映されるみたいですごく楽しみにしています!

オダジョーはもちろんだけど、やっぱ俺は三浦さんがすごく気になります。
茶の味っていうナンセンスコメディでもいい味出していたし、ほんわか真面目なところが転々でどんな風に変わるのか非常に楽しみでならないです!

岸辺さんが出てくるんですか!?
楽しみです┌|∵|┘w
Posted by dk at 2007年12月09日 09:13
dkさん、こんにちは。
『茶の味』ご覧になったのですね!
私は気になりつつも見送ってしまった映画でした。
三浦さんも岸部さん(岸部さんはちょっと違う形の?出演ですが(^_^))も重ねてき
こられた経験が作り出す味わい深さがありましたよ。
来年をお楽しみに(*^_^*)。
Posted by ぺろんぱ at 2007年12月09日 12:02
初めまして。
Wishy-Washyのママの紹介で来ました。
はろはろ、しげぞうと申します。

音楽好きです。
転々見ました。
散歩、一徳さんが好きです。

ほのぼのしました。
Posted by しげぞう at 2007年12月28日 17:51
しげぞうさん、はじめまして。ようこそいらっしゃって下さいました。
WWには月に一度くらいしか行けていないのに、いつも温かくもてなして下さって感謝の一言です。
しげぞうさんはご常連さんでいらっしゃるのですね、きっと。私も頑張って?WWに通います。

音楽も散歩も、一人で楽しめるよきモノですね。一徳さんは危なそうにも感じられるあの眼差しがいいです。(^_^)

今後ともどうぞヨロシクお願い致します。
Posted by ぺろんぱ at 2007年12月29日 20:35
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/7165515
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック

オーギョーチィ(愛玉子)
Excerpt: オーギョーチィ(愛玉子)     12月9日(日)    HP  「愛玉子(オーギョーチィ)」   先日観た映画『転々』 その中の1シーンに三浦..
Weblog: 京の昼寝〜♪
Tracked: 2007-12-12 12:08

『転々』
Excerpt:   □作品オフィシャルサイト 「転々」□監督・脚本 三木聡 □原作 藤田宜永(「転々」新潮文庫刊) □キャスト オダギリジョー、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子、岩松了、ふせえり、松重..
Weblog: 京の昼寝〜♪
Tracked: 2007-12-12 12:09